羽生直剛の「言葉」 文科系
これは、サッカー選手、FC東京・MF羽生直剛のコラムから採った。毎日新聞昨夕刊のスポーツ欄ですぐに目についた言葉、考え方が連続していたからだ。サッカーの見方を習う絶好の教材だなと直感したものである。主として個人技術だけを述べた部分なんかどこにもないからである。
【 城福監督が目指す「人もボールも観ている人の心も動かすサッカー」。その姿は最初、ぼんやりとしていたが、最近はピントが合ってきたと感じている。6、7月にリーグ戦で5連勝したころは、自分が相手だったら「嫌だな」と思うようなボールの動かし方ができていた。
ボールの「落ち着きどころ」が増えたことがその要因だ。センターバックの2人(今野、ブルーノクアドロス)は最後尾からボールをつなぐことができるし、相太(平山)も前でボールが収まるので、主導権を握れる試合が増えてきた。
でも、8月は一転して勝てない試合が続いている。対戦相手による研究も進み、ボールを支配して攻め込んでも、少しずつタイミングがずれるなどして、相手にとっては守りやすい状況が出ている。逆に、それまでがうまくいきすぎていた面もある。すでに2けた得点を挙げているナオ(石川)のスーパーな活躍があった。周りの選手がナオの力を最大限に生かそうと動いていたがナオが故障してメンバーが入れ替わる中で、新しく入った選手の特徴を引き出せていない。(攻略) 】
サッカーの名選手とは、個人の技量だけ見ていたらどこが名選手なのかさっぱり分からないだろう。そこで得点だけに目がいくことになってしまう。その得点でさえが強いチームの場合は特に、個人中心で挙げるようなことはほとんどない。MFなのに前半戦の全く意外な得点王とも言える上記ナオ(石川直宏)も、全く同じだ。FC東京は今や強いチーム、そして、強いチームほど組織的だからである。
逆に弱いチームは個人が目立つ。弱いチームの点取り屋についてはほとんど、こう言えるほどだとさえ思う。
「他人が当てにならないから自分で点を取りに行くしかない。同等レベルの弱いチーム相手には今のように点がとれても、強いチームへ移ったら相手も組織的に守ってくるから、『他人と連動して点を取る』こと中心になるしかないが、そういうことが彼にできるのだろうか。さらに、強いチームの組織的守備を、自分の独断的点取りで乱さずに済むだろうか」
上記石川直宏について8月14日ここに書いた投稿から、抜粋しておく。彼や羽生のチームは今や、強いチームなのだ。
【 ③最後に平山相太の存在も上げておこう。石川はこう述べている。
「自分は周りに生かしてもらっていると思う。そのひとつに、相太が理想とするタメを作ってくれるおかげで、2列目の飛び出しや3人目の動きがでている。自分のゴール前に行く流れを予測すればいいだけになっている」(同上サッカーダイジェスト 8月18日号
「日本ではFWがゴール以外にも多くの仕事を求められることもありますが、FWにMFのような役割をしてもらい、自分がFWの役をするのもありかなと思うんです」(スポーツグラフィック・ナンバー7月16日号)
去年まではサイドに張っていることが多かった石川が、見違えるように中へ入れるようになったのはこうして、平山を初めとした周囲の皆のおかげなのである。もう一つ原因があって、弱点であった自分の守備を、その俊足を生かして大改善できたから大胆に敵ゴール前に入れるようになったとも述べている 】