OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

バンド・オブ・ジプシーズの切実:其の壱

2016-11-08 17:23:25 | Jimi Hendrix
チェンジズ c/w 恋のメッセージ / Hendrix Band Of Gypsys (Capitol / Track / 日本グラモフォン)
 
バンド・オブ・ジプシーズは1969年、結果的に解散へ追い込まれたエクスペリエンスの後を受けてジミ・ヘンドリクス=ジミヘンが結成したグループで、レギュラーメンバーとして認められるのはジミ・ヘンドリクス(vo,g)、ビリー・コックス(vo,b)、バディ・マイルス(vo,ds) というオール黒人の3人組なんですが、リアルタイムでは同時期にレコーディグされていながら未発表になっていた様々な音源がそれなりに検証可能な現在、サイケおやじには更なる興味の対象になっていますので、そのあたりのあれやこれやを例によって独断と偏見で書いておこうと思います。
 
で、その発端なんですが、当時の我が国は本当に洋楽の情報が遅れ気味で、前述したエクスペリエンスの解散についても、同年6月の終わり頃にノエル・レディングが帰英したことによる活動停止なのか、あるいは同年8月のウッドストックにおける新編成のバンドデビューによる事後承諾なのか、曖昧なままに翌年にはバンド・オブ・ジプシーズと名乗るジミヘンの新しいバンドがデビューし、そのライブ盤が近々発売されるというニュースだけが先行していたような記憶がサイケおやじには残っています。
 
そしてついにそれが出たのが1970年春、我が国では当たり前に様に遅れて、夏になってからだったんですが、なんとっ!
 
直後の9月にはジミヘンの突然の訃報が飛び込んで来たのですから、実は件のLPを買う余裕も無かったサイケおやじにとっては、どうにか聴く事の出来たバンド・オブ・ジプシーズの演奏が如何にも中途半端で物足りないものに思えていました。
 
それが掲載したシングル盤A面曲「チェンジズ / Changes」であり、歌っているのはバディ・マイルス、しかも演奏そのものがシンプルな8ビートによるソウルミュージックという印象で、そりゃ~確かにジミヘンの強烈なギターは聴けますが、決して主役では無いという……。
 
何よりも一聴して違和感を覚えたのが、ドラムスの単調さであり、何故ならばエクスペリエンス時代の前任者だったミッチ・ミッチェルはツインのバスドラを使い、思いっきり手数の多いドラミングという、当時で言えばザ・フーのキース・ムーンとかクリームのジンジャー・ベイカーのようなドカドカ煩いスタイルで、それがジミヘンの過激なギターと対峙して展開される演奏こそが、世界中を虜にしていたエクスペリエンスの魅力のひとつだとすれば、ここでサイケおやじが初めて聴いたバンド・オブ・ジプシーズは、やっぱり肩すかしだったのです。
 
また、もうひとつ期待外れだったのが、この音源が1969年大晦日から1970年元旦に行われた所謂年越しコンサートからのライブレコーディングだったにもかかわらず……、という点でありまして、実はこれが世に出るまでは、ジミヘンの公式ライブ盤は全く発売されていなかったという真相があったことも「火に油」だったように思います。
 
何故ならば欧米では普通に(?)接する事が出来たジミヘンのライブが我が国では全くの夢幻であり、おそらくはサイケおやじを含む日本のファンがこの頃までに体験出来たのは、1967年のモンタレーフェスにおける記録映像の爆発的パフォーマンスだけであったろうと思いますから、ジミヘンこそが一番にライブに行きたいロックミュージシャンであったという現実は、お若い皆様にも踏まえていただきたいところです。
 
しかも、サイケおやじの場合は現在追体験出来るフィルムの全長版よりも、ずぅ~~っと短いパートだけをテレビの洋楽番組で見ただけという状況でありながら、それでもジミヘン対ミッチという構図と展開には心底シビレさせられ、それこそが我が国でも発売されていたエクスペリエンスのスタジオ録音盤を聴く時の知覚拡大に役立っていたのですからっ!?
 
案の定、日本におけるバンド・オブ・ジプシーズの評価は芳しくない時間が長かったと思うのですが、いかがなものでしょう。
 
告白すればサイケおやじは、そうした第一印象が良くなかった所為で、バンド・オブ・ジプシーズのレコードは後々まで買わず、冒頭に述べた最初のアルバムにしても、友人から借りたLPをカセットコピーしたテープで漫然と聞いていただけでした……。
 
……続く。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 悲愁 | トップ | 迷い道 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Jimi Hendrix」カテゴリの最新記事