■She Loves You c/w I'll Got You (Parlophone / 東芝)
昭和39(1964)年のちょうど今頃、私が初めて聴いたビートルズのレコードが、本日ご紹介のシングル盤でした。
それは従姉が我が家にあったステレオで鳴らそうと持ってきたものでしたが、今になって思うと、ビートルズの楽曲は、例えば「抱きしめたい」とかは既にラジオで知っていたような記憶があります。
しかしそれがブームになっていたかと言えば、否でしょう。
ですから従姉がこの時点でピカピカの新譜だったビートルズのレコードを買っていたという事実は、なかなか新しい感覚が冴えていたんですねぇ~。現在ではありきたりのおばちゃんになってしまった彼女について、認識を新たにする次第です。
しかも従姉はA面の「She Loves You」よりはB面の「I'll Got You」が素敵♪♪~♪
とか言っていたんですから、少年時代のサイケおやじには完全に???
もちろん後年になれば、その「I'll Got You」も大好きになったんですが、やっぱりズバッと炸裂するドラムスのイントロ! そしてイェ~、イェ~♪ というキメのコーラスが上手いんだか、乱れているんだか、ちょっと分からないその迫力には圧倒されましたですねぇ~♪
さらに全篇に横溢する疾走感、そして一端は終息しそうになって再び盛り上がって終るエンディングのせつなさも、当時の洋楽ポップスでは実に新鮮でした。
しかし少年時代のサイケおやじは、ビートルズがブームになって他の曲を聴けるようになった時、オリジナルよりはR&BやR&Rのカパーの方が、さらに好きになりましたですねぇ。尤もそうした歌と演奏も、その頃はビートルズのオリジナルだと思い込んでいたわけですから、今となっては苦笑です。
それと曲名の日本語表記なんですが、「ラヴズ」の「ウに点々」という書き表し方も、なかなかインパクト、ありましたですねぇ。それまでのサイケおやじは、当然ながら「フに点々」でしたから。
ということで、私にとっての果てないビートルズ天国への階段が、この「She Loves You」だったというのが、本日のお話でした。
ちなみに「She Loves You」はモノラルミックスしか存在しておらず、ステレオ表記のあるバージョンは全てニセステなんですが、1977年に我国で再発されたシングル盤「EAR-20224」は、そのニセステのさらに上を狙ったような、実にミョウチキリンな音になっていますから、これは案外と要注意かもしれません。