保安院の大罪(4)「国に見切り、”自衛”決断」 文科系
本日の中日新聞22面「特報」は、例によって読み応えがありました。この連載は、テレビなどの「口だけの厳しさ」とは大変違った論調であって、政府などに対して内容として非常に厳しいモノがあると、これまで読んできました。今回の見出しは「国に見切り、”自衛”決断」「福島・二本松 住民内部被ばく独自調査へ」。
二本松市の決断はこういうもの。福島第1から35~70キロ離れた同市がこんな独自調査を決めた、と。幼稚園から中学まで計20人のホールボディーカウンター検査(内部被ばくの検査)を行うという内容。国に頼んでもやると言わないし、県も国から来た放射能影響予測図を過去に公表してくれなかったしと、市長さんが語っていました。
そして、国などのこういう姿勢について、矢ヶ崎克馬・琉球大名誉教授の非常に厳しい指摘を、この記事は紹介しています。内部被曝に詳しい方のようで、こう語られています。
「事故から約3ヶ月。住民の被ばくを回避する措置がとられていない。それどころか、原発の状況に合わせて、住民の年間の被ばく許容量の基準を引き上げた。『被ばくさせておけ』という考え方だ」
『被ばくには短期間に大量に浴びた場合の「急性障害」と、数ヶ月から数十年後に症状が出る「晩発性障害」がある。
矢ヶ崎名誉教授は「晩発性は被ばく線量が高くても低くても出る。晩発性の危険を承知していながら、敢えてその危険を説明しないのは詐欺師の手法だ」と批判した。
そうした”詐欺的説明”の中には、半減期が短い放射性物質の危険を伝えない点も含まれる。
「(中略)これも内部被ばくのことが分かっていない。半減期が短いほど強い放射線量を集中して放出している」』
こういう国の「『被ばくさせておけ』という考え方」によって、福島の学校などがいかに混乱し、困っているか。その点を紹介したアシュラ掲示板のある記事を明日紹介したいと思います。事故の正しい後始末が行われていないということですが、それ以上に正しい後始末を行うための調査、報道観点そのものが、非常に狭く、偏ったものになってきていると、思われてなりません。東電と官僚の罪悪を隠すような方向にばかり、偏っていると思います。そんなことは分かりきっているというのではなく、こういう偏りの一つ一つをいろんな所できちんと記録し、記憶にも留めておくことがとても大切ではないでしょうか。