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サイケおやじの生活と音楽

バンド・オブ・ジプシーズの切実:其の七

2019-11-17 17:06:10 | Jimi Hendrix
■2 Nights At The Fillmore 1st Show 7.30pm 31.12.1969
                                               / Jimi Hendrix and The Band Of Gypsys (Voodoo Chile = CD)
 
  01 Bill Graham Introduction
  02 Power Of Soul
  03 Lover Man
  04 Hear My Train A-Comin' ▲◎
  05 Changes ◎
  06 Izabella ◎
  07 Machine Gun
  08 Stop
  09 Ezy Rider
  10 Bleeding Heart
  11 Earth Blues
  12 Burning Desire

      ※バンド・オブ・ジプシーズ
      ▲バンド・オブ・ジプシーズ 2
      ◎ライブ・アット・ザ・フィルモアイースト

バンド・オブ・ジプシーズが1969年大晦日から敢行したフィルモアイースト年越しライブの計4ステージを収めた6CDボックスから本日は、その最初のステージの音源をご紹介致します。

まず、上記した演目から、バンド・オブ・ジプシーズと名乗るジミヘンの新バンドが「Lover Man」と「Hear My Train A-Comin'」、そして「Bleeding Heart」を除いて、エクスペリエンス時代の曲をやらず、つまりは新曲中心の演奏を披露している事は大きな注目点でしょう。

これには既に繰り返し述べて来たとおり、契約問題のゴタゴタを解決するために新曲だけのアルバムを作る必要があったからで、その義務を速攻で果たすにはライブレコーディングしか無いと追い詰められていたとしても、ジミヘンにはそれよりも前向きな気持ちがあったと、サイケおやじは思いたいのです。

なにしろジミ・ヘン(vo,g) 以下、ビリー・コックス(b,vo) にバディ・マイルス(vo.ds) というオール黒人のロックバンドですからっ!

という安易な思い込みは別にしても、マイケル・ブルームフィールド(g) と共にエレクトリック・フラッグというニューロックなバンドをやって白人層にも知られる様になったバディ・マイルスがジミヘンと組む以上、このライブに参集出来た観客の期待度は相当に高かったはずで、それだけでも幸せを感じたに違いありません。

そこでいよいよ始まった最初のステージをこのCDで聴いてみれば、開演を告げるMCに続いての「Power Of Soul」と「Lover Man」はボーカルが完全に近いほどにオフで、しかしそれだけバンド演奏のアンサンブルがきっちり確認出来るという、聊か苦しい結果オーライ……。

あぁ~~、カラオケみたいでも、やっぱり「Lover Man」はカッコイィ~~~!!

ちなみに収録音源のミックスは不安定なステレオとモノラルが混在しており、それでいて音質はエッジの効いたエグ味が痛切にロックを感じさせてくれますよ♪♪~♪

そしてジミヘンが十八番のスロウブル~ス「Hear My Train A-Comin'」はボーカルが正常に聞こえる様になった事もあり、思わせぶりと激情が交錯するギターも全開! 例の痙攣フレーズやフィードバック、さらにはリードとリズムプレイを一緒にやってしまうブルースギター本来の基本技もロック流儀で披露してくれますから、たまりません ♪♪~♪

当然ながらバディ・マイルスもビリー・コックスも、きっちり自己主張してツボを外していませんので、これは名演と言う他は無く、正規盤CDにも収録されるのは必然ではありますが、そこでのステレオミックスは左にギター、真ん中にドラムスとボーカル、そして右にベースが定位し、音質も厚みはあるものの、幾分優しい(?)感じになっているのは、ここでのモノラルでギスギスした音質に比べれば如何にも安全主義に思えますが、いかがなものでしょう。

ですから、短いジミヘンの短いMCからチューニングを経て始まるファンキーロックな「Changes」にしても、ここでは疑似ステレオ感の強いミックスでありながら、ベースの音がクリアに聞こえるので、本気でカッコイィ~~♪

そして益々熱いのがアップテンポの「Izabella」で、シンプルながら、これがロックだっ! っていうリフとウネるジミヘンのギターは最高ですよっ!
 
こ~して最初に訪れる大きな山場(?)が「Machine Gun」なんですが、何故か前曲が不思議な終わり方というか、全く拍手歓声が切られていて、その静けさの中でスタートする演奏はミディアムテンポながら、不条理に燃え上がった魂の叫び!? まさに情念のイタコ弾きの如きジミヘンのギターの凄みが堪能出来ますし、クールな地響きを感じさせるビリー・コックスのベース、反応が流石のバディ・マイルスのドラムスとの共謀関係も強烈な展開としか言えませんねぇ~~~!?!

また、続く「Stop」はR&B丸出しのハードロックとでも申しましょうか、バディ・マイルスのシャウトがソウルフィーリングに満ちているかと思えば、ジミヘンのギターはメロウな伴奏とオドロのアドリブソロが絶妙の対比を聴かせてくれますし、これこそバンド・オブ・ジプシーズの生身の姿なのかもしれません。

その意味では全く新しいタイプのロックになっている「Ezy Rider」は従来のブリティッシュロックとアメリカンハードロックが混在した不思議な世界でしょうか、ここからボーカルがまたまたオフ気味になり、録音全体も薄口になった印象なのは残念と思うほどに演奏そのものが凄いです!

アンサンブルの乱れも気にする事無くギターを弾きまくるジミヘンはテンパッているのかっ!?

という疑惑もございましょうが、次に披露される「Bleeding Heart」のブルース衝動は、唯一無二! ミディアムスローなテンポで繰り広げられるブルースロックがド真ん中の見事な演奏と思うばかりです。

う~ん、泣きじゃくるジミヘンのギターの狂おしさは最高!

そしてついに訪れる大団円は自己崩壊しそうな「Earth Blues」とジワジワっと迫って来る「Burning Desire」の新しき旅立ちで、明らかに未完成でリハーサル不足も露呈しながら、ここまで微熱に浮かされた演奏が出来てしまうあたりがクールで熱いと思うばかりです。

ということで、約70分ほどの演奏が楽しめるのですが、当然ながら拍手歓声やMCの部分は短くカットしてある事がモロ分かりとはいえ、全体の流れは納得して聴けますし、ボーカルが思いっきりオフになったり、あるいは引っ込んでいるトラックもありますが、如何にもロックっぽい音質は個人的に大好きです。

またレコーディングの状況は概ねライン録りと思われますが、時としてオーディアンス録音?

と感じさせられるほどに観客の声が大きく入っていたり、冒頭に述べたとおり、モノラルとステレオのミックが混在しているが故の疑似ステレオ的な音質も、近々世に出る予定の公式集大成盤では、その処理が大いに気なるところです。

もちろん、演奏そのものが素晴らしいので、ここでもノー文句で聴いてしまうんですが、とにかく期待が高まっているのでした。
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