■青春の光と影 / Judy Collins (Elektra / 日本ビクター)
美人ボーカリストのジュデイ・コリンズ、と書けば、各方面からのクレームは覚悟しなければなりませんが、問題は彼女が「美人」という真実ではなく、「ボーカリスト」と普通に括られる事かと思います。
ご存じのとおり、彼女はフォークシンガーとしての名声、そしてシンガーソングライターとしても名曲を自作自演していますから、決して一介のポップスシンガーでは無いわけで、しかし彼女の歌声によるヒット曲の数々が自作ではないところに、あれやこれやの話題や論争(?)が尽きないというのが洋楽ファンの気持ちだった頃が確かにありました。
例えば本日掲載のシングル盤A面曲「青春の光と影 / Both Sides Now」はジュデイ・コリンズを代表する有名ヒットであり、誰もが一度は耳にしたに違いないそのメロディと爽やかにして不思議な説得力に満ちた歌声の魅力は、永遠に色褪せることはないでしょう。
ところが、この「青春の光と影 / Both Sides Now」は才女の誉れも高いジョニ・ミッチェルが書いたもので、当然ながら作者の自演バージョンも吹き込まれています。
しかし既に述べたとおり、それは如何にも哲学的(?)な歌詞に相応しい、ちょいと内向的なメロディ解釈と歌唱表現が顕著であって、これはサイケおやじも同じ道を歩んだというか、ポップなジュディ・コリンズのヒットバージョンを先に聴いてしまえば、ジョニ・ミッチェルの真正オリジナルバージョンには???が必至と思いますねぇ~~。
そして同時に強く感じるは、ジュデイ・コリンズのツボを外さない節回しの上手さであって、そりゃ~、ジョニ・ミッチェルが紡いだメロディや和声感覚にはサイケおやじも大好きな特有のイカシたフックがあるにせよ、極言すればジュデイ・コリンズの卓越したポップなフィーリングがなければ、果たして「青春の光と影 / Both Sides Now」という楽曲が広く人々に受け入れられたかは疑問符が……。
実は告白すれば、この歌を初めてラジオで聴いた中学生当時、てっきりジュディ・コリンズのオリジナル曲と思い込んでおりまして、後にジョニ・ミッチェルに興味を抱いた時には、その真相に妙に納得させられた記憶が今も鮮明です。
そうした事象は、まさにジュディ・コリンズの唯一無二の個性でもあり、ジョニ・ミッチェル以外にもレナード・コーエンやビリー・エド・ウィーラーあたりの玄人ウケするソングライターの楽曲を真っ向から歌い、それらを世間に知らしめた功績(?)にも顕著でしょう。
ちなみにCS&N、あるいはCSN&Yでお馴染みのスティーヴン・スティルス作品「青い目のジュディ / Suite.Judy Blue Eyes」とは、まさに彼女の事であるという逸話は有名過ぎるかもしれませんが、思えばサイケおやじがジョニ・ミッチェルに惹かれたきっかけも、彼等のヒット曲「Woodstock」であったのですから、その運命の轍には相当に深いもの感じてしまいます。
そしてジュディ・コリンズの目は、本当に「青い」んですから!
ということで、サイケおやじにとっての彼女は上手いボーカリストであり、自己主張の強いポップス歌手でもありますが、今となっては愛すべき美人シンガー♪♪~♪
そんなわけですから、各方面から非難の集中攻撃があろうとも、それはジュディ・コリンズの歌声に免じて、自己完結させていただく所存です。
ジュデイ・コリンズ、最高ぉぉぉ~~♪