OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

昭和40年代後半にも売れるロックが企図されていた

2023-09-18 16:16:25 | 日本のロック

涙のシーズン / DO. T. DOLL (東京レコード / ビクター)

熱狂的だったGSブームが去って後の我が国芸能界において、若者向けの音楽と云えばアングラ&歌謡フォークが主流となり、所謂ロックバンドなんてのは深夜営業のゴーゴー喫茶かディスコ以前のナイトクラブみたいな場所でしか大っぴら(?)なステージギグが無かった頃、つまりは昭和40年代中頃にロックで飯を食うなんてのは、真っ当に生活出来ない代名詞でありました。

しかし、それでも業界の中には、フォークに負けじと「売れる」ロックバンドを目指す動きが確かにあり、サディスティック・ミカ・バンドやキャロルは、それなりにメジャーに名を売る事に成功し、ダウン・タウン・ブギウギ・バンドは堂々と大衆的なシングルヒットを飛ばし、また外道四人囃子、そしてクリエイション等々、決して表舞台には登場せずとも、大きな支持を得ていたグループが確かにあった中の昭和49(1974)年5月、本日掲載のシングル盤で公式デビューした DO. T. DOLL = ドゥー・T・ドールは、チャコとヘルス・エンジェルと同様に最初っから極めてアイドル指向のバンドとして、その頃の人気テレビ番組「ぎんざ NOW(TBS)」にレギュラー出演するほどの期待を集めていた様に記憶しています。

メンバーは斉藤光浩(vo,g)、佐々木章宏(vo,g)、新川宣孝(vo,b)、渡辺登美雄(vo,ds) という4人組で、確か当時は平均年齢が 16~17 歳だったところから、バンド名は「童貞ドール」とかっ!?

う~ん、そりゃ~~、ルックス優先主義みたいなメンバー構成ではありますが、それはそれとして、とにかくデビュー曲となった「涙のシーズン」は作詞:安井かずみ&作曲:かまやつひろし、そして編曲:柳田ヒロから提供の実にキャッチーなバブルガム風味のロックンロール歌謡曲であり、とにかく「イェェ~~ェ~」というキメの掛け声が如何にも狙いどおりでありましょうか、レコーディングには女性コーラスやピアノも参加していますし、おそらくは演奏そのものがセッションプレイヤーによるスタジオの仕事である可能性が極めて高いとはいえ、そのシンプルでツボの外し様も無い仕上がりは、サイケおやじがテレビで接した彼等の演奏にはジャストミートのプロデュースと思うばかり!

そ~ですよ、実際、ドゥー・T・ドールは忽ち中高生のファンを掴んでいたはずです。

ところが……、これは拙ブログでも度々書いていることではありますが、ある幸運から、サイケおやじが同年6月から渡米出来た事で、9月までの日本の状況から離れてしまった所為で、帰国した時には、件のドゥー・T・ドールは完全に表舞台から姿を消しており……。

一説によれば、メンバーチェンジ等々のゴタゴタから解散したという噂も耳に入ってみれば、如何にも勿体ない流れでありました……。

そして、もちろん、掲載のシングル盤にしても、そんなこんなの経緯から中古ゲットしたブツであり、他にドゥー・T・ドールの音源が残されているかは不明なれど、実はメンバーだった斉藤光浩(vo,g) がグループ解散後に、あの和製ハードロックバンドとしてブレイクした BOWWOW = バウワウの結成に参加していたという驚愕もありましたですねぇ~~♪

ちなみに、そのバウワウにしても、当初の企画では「売れる」ロックバンドを目指して集められたメンバーの集合体だったという裏事情(?)が知られていますから、さもありなん!?

う~ん、「プロ」である以上、やっぱり「売れる」事が第一義であり、それは決して恥ずかしい事ではありませんよね (^^)

ということで、こ~ゆ~アイドルロックは世界中に存在する芸能の本質的ジャンルですから、それが例え「一見、ロックバンドの如し」であったとしても、好きなものを素直に好きと言えるのが、無理をしない幸せじゃ~ないでしょうか。

それこそが、もしかしたら「音楽」、「音」の「楽しみ」かもしれないと思っているのでした。


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