OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

そっとしておきたいクリーム

2009-10-11 12:12:35 | cream

Badge / Cream (Polydor)

ロックバンド芸能史で最初に解散記念盤を出したのは、クリームだったでしょうか?

とにかく1969年3月に世に出た「グッパイ・クリーム」というアルバムは、グループとしては初めてチャートのトップにランクされるほどのヒット作になりました。

もちろんこれは解散後に発売された、ある意味ではお金儲けの道具ではありますが、業界のそんな思惑よりは、クリームという偉大なバンドを惜しむファンの気持が、件のアルバムを名盤扱いにしています。

ご存じのようにクリームはエリック・クラプトン(g,vo)、ジャック・ブルース(b,vo)、ジンジャー・ベイカー(ds) というテクニックも音楽性も極めて高い3人が、それこそガチンコでやっていたスーパートリオ! しかもそこには妥協なんて言葉は無かったと言われていますし、人間関係の縺れは日常茶飯事だったとか!?

ですからスタジオセッションでの雰囲気の危なさが、出来あがったトラックにはモロに反映されていたり、またライプステージでは決してナアナアの慣れ合いとは無縁のアドリブ対決が毎度の事でしたから、ファンは何れも、そうした緊張感にスリルを感じていたと思います。

そして行き着く先は当然、解散!

1966年のデビューから2年後の1968年9月には解散声明が出され、同年11月に「さよならコンサート」があって、ついにニューロックを作り上げたクリームは溶けてしまうのですが、その最後の仕事のひとつが、前述した解散記念盤「グッバイ・クリーム」の制作でした。

尤も中身は新録なんて全くありません。録り溜めてあったライプ音源とスタジオでの没テイクに手を入れただけの、所謂レアリティーズです。

そして本日ご紹介のシングル盤は、そこからカットされたスタジオ録音の楽曲なんですが、まず印象的なのが解散という、一般的には悲しい出来事とは全く逆の、実に晴れやかな表情の3人が写るジャケットじゃないでしょうか。これは当該アルバム「グッバイ・クリーム」にも使われていた写真の流用デザインなんですが、まだ世の中の事なんか全然知らない少年時代のサイケおやじは、ちょっと不思議な気分にさせられました。

で、この「Badge」は、今日でもエリック・クラプトンのライプステージには欠かせない演目の初演バージョン♪♪~♪ ご存じのとおり、ジョージ・ハリスンとエリック・クラプトンの共作で、ジョージ本人もリズムギターを担当したという、本当に歴史的意義の高いトラックです。

そこにはエリック・クラプトンのリードボーカルとギターソロが、きっちり「お約束」して入っていますが、何よりもグッと惹きつけられるのが、中間部で聞かれる印象的なギターアルペジオの下降リフでしょう。

これはジョージ・ハリスンがビートルズで演じた「Here Comes Sun」にも同じ趣向が確かにありますが、個人的には、こちらが憎めません。

ちなみに私がこのシングル盤を買ったのは「Crossroads」の次で、しかもその時点ではクリームのアルバムは全然買えていませんでしたから、ますますクリーム熱が高くなりました。と、同時に、これで解散という事実にも、せつなくなりましたですねぇ……。

それゆえに後に発売された2枚のライプ盤はリアルタイムでゲットしましたし、公式アルバムも後追いで、思い込みも激しく聴きました。

そしてそうするうちに、やっぱりクリームは解散して良かった……、と思えるようになったのです。何故かと言えば、残されたギンギンドロドロのライプ演奏は、それ自体がリアルタイムの音でしかないのです。つまり1960年代後半の雰囲気しか表現出来ていないと思います。

このあたりは完全にサイケおやじの独断と偏見ですし、実際に同時代を生きた皆様にしても分かってもらえない感覚かもしれません。しかし1970年代に、クリームのような妥協の出来ないライプ演奏をしていたら、それは時代錯誤と言われるでしょう。

またスタジオ録音された楽曲にしても、歌詞の抽象性や曲構成のキメ方が、あまりにも究極まで行っています。つまり基本はトリオでの演奏が、これ以上の発展を許さないスキの無さ! なんですねぇ~。

エリック・クラプトンが後にレイドバックしたり、ジャック・ブルースが懐古趣味的なヘヴィロックに走ったり、またジンジャー・ベイカーが土着のリズムやビートに拘り始めたのも、結局はクリームが良くも悪くも凄すぎたからでしょうか?

ということで、今となっては、そっとしておきたいのが、クリームに対するサイケおやじの心情です。しかし何かのきっかけで、この「Badge」のキメのリフが頭に鳴り響くのは何故でしょう。そっとしておきたいのに……。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 愛しておくれと言われても…… | トップ | ザ・ラブの幻影 »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
また、一人・・・ (アンディP)
2014-10-26 13:16:51
訃報が飛び込んできました。
ジャック・ブルース、逝く。
以前から癌と闘病中であることを公開、数年前のクリーム再結成のステージでは、しんどそうな姿で、病状が、懸念されました。その後、小康状態を保っているものとばかり思っておりましたが。
ご冥福をお祈りするばかりです。
そういへば、「バッジ」スタジオ・バージョンのリフは、ジャックのベースが、奏でてましたね。
返信する
あぁ…… (サイケおやじ)
2014-10-26 14:32:17
☆アンディP様

う~ん、ジャック・ブルースも逝かれましたか……。
あのベースプレイは脅威であり、スリルであり、快感でしたねぇ~♪
個人的にはザ・フーのジョン・エントウィッスル、カップスのルイズルイス加部と並んで、ロック界の三大ベーシストです。

衷心よりご冥福をお祈りいたします。
合掌。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

cream」カテゴリの最新記事