今日はイケイケ、ゾクゾク、ヒヤリ、グェッ、ヤッタ~♪ バンザ~イです♪
いやぁ~、WBCで日本が世界一! 本当に熱くなりました。そして爽快な疲れが、ということで、本日の1枚は和みのこれを――
■Line For Lyons / Favrizio Bosso meets Gianni Basso (Philology)
若手では実力世界一のイタリア人トランペッター=ファブリッォ・ボッソとベテランのテナー奏者=ジャンニ・バッソが、ジャズの歴史上名高いコンビのチェット・ベイカー&ジェリー・マリガンに挑戦したアルバムです。
録音は2005年4月6日という新録音物、もちろん演目はそれにちなんだものばかりで、メンバーはボッソ&バッソをフロントに、リズム隊は没個性派のアンドレア・ポッザのトリオが努めていますので、全体にツボをしっかりと掴んだ仕上がりになっています。
01 Line For Lyons
オリジナル演奏の雰囲気を大切にした穏やかモードの仕上がりで、和みます。とにかく全員が力んでいないのが好印象です。特にジャンニ・バッソは余裕の極みで、こういう人を聴くとハリー・アレンとかスコット・ハミルトンの存在が???になってしまいます。
02 My Fanny Valintine
チェット・ベイカーのあたり曲にファブリッォ・ボッソが果敢に挑戦しています。もちろんボーカルではなく、トランペット1本で迫りますが、ジャンニ・バッソがベテランの味で好サポート♪ ですからここでも、和みが前面に出ていますが、ファブリッォ・ボッソは一瞬の高速フレーズを交えて健闘しています。
03 Song For Strayhorn
これも和みの曲の極みというか、アンドレア・ポッザの絶妙なイントロに導かれたジャンニ・バッソのテナーサックスが最高の歌心を聞かせます。これはストレートにテーマを吹奏しているだけなのですが、その節回し、その「間」の取り方、そしてふくよかな音色の素晴らしさで、完全KOされていまいます。アンドレア・ポッザのピアノも存在感の薄さを逆手とった透明感が魅力になっています。
04 Love Me Or Leave Me
お待たせしました、ここでようやく演奏のテンポがあがって、明るく楽しい雰囲気が全開していきます。この曲もマリガン&ベイカー組が十八番にしていたスタンダードですが、ここでの演奏もそれに負けない歌心が満喫出来ます。
まず先発でファブリッォ・ボッソがベテランの味を発揮すれば、続くファブリッォ・ボッソは溌剌としていながら、味わい深いアドリブを展開していきます。もちろん高速フレーズ、ハイノートも炸裂! リズム隊もスマートな好演です。
05 The Nearness Of You
再びバラードの時間ということで、ここではファブリッォ・ボッソが一人舞台でソフトな情感を表現しています。それはややハスキーな音色を駆使しての丁寧な吹奏ですが、これは意図的なもので、徐々に艶やかな音色に変化していくあたりが流石です。さらにピアノソロを挟んでの後半では天才的なテクニックと歌心を見事に融合した名演となって、本当に身も心も酔わされてしまいます♪ あぁ、いつまでも聴いていたなぁ……♪
06 The Lady Is A Tramp
いきなりジャンニ・バッソが快適なテンポでテーマ吹奏からアドリブに入っていくあたりが、まず痛快です。そして続くファブリッォ・ボッソはミュートを付けての、これも快演! やや粘りが足りない気も致しますが、そこが如何にも白人らしいといえば、そのとおりです。それよりもここではリズム隊の素晴らしさに注目して聴きなおすと、楽しさが一段と増すようです。ホーン2本の絡みも爽やかに絶妙です。
07 Estate
近年、急速に人気が出てきたラテン系の哀愁曲が、ここでも定石どおりジックリと料理されています。 まずテーマを吹奏するファブリッォ・ボッソの素晴らしさにKO状態♪ ピアノのアドリブを挟んでのラストテーマの展開も絶品です!
08 If You Could See Me Now
ピアニストのアンドレア・ポッザが独壇場のソロを聞かせてくれます。何度か書いていますが、この人は没個性が個性という非常に得な存在感があって、それが安らぎを与えてくれるのでした。
09 Time After Time
個人的にとても好きなスタンダード曲を、ジャンニ・バッソがベテランの味でリードしながら演奏してくれますので、もう私はここで悶絶です。なにしろこの人のスタイルはコルトレーンなんて、知らないねぇ~♪ という保守伝統派で、それはレスター・ヤング&コールマン・ホーキンスの良いとこ取りの素晴らしさです。
続くファブリッォ・ボッソもミディアム・テンポのノリを壊さない歌心を発揮して、なおかつ、溌剌とした輝きを聞かせてくれるのですから、最高です。
10 My Foolish Heart ~ If You Could See Me Now
ジャンニ・バッソとアンドレア・ポッザが、これぞテナーサックスとピアノのデュオの見本という素晴らしい演奏を聞かせてくれます。醸し出されるこのムードには、もはや何人もつけ入るスキがないでしょう。それほど充実した時間が、たったの5分41秒! 至福の時間の短いことが残念ではありますが♪
ということで、このアルバムはド派手な演奏はありませんが、そのムード、その和み、そしてその歌心の完成度というあたりは、自宅で好きな酒でも嘗めながら、じっくり浸る私的な時間にぴったりの逸品です。
これは前述したように新録音物ですが、あぁ、現代でもこういうジャズが演奏されているんだなぁ♪ という快感も味わえるのでした。ちなみに同一企画のアルバムが、同じメンツでもう1枚出ているので、それも入手しようと決意しております。