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サイケおやじの生活と音楽

ライブバンドだった1963年のビートルズ

2011-02-12 16:37:29 | Beatles

The Ultimate Live Collection '63 / Tne Beatles (Sweet Zapple = bootleg CD)

ビートルズの公式ライプ盤は唯一、「ハリウッドボウル」だけですが、ご存じのとおり、ビートルズは駆け出し時代から夥しいギグをこなしていたロックバンドでしたから、観客を前にした生演奏音源も大量に残されています。

ただし、それは時代的に劣悪な音質であったり、あるいはファンの狂騒と熱狂による大歓声と絶叫ばかりが録音されているというソースが圧倒的というのも、また事実でした。

もちろん、そういう部分もビートルズという偉大な文化創造者の記録としては貴重なわけですが、やはり少しでも良い音で聴きたいというのがファンの願いであり、それを当て込んだブート業者が努力と英知を傾けるのは、完全な違法行為であっても、歓迎される必要悪だと思います。

さて、そこで本日ご紹介の1枚は、ちょいと見るとアメリカのキャピトル盤アルバムのようなジャケットもニクイばかりというブートの秀逸盤♪♪~♪

タイトルどおり、1963年というビートルズが人気上昇期の秋から年末にかけてのライプステージから、比較的音質の良い演奏を纏めて楽しめます。

実は言うまでもなく、それらはアナログ盤時代からお馴染みのものばかりなんですが、当時の海賊盤に使われていたのは、ほとんどが粗悪な再生塩ビでしたから、必然的にプレスも雑でしたし、それゆえのノイズが演奏よりも大きい事が度々という状況を経験していれば、CD時代になっての同一音源再発で目からウロコが落ちる喜びは絶大でしたねぇ~♪

☆1963年10月13日:Sunday Night At The Palladium
 01 From Me To You
 02 I'll Get You
 03 She Loves You
 04 Twist And Shout
 ビートルズが本当にイギリスを代表するポップスタアになったのは、1963年8月に発売した「She Loves You」の大ヒット以降の事で、ここではその直後のテレビ出演となった「サンデイ・ナイト・アット・ザ・パラディアム=SNALP」からの音源を楽しめますが、このSNALPというバラエティ番組こそが、当時のイギリス芸能界では最高のキャリアを証明するものだったようです。
 ビートルズ本人達も、その事実は充分に承知していたのでしょか、ここでの演奏は何かしら神妙というか、ちょいと個人的には纏まり重視のムードが強いと思うのですが……。
 しかし観客の狂騒は既に物凄く、それに煽られてしまうメンバーの様子が感じられるあたりの初々しさが♪♪~♪ かなりネタっぽいMCも、この頃は如何にも芸能的で興味深いと思いますが、ジョンの毒気は流石という以上にアブナイものが既に出ているようです。
 ちなみに音質は如何にもブートらしい、ペラペラモコモコしたもので、低音部も歪み気味なんですが、公式には「アンソロジー1」で「I'll Get You」しか聴けないわけですから、やはりファンには嬉しい世界遺産の発掘というところでしょう。

☆1963年10月24日:Stockholm Swedish Radio Show “Pop '63”
 05 Introduction
 06 I Saw Her Standing There
 07 From Me To You
 08 Money
 09 Roll Over Beethoven
 10 You Really Got A Hold On Me
 11 She Loves You
 12 Twist And Shout
 これはハンブルグ時代を別にすれば、ビートルズにとっては初めての海外巡業であったスウェーデンで出演したラジオ放送用のソースですから音質も良好♪♪~♪ その所為もあり、初期を代表する名演ライプと言われているものです。
 そして当然ながら、前述の「アンソロジー1」でも5曲が収められているんですが、やはり司会者の紹介から熱狂的な歓声の中でスタートする流れがあってこそ、興奮性感度も高くなります。
 もちろんビートルズのハッスルした歌と演奏は既に述べたとおり、まさに名演とされるに相応しいもので、バンドが一丸となったR&Rのリズムとビートは圧巻ですよ。ザクザクに尖がったジョンのギター、ドライヴしまくるポールのペースも強烈ですが、特にリンゴのドラムスは上手いなぁ~~♪ そして随所でアブナクなるジョージのギターにしても、自らが主役の「Roll Over Beethoven」ではノリノリですから、全篇でのラフな感触が良い方向へと作用したと思います。
 また「アンソロジー1」に未収録となった「She Loves You」と「Twist And Shout」も、それが勿体無いほどの熱演で、疾走する勢いと狂乱のロック魂が最高潮! しかも全体にザラついたようなソリッドな低音重視の音質も感度良好で、このあたりは前述「アンソロジー1」の上品なリマスターとは完全に異なるのも要注意でしょうねぇ。サイケおやじは、もちろんこっちが好きです。 

☆1963年11月4日:Royal Command Performance
 13 From Me To You
 14 She Loves You
 15 Till There Was You
 16 Twist And Shout
 これもイギリスでは有名な番組という「ロイヤル・バラエティ・ショウ」に出演した時の放送をエアチェックしたものでしょう。今となってはジョンの「宝石ジャラジャラ」発言によって歴史的なライプとなった音源です。
 それは「アンソロジー1」にも当然の顔で入っていますが、ここでは公式盤ではカットされた「From Me To You」がお目当てとなるでしょうか。ただし、ここでのテイクはフェードインするので、厳密には不完全テイクなのが残念……。
 ちなみに「アンソロジー1」の方が音質的に優れているのは言わずもがな、しかしリアルタイムの空気感という、些かこじつけた部分では、このブートに軍配があがるかもしれません。
 う~ん、それにしても「安い席の人達は拍手を、それ以外の人は宝石をジャラジャラさせてください」というジョンのMCは流石の極み! 何度聴いてもシビれますねぇ~~♪ そして続く「Twist And Shout」が熱くなるのも、必然だと思います。

☆1963年11月20日:The Ardwick ABC Cinema Manchester
 17 She Loves You
 18 Twist And Shout
 19 From Me To You
(inst,)
 これも放送用音源の転用でしょうか、歌と演奏のバランスも秀逸な音源なんですが、それ以上に観客の狂気とも思える叫びと歓声が強烈な印象です。なんかマイクの傍で愛の独白をやっているような女性の声もリアル過ぎますし、もはやビートルズを聴くというよりも、その場の雰囲気を楽しむのが常道という感じが伝わってくるのですが……。
 ちなみに「From Me To You」はラストテーマ的に演奏されるインストになっています。

☆1963年12月7日:It's The Beatles Odeon Cinema Liverpool
 20 From Me To You
 21 I Saw Her Standing There
 22 All My Loving
 23 Roll Over Beethoven
 24 Boys
 25 Till There Was You
 26 She Loves You
 27 This Boys
 28 I Want To Hold Your Hand
 29 Money
 30 Twist And Shout
 31 From Me To You
(inst,)
 録音データを信じるかぎり、これはリバプールへの凱旋公演になるのでしょうか。
 正直、音質はチープですが、しかし熱狂する観客と演奏そのものの分離が良いので、なかなか素朴に楽しめる音源だと思います。
 ただし残念ながら、例えば「This Boys」ではリンゴのボーカルがオフになる等々の欠陥がありますから、過大な期待は禁物でしょう。
 それでもイギリス中を沸き立たせ、いよいよ世界へ飛翔する直前のビートルズに接することが出来るのは大きな喜びであり、特に終盤はピカピカの新曲だった「I Want To Hold Your Hand」、そのシングル盤B面曲だった「This Boys」が披露され、そして十八番の「Money」と「Twist And Shout」に続く流れは、R&R最高の瞬間が見事に追体験出来るはずです。
 あぁ、ついついボリュームを上げてしまいますねぇ~!
 演奏がミスッてるとか、音が悪いなんて、関係ねぇ~~~~♪

ということで、決して万人向けのCDとは言えませんが、少なくともスウェーデンの音源は全てのロックファンに感銘を与えるに違いないと確信するほどの素晴らしさです。何故に「アンソロジー1」に中途半端な収められ方をしたのか、納得出来なくなるほどですよ、これはっ!?!?

またブートと言えども、ひとつの商品としての体裁も愛情が感じられ、そのジャケットデザインやアルバムコンセプト、および選んだ音源の狙いはバッチリ!

今となっては前述した公式盤「アンソロジー」シリーズも出ていますから、それほどの価値は無いのかもしれませんが、初めてゲットして聴いた時の感動は忘れられないのでした。

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