■Sunshine Of Your Love / Cream (Reaction / 日本グラモフォン)
エリック・クラプトンは説明不要の偉大なロックギタリストで、その早弾きから繰り出されるフレーズ構成はもちろんの事、サイケおやじを殊更に驚愕させたのが、ギターの音色そのものでした。
例えば本日ご紹介の「Sunshine Of Your Love」はクリームの代表的なヒット曲として、今やロックの聖典のひとつになっているとおり、リアルタイムでの衝撃度は実に強烈で、ヘヴィなロックビートを基本に作られた下降ラインのリフや所謂ブルース衝動の白人ロックへの融合応用の凄さは、後付けになるほどの理不尽さがあったと思います。
しかし一番に画期的だったのは、エリック・クラプトンが聞かせていた「エレクトリックギターの音」だったんじゃないでしょうか。
実際、サイケおやじが「Sunshine Of Your Love」を最初に聴いたのは昭和43(1968)年でしたが、それは中学生だった自分にとっては、まさに未知の領域で、なにしろ同時期の我国で活動していたGSのギタリストからは遥かに異なるサウンドだったのです。
ご存じのように、日本人にとってのエレギギターは文化を塗り替えられたといって過言ではない「黒船」でしたが、クリームのエリック・クラプトンはベンチャーズや寺内タケシ等々がそれまで聞かせてくれたエレキとは違う、ある種の「歪み」や「濁り」を強調した音を出していて、それは既に知られていた「ファズ」で作られるジージージジリジリの響きでもなかったんですねぇ。
しかもラジオ放送からでも感じられる、強制的な音圧感!
クリームがエリック・クラプトン(vo,g)、ジャック・ブルース(vo,b)、ジンジャー・ベイカー(ds) という3人だけのグループであった事を鑑みるほどに、それは当時としては驚異的な事でした。
そして洋楽雑誌に掲載されているクリームのライプステージの写真には、大きなアンプが連なって並べられ、エリック・クラプトンはサイケデリックにペイントしたエレキギターを持っているのですから、これは機材からして日本のバンドとは絶対に違うんだなぁ~~~、と痛感させられた次第です。
まあ、今となってはそれがマーシャルのアンプであり、ギターはSGスタンダードを使うことによって作り出されたディストーションサウンド! と簡単に言われてしまうわけですが、リアルタイムでは本当にミステリアスだったんですよっ!
ちなみに、これは定番化している裏ワザなんですが、エリック・クラプトンが十八番のワウワウを使う時、そのペダルを思いっきり踏み込んだ状態で得られるバーストした歪みも、ヘヴィなロックには欠かせない「音」であり、これはサイケおやじも好んで使わせてもらう必殺の一撃になっています。
あぁ、そう言えばワウワウにしても、当時はそんな機器の実態なんてサイケおやじには知る由も無く、どうやってあんな音やフレーズを弾いているのか!? それも謎に包まれていましたですねぇ~。
このあたりはジミヘンに対しても同じ受け止め方だったんですが、本当に不思議だらけだったのが、ニューロックの真相というわけです。
さらにクリームは、そしてエリック・クラプトンは、あの「Crossroads」の大名演で驚異的に美しいエレクトリックギターの「歪み」を披露し、世界中のファンをKOしたのですから、後は信じてついていくだけでした。
ということで、ボーカリストに声質の魅力があるのと同じく、楽器奏者にも音色の魅力を訴える資格と義務があればこそ、音楽は素晴らしいのです。
そして特にロックの場合は、電気増幅された世界観が圧倒的に有利な地位にありますからねぇ~♪
その意味で、実はサイケおやじがゲットした掲載シングル盤はモノラル仕様だったんですが、後に聴く事が出来たアルバム収録のステレオミックスでは、さらにクッキリとしたエレクトリックギターやドカドカ煩いドラムス、そしてハードエッジにドライブするエレキベースの存在が実に屹立していて、これまた驚異の世界でした。
少年期に限らず、驚く事もまた、素晴らしさのひとつだと思っています。