OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

移民の歌の今昔

2016-01-10 16:51:26 | Rock

移民の歌 c/w Hey, Hey, What Can I Do / Led Zeppelin (Atlantic / ワーナーパイオニア)

洋楽における1970年末の大事件といえば、レッド・ツェッペリンの3rdアルバム「Ⅲ」の発売もそのひとつでした。

それは極言すれば、ファンにとっては必須のアイテムでありながら、オンタイムでは美徳と背信に満ちたもので、なにしろLPのA面が如何にもの凄いハードロックでありながら、レコードをひっくり返したB面が、なんとっ!

およそ「らしくない」、当時流行のウエストコースト風味も入ったアコースティックなフォークソング集みたいな感じのトラックばっかりだったんですねぇ~~~~。

そして当然ながら、評論家の先生方や音楽マスコミからの批判も続出する中、しかし洋楽ファンにとってはハードロックの様式美を確立させた天下のゼップが与えたもうた試練と受け止める動きもあり、例えば大枚はたいたLPの片面しか聴かないというのは、不条理じゃ~ないかっ!?!

なぁ~んていう擁護論まであったほどです。

ところが流石は日本のレコード会社は熱心というか、件の「Ⅲ」のA面ド頭に据えられていた極みのハードロック、「移民の歌 / Immigrant Song」をシングルカットするという強硬手段(?)が大成功♪♪~♪

忽ち翌年からラジオの洋楽番組をメインに驚異的な大ヒットとなり、今日ではプロレスラーや野球選手の登場テーマソングにも用いられるほど知られつくした、おそらくはゼップのレコーディング楽曲の中では「天国への階段」と並び立つほど市井に流布した流行歌でありましょう。

そのキメは当時としてはシンコペイトしまくったリズムとビートのハードな存在感であり、加えて例の「アァアァァァ~~ッアッ」という激しい雄たけびとヘヴィなリフの複合攻撃がありますからねぇ~~~♪

一度聴いたら、決して忘れられないキャッチーさは、確信犯なんてもんじゃ~ないでしょう。

ちなみに掲載した私有シングル盤は公式流通品で、ちょうど日本における発売権が日本グラモフォンからワーナーパイオニアに移った時期ということで、最初に日本グラモフォンで企画されたブツはサンプル盤だけが存在するという、今となってはジャケ写デザインもカップリング曲も異なるというウルトラ級のコレクターズアイテムとして、これまた罪作りな高嶺の花ですから、興味が湧いた皆様であれば、ネットで探してみて下さいませ。

で、そのカップリング曲なんですが、ここでは「Hey, Hey, What Can I Do」というアルバム未収録のゼップ流ウエストコーストロックが入っているので、告白すればサイケおやじはそれが完全にお目当ての中古ゲットでありました。

う~ん、結局、この仕様のシングルカットは日本とアメリカが主導したようで、イギリスでは「移民の歌 / Immigrant Song」そのものがヒットしていたとは言えない状況らしいですよ。

さて、実は本日、サイケおやじが特に「移民の歌 / Immigrant Song」を取り上げたのは、その歌詞の中に、

 だから今 お前たちは立ち止まり
 全ての廃虚を建て直せ
 なぜなら 失ったものが沢山あっても
 平和と信用が 成功へと導いてくれるのだ

という一節があるからなんですよ。

ご存じのとおり、ゼップの「移民の歌 / Immigrant Song」は、北欧民俗の制覇を歌った内容らしく、具体的にはバイキングだとか、西を目指すだとか、あまり日本人には馴染の無い歴史が歌われていたようでありながら、そこでゼップが提示したサウンドの強引さがあればこそ、ノー文句で惹きつけられてしまったロック大好き人間には問答無用!

そして今日、欧州各地に押し寄せるシリア周辺からの夥しい難民の問題と、短絡的ではありましょうが、重なってしまった思いがサイケおやじにはあるからです。

しかも伝えられるところによれば、ドイツでは難民の中の極一部が強姦や窃盗をやらかし、現地の一般人を脅かし、ついには激しい対立抗争までもが勃発しつつあるという……。

もちろん日本の地で安穏としているサイケおやじには、その詳らかな事情は知る由もありませんが、それでもあえて「争い」という愚行の蔓延には悲しいものしか感じません。

そしてもしも、自分が当事者であったなら、危害を加える者が例え難民であろうとも、なんらの容赦もしないという気持ちは否定出来ないわけです。

う~ん、上手い解決策なんてものが、あるのかなぁ……。

ということで、ハードロックを聴いて神妙な気分というのも、妙な心持ちのサイケおやじでございます。

 

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2 コメント

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あのビート感が好き♪ (サイケおやじ)
2016-01-11 20:52:21
☆アンディP様
コメント、ありがとうございます。

ゼップの凄さのひとつにリズム&ビートの変態性があると思うんですよ。
それは意外と小技も上手いボンゾの力量があればこそ、様々なアイディが出せたんじゃ~ないでしょうか。

実は次作アルバムに入っている「Misty Nountain Hop」が大好きなんですよ♪
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ヴァイキングの末裔たち (アンディP)
2016-01-10 23:13:23
1970年のヒットチャートにおいて、インパクトという点では間違いなくNO.1のこの曲。
冒頭、ヒス・ノイズの混沌から突如飛び出すオクターブ違い同音連打のギター・リフに乗って、耳をつんざかんばかりに響き渡る野生の雄叫び。これで完全OKされました。
変にギターソロなど挟まず、コンパクトにまとまっているところがシングル向き、との洋楽ディレクター氏判断があったものと推察いたします。
2ndアルバムで、ハードロックの王者に登りつめた感のあるツェッペリン。新境地を示したこの3rdでは、かえって賛否両論、物議を醸してしまった訳ですが、個人的にはジャケットの面白さも含め、好きな作品です。
"Celebration Day"など、最高に格好エエ!!
黒人音楽(ブルーズ)等々をパクりつつ、それらに数々の仕掛けを施し、白人娯楽音楽向けにアレンジすることにかけては天才的なアイデアマン、ジミー・ペイジの面目躍如たるものがここにある、と言わずしてなんでしょう。
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