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安保懇報告書 専守防衛も外せとは    中日新聞社説から

2009年08月06日 22時26分36秒 | Weblog
★五日の中日新聞の二面に『”国是”転換さらに・・歯止め崩れる防衛政策』の見出しをみて驚いて読んでみました。戦後国防の原則として守り通した「専守防衛」という政策をついに大転換する政府の懇談会報告が提出されたというのです。
 国民にとって重大な国の方針変更の指針が出されたわけです。
 九条をまもり抜きたいと考える者にとって見過ごすことのできないニュースです。中日新聞社は賢明にもこの重要性を認識して社説に疑問をていしています。
転載します、ぜひお読みください。(まもる)

【社説】

『安保懇報告書 専守防衛も外せとは』
           中日新聞朝刊 2009年8月5日

首相の諮問機関である「安全保障と防衛力に関する懇談会」がまとめた報告書は、多くの問題をはらんでいる。平和憲法の下、戦後歩んできた日本の国防政策の根幹を揺るがしかねない内容だ。

 安保防衛懇が麻生太郎首相に提出した報告書は、年末に予定される、防衛力整備の基本方針を示す「防衛計画の大綱」改定に反映される運びだ。衆院選後に「民主党政権」が誕生した場合、棚上げされる可能性があるとはいえ、見過ごせない提案が少なくない。

 国際テロや大量破壊兵器の拡散など国境をまたぐ安全保障上の脅威の増加を指摘。日本周辺では、核・ミサイル開発を継続する北朝鮮や、軍事力の増強を図る中国などの存在に触れ、自衛隊活用の積極論を展開している。

 安全保障をめぐる国際環境は確かに楽観を許さない。それを口実に従来の自衛隊海外活動の制約を、次々と外そうとしているのではないか。

 自衛権の行使は必要最小限度の範囲に限られるとし、集団的自衛権は保有しているが行使できないというのが政府の憲法解釈だ。報告書は米国に向かう弾道ミサイルの迎撃や、ミサイル警戒に当たる米艦船の防護を可能にすべきだと解釈見直しに言及した。

 現実問題として実行可能かどうか分からない活動にゴーサインを出すことで、解釈変更の風穴をあける意図が見え隠れする。

 外国への武器輸出を禁じた三原則緩和や、敵基地攻撃能力の検討なども盛り込んだ。

 極め付きは、専守防衛の基本政策の見直しである。「専守防衛の持つ語感は率直かつ自由な思考・発想を止める要因になっており、不必要に広く解釈されることは好ましくない。意味を明確化させることが有益だ」。まわりくどい言い回しだが、要は国是の「看板」を外すべきだと読み取れる。

 メンバーには、安倍政権時に発足し集団的自衛権行使容認を打ち出した有識者会議に参加したタカ派論客が複数いる。初めに結論ありきの印象が否めない。海外に誤ったメッセージを送る恐れもあり、提言のタイミングや外交センスを疑わざるを得ない。ハト派を自任する自民党議員や公明党の受け止めを聞きたい。

 政権交代が取りざたされる衆院選へ各党が事実上の選挙戦に突入したどさくさの中で、駆け込み的に安保政策の大転換が促される。これほど危険なことはない。



コメント (4)
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忘れまい 峠三吉原爆詩      まもる

2009年08月06日 09時09分02秒 | Weblog
★被爆の追悼記念番組で、被曝された方々が「あの日の記憶が日本人から消えていくのが何より恐ろしく、耐えられない」と涙ながらに話してみえたのが印象的でした。その想いも込めて今朝は峠三吉の原爆詩を載せたいと思います。
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1945年8月6日、広島に投下された原子爆弾により命を奪われた人、また現在にいたるまで死の恐怖と苦痛にさいなまれつつある人、そして生きているかぎり憂悶と悲しみを消すよしもない人、さらに全世界の原子爆弾を憎悪する人々に捧ぐ (峠三吉)



  ちちをかえせ ははをかえせ
  としよりをかえせ
  こどもをかえせ
 
  わたしをかえせ わたしにつながる
  にんげんをかえせ

  にんげんの にんげんのよのあるかぎり
  くずれぬへいわを
  へいわをかえせ



    八月六日

  あの閃光が忘れえようか!
  瞬時に街頭の三万は消え
  圧しつぶされた暗闇の底で
  五万の悲鳴は絶え

  渦巻くきいろい煙がうすれると
  ビルデイングは裂け、橋は崩れ
  満員電車はそのまま焦げ
  涯しない瓦礫と燃えさしの堆積であった広島

  やがてぼろ切れのような皮膚を垂れた
  両手を胸に
  くずれた脳漿を踏み
  焼け焦げた布を腰にまとって
  泣きながら群れ歩いた裸体の行列

  石地蔵のように散乱した練兵場の屍体
  つながれた筏へ這いより折り重なった河岸の群も
  灼けつく日ざしの下でしだいに屍体とかわり
  夕空をつく火光の中に
  下敷きのまま生きていた母や弟の町のあたりも
  焼けうつり

  兵器廠の床の糞尿のうえに
  のがれ横たわった女学生らの
  太鼓腹の、片眼つぶれの、半身あかむけの、丸坊主の
  誰がたれとも分らぬ一群の上に朝日がさせば
  すでに動くものもなく
  異臭のよどんだなかで
  金ダライにとぶ蝿の羽音だけ

  三十万の全市をしめた
  あの静寂が忘れえようか
  帰らなかった妻や子のしろい眼窩が
  俺たちの心魂をたち割って
  込めたねがいを
  忘れえようか!


     仮繃帯所にて

  あなたたち
  泣いても涙のでどころのない
  わめいても言葉になる唇のない
  もがこうにもつかむ手指の皮膚のない
  あなたたち

  血とあぶら汗と淋巴液とにまみれた四肢をばたつかせ
  糸のように塞いだ眼をしろく光らせ
  あおぶくれた腹にわずかに下着のゴム紐だけをとどめ
  恥しいところさえはじることをできなくさせられたあなたたちが
  ああみんなさきほどまでは愛らしい
  女学生だったことを
  たれがほんとうと思えよう

  焼け爛れたヒロシマの
  うす暗くゆらめく焔のなかから
  あなたでなくなったあなたたちが
  つぎつぎととび出し這い出し
  この草地にたどりついて
  ちりちりのラカン頭を苦悶の埃に埋める

  何故こんな目に遭わねばならぬのか
  なぜこんなめにあわねばならぬのか
  何の為に
  なんのために
  そしてあななたちは
  すでに自分がどんなすがたで
  にんげんから遠いものにされはてて
  しまっているかを知らない

  ただ思っている
  あなたたちはおもっている
  今朝がたまでの父を母を弟を妹を
  (いま逢ったってたれがあなたとしりえよう)
  そして眠り起きごはんをたべた家のことを
  (一瞬に垣根の花はちぎれいまは灰の跡さえわからない)
  
  おもっているおもっている
  つぎつぎと動かなくなる同類のあいだにはさまって
  おもっている
  かつて娘だった
  にんげんのむすめだった日を
   
コメント (3)
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