OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

イノセントな春の微熱

2017-03-21 18:21:31 | 歌謡曲
春 / 沢田聖子 (クラウン)

ここ数日、ポカポカ陽気だったのとは反対に、どうにも今日は肌寒さを覚えるサイケおやじですが、皆様はいかがでございましょう。

そこで取り出したのは、思いっきりベタな選曲ではありますが、沢田聖子が昭和56(1981)年3月に出したシングル盤A面収録「春」であります。
  
 春ぅ~ 早くぅ~ 来てぇねぇ~~ 私のぉ~所へ~~♪
 あ~のぉ~人の所へ~ とどけてあげたいぃ~~~♪

疑似バロック調というか、ちょっぴり勿体ぶったイントロから躍動的なリズムに転じて、こんなふうにイノセントな声質と節回しで歌われちゃ~~、ロリ趣味が無くっても、相当にイチコロモードに誘われてしまいますねぇ~~~♪

微妙に中華メロディが滲んでいるような気がするのも、なかなか良い感じだと思うところですが、楽曲そのものはイルカのオリジナルとして、作者本人が既に昭和49(1974)年に発表していたというのですから、これは所謂カバー物ではありますが、ここでは渡辺博也のアレンジが如何にもの歌謡フォークがど真ん中であり、その胸キュン性感度の高さはニクイばかり♪♪~♪

ちなみに沢田聖子は同時期に売れまくっていたアイドル歌手の松田聖子と芸名の字面が似ているので、その紛らわしさと愛くるしいルックスが相乗効果としてのマイナスのベクトルを描いている事は否めませんが、沢田聖子は「さわだしょうこ」と読むのが正解であり、音楽性の基本はシンガーソングライターであって、しかもアイドル性を持ち合わせていたという稀有な存在でありました。

ただし、彼女が第一線で活動していた時期の我が国芸能界は、本格的なアイドルシンガーが男女共に必要とされていた頃でしたし、一方ではニューミュージックと称された新種の歌謡曲が完全に市民権を得ていたのですから、そんな流行に染まりきらない沢田聖子の魅力には熱心な信者が現在でも少なくないと言われています。

つまり逆に言えば、彼女はその佇まいとは裏腹に孤高の存在でもあったと書けば大きな勘違いかもしれませんが、そのイメージですら、例えば中島みゆきの様な、ある種の毒性が無い分だけ、地味という一言で片づけられるというか……。

ちなみに沢田聖子は前述したイルカの妹分としてデビューを飾ったそうですし、実際に同じ事務所に所属して活動していた事から、この「春」も堂々のお墨付きがあったのでしょう。残念ながら大きなヒットにはなりませんでしたが、当時はラジオや有線から頻繁に流れていた記憶がありましたので、サイケおやじもすっかり刷り込まれた結果として、後年中古屋でゲットしてしまったのが、掲載の私有盤というわけです。

ということで、本日は特段のオチもございませんが、春なればこその微熱な気分や曖昧な心境は、日頃のリスニングライフにも影響するのは確かであって、案外と聴いていなかった、もしくは聞かず嫌い巣になっていた歌や演奏が気になったりするようです。

そんな気分を噛みしめつつ、サイケおやじは持ちネタのレコードを聴き直したい欲求に苛まれております。

あぁ……、もっと時間を!

チャック・ベリー、逝く…

2017-03-20 17:33:58 | Rock
Chuck Berry's Greatest Hits (Chess)

 A-1 Roll Over Beethoven
 A-2 School Days
 A-3 Rock And Roll Music
 A-4 Too Much Monkey Business
 A-5 Johnny B. Goode
 A-6 Oh, Baby Doll
 B-1 Nadine
 B-2 Maybelline
 B-3 Memphis
 B-4 Sweet Little Sixteen
 B-5 Thirty Days
 B-6 Brown Eyed Handsome Man

チャック・ベリーが天国へ召されました。

故人の偉業については、あらためて述べるまでもないほど、現代の大衆音楽に強く、深く浸み込んでいるわけで、殊更ロケンロールの基本的なノリを定着させたのは、チャック・ベリーに他ならないと思っています。

そして、そこで威力を発揮したのが、本人が歌いながら弾いていたギターの存在感であり、アンプにシールドで直結したギブソンのESから飛び出すリズムとビート、そして明らかにそれまでのブルースやジャズ等々の黒人音楽とは似て非なるシンコペイトしたリックは、自作の歌にはジャストミートの合の手となり、同時にリスナーをエキサイトさせる魔法の源泉であった事は、現在も変わらぬ真理でありましょう。

ですから、今に繋がるロックの基幹であるギターヒーロー、スタアプレイヤーのほとんどは、チャック・ベリーに由来するスタイルから脱却していないんじゃ~ないでしょうか。

また、それが凄いのは、チャック・ベリーのギター奏法やフレーズは、基本的に3~5~7フレットをメインにスラーやダブルノートのピッキングを用いた、比較的シンプルなスタイルですから、フレーズそのものは中学生でも練習すれば、それなりに弾けるものではありますが、ところが実際にやってみると、あの強烈なノリを出すのは至難のワザ!

逆に言えば、それが出来ればロケンロール&ロックはやれるはず!

という真実の探求を提示しているわけで、例えそれがサイケおやじの独断と偏見であろうとも、思い込んだら試練の道の練習意欲を喪失させられるものではありません。

さて、そこで本日掲載したのは、そんなサイケおやじがチャック・ベリーのギタースタイルを練習するべく愛聴していた故人のベスト盤で、収録されているのは上記のとおりのヒットパレードですから、既に耳に馴染んだ名曲名演を自分の両手に伝える作業も、ちっとは楽になるはずと思いきや、聴くほどに、そしてコピーに勤しむにつれ、その真髄に迫るなんてこたぁ~、不遜の極みと痛感させられるばかり……。

結局は難しいところを端折り、ゴマカシに走るという姑息な逃げ道の研究に結び付いてしまったのが、サイケおやじの真実の懺悔であります。

ということで、チャック・ベリーに関しては、これからも語りつくせぬ業績と伝説が残るばかりだと思いますが、本日のサイケおやじとしては、衷心よりご冥福を……。

合掌。

ベタな歌謡フォークって、やっぱりウケるよねぇ~~

2017-03-19 20:06:24 | 歌謡曲
水色の街 / 三輪車 (東芝)
 
学生時代に入れてもらっていたアマチュアバンドは基本的にアメリカンロックを標榜していながら、諸事情から当時流行の歌謡フォークをライブの現場で演じなければならないという、ど~にも自己矛盾の活動に終始していた話は、これまでにも拙ブログでは度々書いてきたわけですが、三輪車と名乗る3人組が昭和49(1974)年に出したとされる本日掲載のシングル盤A面曲「水色の街」も、サイケおやじにとってはホロ苦い思い出の……。

それは昭和50(1975)年の春、ちょうど今頃の時期だったんですが、件の入れてもらっていたバンドメンバーや仲間共々に関西の某所に合宿を名目にした物見遊山へ出かける事になり、併せて幾つかの場所でライブもやらせてもらえるという仕込みもあったもんですから、サイケおやじもホイホイ浮かれて連れて行ってもらったまでは良かったんですが、皆様ご推察のとおり、そこで演じなければならなかったのはロックじゃ~なくて、予めリクエストされていた歌謡フォーク主体のプログラムだったんですから、なんだかなぁ……。

で、この「水色の街」も、その中にありまして、曲調はアップテンポの典型的な爽やか歌謡フォークだったんですが、実はサイケおやじも、またバンドの先輩諸氏も、ほとんどこの楽曲を知らず、ところが関西地区では堂々の大ヒットになっていたというのですから、まさに自分達は井の中の蛙だったというわけです。

なにしろ山崎稔(vo,g)、西之辻功(vo,g)、田川昭夫(vo.b) のトリオ編成だった三輪車は関西出身であり、リアルタイムで大学生だったというのですから、年齢的にも自分達と同世代のグループが既にプロとしてデビューし、人気も高かったというのでは、我々の胸中をお察しいただければ幸いでございます。

もちろん、自分達は誰もプロになる気は微塵もなかったんですけどねぇ~~、そんな言い訳を弄する事だけでも、姑息に思われるのは必至の状況の中、とりあえず早速レコードを入手し、コピーに勤しんでみれば、山崎稔の作詞作曲は売れセンがど真ん中ですし、軽快なリズムやストリングスを歌謡ポップス調に用いた竜崎孝路のアレンジも用意周到で、告白すれば、演じての気持良さが「水色の街」には確かにあるんですねぇ~♪

ただし、失礼ながら、どうにもペチャペチャしたリードボーカルの「味」だけは、サイケおやじには許容出来ない世界であり、これはバンドの先輩諸氏も同意見でしたので、なんとかウエストコーストロックに変換しようとあれやこれや、そんな試行錯誤こそが、バンドをやる楽しみのひとつでありました。

で、肝心のライブでの結果は、まあまあのウケがあったんで、ちょっぴりイイ気になっていたですよ、なにしろそこは某大手企業の主力工場のパーティー会場で、女子工員さんが大勢集っていましたからねぇ~~。

う~ん、やっぱり歌謡フォークをやらなけりゃ~、女の子には相手にされない!?

恥かしながら、そんな人生訓めいたものを感じたほどでしたが、考えてみれば当時はガロ、かぐや姫、アリス等々が人気を集めていた、つまりはトリオ編成で歌謡フォークを演じるのが流行最先端であれば、さもありなん……。

問題はサイケおやじが、そこに覚悟を決められるかが問われるわけでして、答えは否だった事は、こうして今、こんな戯言を綴っている事に収斂しております。

最後になりましたが、三輪車のメンバーの中では山崎稔が後にソングライター&プロデューサーに転身し、多くのヒット作に関わっている事は皆様ご存じのとおりです。

それとちょい前、NHKの朝ドラ「あさが来た」の主題歌として大ヒットした「365日の紙飛行機」が、この「水色の街」のパクリとして話題になっていましたが、それは否定出来ないとサイケおやじも思いますので、気になる皆様はご確認下さいませ。

まあ、ウケる歌の黄金律は不滅ということで♪♪~♪

やるだけやって

2017-03-18 18:00:19 | Weblog

仕事で縺れた諸々を解いて解決するべく、九州にやって来て、これから戻ります。

卑屈な気持ちからではなく、やっぱり頭を下げる事の大切さをあらためて痛感しております。

どうにか心も晴れました。

昨日に続き、本日もご報告オンリーで申し訳ございません(__)

明日からは、前向きにやりますよっ!


ボヤキご容赦…

2017-03-17 18:05:05 | Weblog

仕事が縺れて、ついに先方とサシで対決するハメになりました。

と書けば、なんだか任侠映画みたいですが、そこまでカッコイイものじゃ~なくて……。

最後はど~せ、銭金の話になる事は自明の理です。

こっちに非が無いのは周知の事実なれど、別に弱い者イジメしているわけじゃ~なくて、と言い訳を繕わなければならないのが、アホらしい!

そんなこんなで本日の1枚は休載、ご理解下さい。

今夜は気分転換にバカ騒ぎしたいです。

失礼致しました。


杏真理子を聴ける幸せ♪

2017-03-16 19:57:29 | 歌謡曲
地下鉄のスー c/w 風とともに消えた / 杏真理子 (日本コロムビア)

久々の朗報♪♪~♪

それは昨夜、閉店ギリギリに飛び込んだ某大型ソフトショップで、なんとっ!

杏真理子の「コンプリート・シングルス +」という復刻CD遭遇し、もちろん速攻でゲットした後は、愛車の中でも自宅でも、聴きまくりの桃源郷であります♪♪~♪

いゃ~~正直、待ち望んでいたとはいえ、まさかっ!?

て思うほど、杏真理子の認知度が、ここまで高まっていた結果は潜在的なものではありましたが、これを機会に、広く歌謡曲ファンには彼女の歌が手軽に堪能出来る幸せをっ!

と、思わず力が入ってしまいましたが、本日は件のCDにも当然収録されている、昭和47(1972)年5月に発売された彼女の4枚目のシングル盤をご紹介させていただきます。

なにしろこれがサイケおやじの愛聴盤のひとつであり、本来の彼女の持ち味である泥臭さがファンキー&フォーキーという洋楽志向へと活かされた仕上がりですからねぇ~~♪

それはまず、作詞:阿久悠&作曲:彩木雅夫、そして編曲:小杉仁三によるA面「地下鉄のスー」が、ほとんど和田アキ子中村晃子が歌っても違和感を覚えないであろう、所謂R&B~ソウル歌謡の典型であり、もちろんミディアムアップの演奏にはソウルジャズ系のグルーヴが横溢していますよ♪♪~♪

あぁ~~、このギターのフレーズと音色、間奏におけるオルガンのアドリブ、アタックの強いホーンセクションは言わずもがな、シャープで粘っこいリズムを叩き続けるドラムスのビート感も、実にたまりません♪♪~♪

ですから杏真理子も堂々の実力を発揮する歌唱を披露しているんですが、欲を言えば、もう少し阿久悠の綴った歌詞に色恋沙汰の下世話さがあればなあ~~、という不遜な思いがサイケおやじには確かにありまして、そのあたりが大衆的なヒットに結び付かなった要因でしょうか……。

しかし、だからこそ、時代を超えてというか、レアグルーヴ歌謡の逸品として、現在の方が人気を集めているのは悲喜こもごもというわけでして、そのあたりも味わい深いのが昭和歌謡曲の楽しみのひつと思います。

そしてその意味も含めて、これまた素敵なのが同じ作家コンビが提供したB面曲「風とともに消えた」で、こちらはリアルタイムの流行最先端であった歌謡フォーク味が強く滲み出た傑作♪♪~♪

タートルズっぽい雰囲気を入れた馬飼野俊一のアレンジも秀逸ですし、泣きメロにジャストミートした刹那の歌詞、それを力強く、また同時に哀愁を漂わせて歌う杏真理子の魅力には我知らず、グッと惹きつけられてしまいます♪♪~♪

ということで、冒頭に述べた復刻CD「コンプリート・シングルス +」にはシングル曲、唯一残されたLP収録曲に加えてカラオケテイクも含む全24曲が収められ、気になるマスタリングにも個人的には特に問題は感じませんので、お楽しみ下さいませ。
 

さあ、もう一回、聴こおぉ~っと♪♪~♪

春にやってきたポピンズ

2017-03-15 17:37:31 | 歌謡曲
妖精ポピンズ c/w ストロベリー・プリンス / ポピンズ (CBSソニー)

別に歌謡曲に限りませんが、これまで数多発表され、巷に流れた諸作の中で、サイケおやじが気に入った歌や楽曲がヒットした確率は当然ながら高くありません。

つまりは、それもまたサイケおやじの好みのズレを証明する事柄なんでしょうが、制作側だって、あえて売れそうもない商品を出すほどの酔狂は稀なはずですから、結果論として、市場の未来予測における最大公約数を図り損ねたという、些か堅い論評よりは、時代にアクセス出来なかった……、と納得するのが素直な解釈なのでしょうか。

例えば昭和61(1986)年春に本日掲載のシングル盤でデビューしたポピンズは、ルックスはサイケおやじが興味を抱かないロリ風ぶりっ子ながら、しかしその佇まいからは妙にナチュラルな色っぽさが滲み、しかも、これが一番にサイケおやじの好みだったのが、オールディズ趣味が程好く感じられる楽曲の仕上がり具合でありました♪♪~♪

それはとにかく作詞:売野雅勇&作曲:井上大輔、そして編曲:清水信之が手掛けたA面曲「妖精ポピンズ」を聴いた瞬間、グッとシビレが止まらなくなったほど、サイケおやじのポップス愛好性感度のツボをストレートに刺激する美味しさが満点♪♪~♪

全体としてはキーボード主体の音作りに弾んだリズムのアップテンポ曲であり、コード進行も循環系ではありますが、隠し味的なスパイスの利いたアレンジには、殊更バックのコーラスが春~初夏向きのビーチボーズ由来という、そのハリウッドポップスっぽさがニクイばかりに横溢していますし、ポピンズのボーカルの子供っぽさには、1970年前後にアメリカを中心に流行ったファミリーグループ的なホノボノ感があるんですから、基本的に洋楽で育ったサイケおやじ世代にとっては好ましいわけなんですが……。

それゆえに当時のローティーンにはアクセスし難い現実があったのでしょう、結果的にブレイクは局地的で、何時の間にかフェードアウト……。

それでも今もって根強いファンが存在しているのは、まず彼女達のキュートなルックスを活かした衣装やフリが演じる歌に合っていた事も大きいようで、この「妖精ポピンズ」にしても、テレビ出演時にしか接した事の無いサイケおやじが、超ミニスカから露出(?)されたムチムチした脚や腰&尻の動きのセックス連想疑惑等々、これじゃ~ロリコン趣味の皆様なれば、辛抱たまらんの世界じゃ~なかろうかぁ~~♪

なぁ~んて余計なお世話も積み重ねるわけですが、例え言い訳と受け取られようが、サイケおやじとしては、やっぱりこのシングル盤に収められた楽曲にシビレているのが一番に正直な気持ちでありまして、作詞:亜伊林&作編曲:馬飼野康二が担当のB面曲「ストロベリー・プリンス」も、A面と同趣向の味わいは捨て難いですよ♪♪~♪

ちなみに書き送れてしまいましたが、ポピンズは金子恵実と芳賀絵巳子のリアルタイム高校生デュオと紹介されており、立ち位置左側が金子恵実だとすると、彼女はポピンズがフェードアウトして以後、グラビアアイドルとして人気を集めた「金子えみ」と同一人物なんでしょうか?

勉強不足のサイケおやじですから、あまり不確かな事は書けないと自覚しつつも、ポピンズが殊更実演の場で滲ませていたフェロモンを勘案すれば、その確立も低くはないのでは?

ということで、妄想主体の本日のご紹介ではありますが、とにかくポピンズが残してくれた「妖精ポピンズ」は、アイドル歌謡ポップスの裏人気作と思うばかり♪♪~♪

「表」にならないあたりこそ、サイケおやじの愛着も深いというわけです。

白い一日

2017-03-14 19:28:26 | Weblog

と言っても雪が降っている街にいるわけもなく、ましてや井上陽水の名曲にも関係がなく、今日はホワイトディとかで、バレンタインディに贈られた義理チョコの返礼という名目に女子会へ献金(?)の午前中……。

そして午後からは定期健診にて、眼底検査を受けさせられ、瞳孔を強制的に開く薬を点眼され、目の前が真っ白!

ようやく少~し回復してきたんで、なんとかこれを書いている次第です。

ということで、やっぱり目が疲れるので、本日はこれにて失礼させていただきます(__)

 


それぞれの春休み

2017-03-13 19:16:57 | 歌謡曲
春休み / 水谷麻里 (ビクター)

ど~しても内向きになりがちな冬が過ぎ、ウキウキするような陽光の中にあっても、やはり春は別れと旅立ちの季節ですから、センチメンタルな気分と高揚するハートビートを同時に感じる事が出来るという、なかなか一年の内では貴重な時間だと思います。

それは齢を重ねても変わらぬ心情でありましょうし、殊更青少年期には「春休み」という、せつなくも前向きな時間が用意されている事は、人それぞれに様々なドラマが作られる素敵なプレゼントかもしれません。

さて、そこで本日ご紹介するのは、そのものスバリっ! 

水谷麻里が昭和63(1988)年早春に出したシングル盤A面曲「春休み」なんですが、水谷麻里の春の歌と言えば「春が来た」があまりにも有名であり、そのブッ飛び具合は追従を許さぬ仕上がりだった事を思えば、この「春休み」は正統派アイドル歌謡の王道作品として、これまた如何にもの王道路線なんでしょうか?

と書いたのも、当時は例の「おニャン子」系アイドルが全盛期であり、所謂集団アイドルの端緒的ブームの中で、水谷麻里は「単体」として頑張っていたのですから、作詞:サエキけんぞう&作曲:平井夏美 そして編曲:川上了の制作スタッフも本気度は高かったように思いますし、実際に仕上がった楽曲はアップテンポの洋楽歌謡とでも申しましょうか、リアルタイムで流行っていたサンウド作りは当然ながら、平井夏美の書いたメロディラインには随所に往年のヒットポップス風味が滲み出ており、匠の技の冴えを感じてしまいますねぇ~~♪

ちなみに平井夏美とは、ビクターやソニーで秀逸、そしてマニアックなアイドルポップスを手掛けていたディレクターのK氏という説が知られていますが、とにかくビートルズ&ビーチボーイズへの造詣の深さは相当なものと思うばかりです。

閑話休題。

で、肝心の水谷麻里の歌唱は決して万全とは言い難く、失礼ながら危うい部分を個性とか魅力と思えば、なかなか胸キュンの印象が残ります。

そして特筆しておきたいのが、彼女にとっては、これがアイドル時代最後のシングル曲になってしまったという事実りであり、それは皆様ご存じのとおり、人気漫画家の江口寿史との結婚は彼女が選んだ道ですから!

その意味で曲終わりに彼女のデビュー曲「21世紀まで愛して」のメロディがループ気味に入れられているのは大切な意味があったのだっ!?!

というふうに解釈されているそうで、実はサイケおやじは、それに関して知ったのは後追いなもんですから、本音では実感していなかったんですけど、なかなか上手いフェードアウトの仕掛けにはニンマリさせられましたですよ。

う~ん、そう思えば――

 宝石箱へと想い出をつめる
 Bye-bye 春休み

という歌詞も相当に意味深ですねぇ~~、サイケおやじは好きです♪♪~♪

最後になりましたが、サイケおやじが一番に自覚した春休みといえば、高校を卒業した直後の時期で、運良く進学も叶い、これからは大人の仲間入りとばかりに、それまでは後ろめたい気持ちを隠しながら入場していた成人映画を上映している映画館へも堂々とっ!

てな事を実践していたのですから、いやはやなんとも、今でも額に汗が滲むのでした。

桜田淳子の黄色いリボン

2017-03-12 17:34:02 | 歌謡曲
黄色いリボン / 桜田淳子 (日本ビクター)

なんだか最近、芸能界への本格復帰が噂される桜田淳子はご存じのとおり、テレビスカウト番組「スター誕生(日本テレビ)」において圧倒的な評価と支持を集めてのデビューだった事は今や伝説ではありますが、彼女自身の信仰の自由を悪い方向へと解釈する報道や結婚からフェードアウトした経緯はファンならずとも忘れられていないでしょう。

しかし、逆に言えば、それでも桜田淳子のスタア性は失われていない事の証明でもあり、もしも芸能界へ戻って来るとなれば、大きな騒ぎは必至でありましょう。

と書きながら、サイケおやじは決して彼女のファンであったわけではなく、歌謡界のアイドルスタア歌手とは認識していながら、レコードはそれほど所有してはおらず、告白すれば、その僅かな私有盤にしても、中古ゲットばかりなのが実情ですから、桜田淳子については、熱く語れるところがありません。

なにしろ彼女が昭和48(1973)年に鳴り物入りでレコードデビューを飾り、連日の様にテレビ出演していた頃には、何時も被っていた例の帽子、確か「エンジェルハット」とか称されていたその印象ばかりが強く、楽曲そのものについては些か当たり前過ぎる感を覚えるという不遜な態度でしたからねぇ……。

ところが翌年になって出した本日掲載のシングル盤A面曲「黄色いリボン」は、最初に某レコード屋の店頭で聴いた瞬間、うっと呻かされたほどのインパクトがありました。

それは曲調の基本にスイングジャズっぽいノリとメロディがあり、カラオケパートの演奏にしてもゴージャスなブラスセクションと不思議な躍動感が計算されたようなリズム隊の存在が素晴らしく、中でもエレキベースの確信犯的に目だった動きは、当時の歌謡曲としては変態的と思えるほどだったんですねぇ~~♪

そして桜田淳子のボーカルにはエフェクターとエコーが付与され、おまけにダブルトラックによる節回しが、これまた浮世離れしているというか、桜田淳子が本来の声質を活かしつつも、奇妙な味わいすら覚えるのは、ハリウッドポップスにおけるワーナー&バーバンクサウンド系の面白さに共通するものを感じるほどでした。

つまりハリウッドで作られていた往年の映画サントラ音源の響きがアイドル歌謡に用いられていたかのような、これはサイケおやじの完全なる独断と偏見であろうとも、楽曲そのものが既に述べたとおり、スイングジャズ調であれば、それは周到に作られた成果と思いますが、いかがなものでしょう。

定型というには複雑な代理和音を用いたコードの展開も良い感じ♪♪~♪

また、これは完全な後付けになりますが、数年を経て中古で入手したレコードで聴いてみると、前述したダブルトラックのボーカルには各所でズレが散見され、もしもそれが意図的に残され、或いは作為的に仕掛けられたのだとすれば、作編曲を担当した森田公一は流石に天才であり、まさに当時のアイドル歌謡を作らせては最高のソングライターが存在証明でありましょう。

ただし、もうひとつ不遜な事を書かせていただければ、阿久悠の綴った歌詞にはちょっぴり何時ものスパイスが足りないような……。

それでもこの「黄色いリボン」は間違いなく、いよいよ桜田淳子の大ブレイクに繋がる指標であり、具体的にはテレビ出演時には超ミニスカの衣装でダンス系アクションも交えて歌う姿からは、キラキラした本当のアイドルスタアの輝きが見て取れましたですねぇ~~♪

ということで、桜田淳子が大スタアであった事は言うまでもなく、だからこそ復帰が望まれるとはいえ、そこで昔の騒動(?)を蒸し返す報道をやろうとするマスコミの姿勢が強く出るのであれば、例えそれが話題作りであったとしても、素直ではないと思います。

ファンのストレートなアイドルへの思いこそが、芸能界やそこに縋りつく(?)マスコミを支える原動力のひとつであるとすれば、余計な夾雑物は不要と思うばかりです。