■お金をちょうだい / 美川憲一 (日本クラウン)
この危機的な状況に臨み、いよいよ国民に給付金が一人当たり拾萬円と決定!
もちろん、皆様ご存知のとおり、ここまでには紆余曲折、あれやこれやと姦しい論争が今も続いてるわけですが、サイケおやじとしては皆が素直に受け取る事に疚しさを覚える必要なんか、絶対に無いと思いますねぇ~~。
だって、格好をつける意味合いが分からないでしょう?
また、官房長官に受け取るか、辞退するか? なぁ~んて愚問をぶっつけた取材記者(?)にしても、最初っから答えは分かっていたはずじゃ~ないでしょうか?
もしも、官房長官が「受け取る」と答えたら、待ってましたとばかりに「強欲」「不条理」等々の罵詈雑言は予定どおりでしょうし、「辞退」するのは当然という「常識」を言わせたのを、大手柄の如く燥ぐ姿勢も情けない……。
件のお金を受け取って大喜びするのも、あるいは逆に迷惑するのも、正に十人十色の喜怒哀楽であって、それについて他人が口出しするのは野暮ってもんじゃ~ないでしょうか。
そこで思い出したのが、昭和46(1971)年末に発売され、忽ち世間を騒がせた美川憲一のヒット曲「お金をちょうだい」です。
ご存知の皆様も多いはずですが、これは作詞家の星野哲郎が実社会のホステスや愛人と呼ばれる女性達と会話している中から綴った事は有名な逸話ですが、それを歌謡曲化した場合、誰に歌わせるか?
それが大きな問題だったと云われれています。
なにしろ、これは歌詞の中身も、曲タイトルも、「卑しさ」が「奇抜さ」を凌駕していますからねぇ~~、あんまりベタベタした節回しを個性としている歌手じゃ~、気持ちが悪い仕上がりは予測するまでもありませんし、新人に歌わせたとしたら、所謂「キワモノ」扱いは必至だったと思います。
ですから、結果的に持ち前のクールな低音域を活かした美川憲一の歌唱こそが、この「お金をちょうだい」には必要十分条件だった事は明白ですし、中川博之の附したメロディは程好いコブシが活きており、幾分大袈裟なメロドラマ調のアレンジを施した小杉仁三も流石の手腕!
諸事情から歌詞をここに掲載する事は叶いませんので、皆様にはネットでお楽しみいただきとうございますが、サイケおやじとしては、当時よりは今、「卑しさ」よりは「潔さ」「さっぱり感」を感じています。
それはお金を欲しがる事に卑屈さを覚える、そんな気持ちこそが哀しいのでしょうか?
人間の欲望なんて、持っていれば、もっともっと欲しくなる様に出来ているはずです。
また、この世で、お金ほど便利なものはありません。
その便利さの恩恵に喜ぶのも素直であればあるほどに、この世も明るくなるに違いありませんっ!
と書いたのも、「喜ぶ」という我々の気持ちが、ひとつの精神的エネルギーだと思えば、そこに普遍の法則がある以上、これが自然に集まるのならば、新型コロナウイルスなぁ~んてものに打ち勝つ、つまりは見えない敵には見えないエネルギーが有効かと、そんな夢想を抱いているんですよ、サイケおやじは。
ということで、相変わらずノーテンキな自分に自嘲も出来ないテイタラク……。
例え一過性の喜びであったとしても、嘆くよりは笑ったほうが良いに決まっていますよ。
本当にそう思っています。