■月にぬれた花 / ジュンとシュク (CBSソニー)
昭和40年代後半に韓国から出稼ぎに来ていたジュンとシュクは、相当な実力派でありながら、大きなヒットは出せませんでした。
しかし、残されたレコードが歌謡曲マニアからコレクターズアイテムとしての人気を集めている現在、それらがなかなか纏まって復刻されないのは、例によって日韓関係の悪さが影響しているのだとしたら、哀しいです……。
掲載したシングル盤にしても、おそらくはジュンとシュクの歌謡曲フィールドにおけるデビュー作になるのでしょうか、如何にも発売された昭和47(1972)年当時の流行であった歌謡フォークを意識したかのような鈴木邦彦の作編曲、そして山上路夫の綴った歌詞におけるジンワリ感等々は、地味ながらも芯の強いグルーヴを滲み出す演奏パートの充実度共々に、これが昭和歌謡曲の魅力がいっぱい♪♪~♪
また、なんとなくコリアンバーのホステスさんのような二人の佇まいも、昭和の味わいというところかもしれません。
しかし、繰り返しますか、現在ではコリアン系歌謡曲のシンガーやグルーブが冷遇されている以上、実は告白すれば、この私有盤にしても先日出張した当地で仕事関係者からプレゼントされたブツという真相がありまして……。
もちろん大衆レベルでは両国の友好が望まれている現実は否定出来ませんから、今こそ為政者達の太っ腹に期待したわけですよ。
ということで、サイケおやじは決して国粋主義者ではないつもりですし、だからと言って日本人としての誇りや尊厳を軽んじているわけではありません。
韓国との関係にしても、拭いきれない諸々がある事は分かりますが、それはそれとして、これからの道筋を最初っから一方的に断定するような態度は、ど~しても許容出来ません。
正直、相手側の依怙地な姿勢には辟易することが度々ではありますが、そうしなければ体面が保てない事情が存在していることが明白である以上、皆で楽しくやるという機会を棄て去るなんてことは愚の骨頂でしょう。
ルーツを探れば、必ずや朝鮮半島のモードに突き当たる昭和歌謡曲こそ、それを繋ぐキーポイントになるはずと確信しております。