■White Christmas c/w Merry Christmas Baby / Otis Redding (Atoc / 日本グラモフォン)
今月初めに宣言したとおり、本年は素直にクリスマスを楽しむ決意のサイケおやじですから、ご紹介するシングル盤があまりにもベタな1枚である事にも、ご理解いただきとうございます。
で、これが世に出たのは1968年でしたから、当然ながら前年12月に飛行機事故により他界していたオーティス・レディングの生前のレコーディングという事実は曲げられず、おそらくは本来、前述の悲報が無かったとしたら、そのまんま発表されていたんでしょうか……。
両面に収録されているのは、まずA面があまりにも有名なクリスマスのスタンダード曲「White Christmas」ですから、オーティス・レディングが持ち前の粘っこい節回しと熱血ソウルで歌ってくれるのは言わずもがな、聴いているうちに様々な感情が刺激されるというか、妙に泣けてくるのはサイケおやじだけではありますまい。
バックの演奏も、スタックススタジオではお馴染みの顔ぶれと推察出来るサウンドを出してくれますし、そのあたりはスティーヴ・クロッパー(g) のプロディースもツボを外していません。
一方、B面に収録の「Merry Christmas Baby」はジョニー・ムーアが作った、これまた黒人音楽では定番のクリスマス歌謡ブルースですから、ブルージーに歌っていると思いきや、なんとっ!
イントロから軽妙洒脱なサウンドに導かれ、ミディアムテンポでウキウキとした調子を披露するオーティス・レディングの、これもまたディープソウルな至芸でありましょう。
個人的には、こっちばっかりを聴いていた時期がサイケおやじには確かにありましたですねぇ~~♪
ちなみに、このレコードを買ったのは故人の代表曲「ドッグ・オブ・ベイ / The Dock of the Bay」の次でしたので、なんともトホホなジャケ写には些か唖然とさせられたんですが、ちょうど発売されてから1年後のその時は中学生だったサイケおやじが、クラスでやるクリスマスパーティみたいな集まりに何か洋楽のレコードを持っていく事になっていたので、ちょっぴり背伸びしたかったのが本音でありました。
つまり当時の我が国じゃ~、洋楽よりもGSや歌謡曲の人気が高く、最高峰だったビートルズやベンチャーズはまだしも、オーティス・レディングに代表される本格的な黒人歌手はマニアックな領域にあったという現実を認識していただければ、恥かしながら、その頃から既にサイケおやじの無意味な見栄っ張りは全開していたというわけです。
ということで、皆様ご推察のとおり、このレコードは全くウケませんでしたが、やはり今でもクリスマスシーズンには聴きたくなってしまいます。
さあ、ここで両面を鳴らしてから、ありがたいことに誘われている宴会に出かけることにします。