■ドッグ・オヴ・ベイ / Otis Redding (Volt / 日本グラモフォン)
私が初めてオーティス・レディングを意識した最初の曲が、いみじくも、この天才ボーカリストの遺作でした。原曲タイトルは、(Sittin' On) The Dock Of The Bay ♪♪~♪
それは昭和43(1968)年の初夏のことで、既にオーティス・レディングが飛行機事故で亡くなっていたことは当時、人気があった朝の若者向けワイドショウ「ヤング720 (TBS)」等々からの情報で知ってはいたのですが、実際にオーティス・レディングの歌をリアルタイムで聴いたのは、これが初めてだったのです。
そして一聴、妙に達観しているというか、不思議な哀しみが滲み出た歌唱に???
というよりも、当時の黒人大衆音楽、所謂R&Bは強いビートをベースにしながらも、例えばモータウンに代表されるスマートでメロディアスなポップス系か、もしくはウィルソン・ピケットやサム&デイヴのようなワイルドで熱い魂の叫びが魅力のギトギト系の二通りしか、私は意識していませんでした。
もちろん実際には、もっと多彩な楽しみが、黒人音楽にはあったわけですが……。
そこで、この曲はイントロの波のSEから、真摯でジェントルな歌い出し、そして強いビートとメロディ優先主義の演奏が、ジワジワと胸に迫ってくるという感じでした。
実は告白すると、私はオーティス・レディングがそれまでに大衆を熱狂させていた、あの強烈なソウル魂が溢れる歌は、聴いたことがありませんでしたから、それが結果的に良かったのかもしれません。
というのも、後追いで聴いたオーティス・レディングの熱唱名演の数々とは、明らかに異質なスタイルが、ここに楽しめるからです。おそらくデビュー当時からオーティス・レディングを聴き続けてきたファンの皆様ならば、大いに違和感を覚えたんじゃないでしょうか?
しかしそれにしても、この録音に関しては、セッション終了後の週末巡業中に飛行機事故で急逝……、という事実を鑑みても、歌詞の内容が意味深すぎます。
故郷を遠く離れた老人が独り、サンフランシスコの夕日の港で、海を眺めて物思い……。
後で知ったことですが、オーティス・レディングの歌は圧倒的にラブソングが多いのですから、こんな人生のせつない終焉を歌った曲が遺作になるとは、あまりにも出来すぎで、絶句するしかありません。
もちろん当時は中学生だったサイケおやじには、歌詞の意味も、その重さも、リアルタイムで理解していたはずもありませんが、この物悲しい雰囲気には非常に胸を熱くさせられました。
これも、ソウルミュージックの魅力なんですねぇ~。
そして当然ながら、速攻でこのシングル盤を買い、オーティス・レディングを追いかけ始めたわけですが、やはり聴くほどに早世が悔やまれてなりません。
ちなみに最近、有名人の訃報が連続にあって、本日は朝から、このシングル盤を聴きたくなったわけですが、やはり先ごろ天国へ召された忌野清志郎のキメ台詞「愛しあっているかい?」は、オーティス・レディングがオリジナルとされています。
それは1967年のモンタレー・ポップ・フェスティバルに出演したオーティス・レディングが、歴史的な熱唱となった「I've Been Loving You Too Long」を歌い出す前のMCの一節として、そのドキュメント映画に残されていますが、そこで字幕に「愛しあっているかい?」が出るのです。
ただし残念ながら、現在のソフトでは別に訳されているそうですが……。
それはそれとして、オーティス・レディングは映像作品も様々に出ておりますので、その熱いパフォーマンスにもシビレて下さいませ。
とにかくオーティス・レディングの影響を受けた歌手や音楽家の存在は限りなし!
享年26歳、しかし、その天才は永遠に不滅です。
コメント、ありがとうございます。
RCの2ndアルバムに収録された「2時間35分」は、モロにスタックス系R&Bしていましたですね♪
清志郎はジェームス・ブラウンやオーティスが大好きだったのですが、同時にブルースマンでもありました。
歌詞が最高なんですよねっ♪
名曲「スローバラード」でも、ふたりは「似た夢」しか見ないという表現は圧巻だったと思います。
キヨシロウもライブで「オーティス!」なんてよく叫んでいましたね
音楽をきくことを忘れかけていたんですが、最近やたら古い曲が聴きたいです