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佐藤栄佐久著「知事抹殺」紹介(3)「知事は日本にとってよろしくない。いずれ抹殺する」  文科系

2011年09月11日 08時47分27秒 | 国内政治・経済・社会問題
 
その3「知事は日本にとってよろしくない。いずれ抹殺する」

 初回に紹介した「知事は日本にとってよろしくない。いずれ抹殺する」は、実弟祐二を任意取り調べしていた段階の06年9月8日に、担当の東京地検特捜部・森本宏検事が発したものだ。知事逮捕(10月23日)に先立つこと1ヶ月半どころか、祐二逮捕(06年9月25日)ですら覚束ない捜査発端のごく初期のころの発言である。
 一体なにが「日本にとってよろしくない」のだろう。「国策捜査」を民間人が事実固めするなどということは、その性質上証拠が挙げられるわけでもなく、誰から証言が取れるわけでもないのだから、全て状況証拠にならざるを得ない。本書で挙がっている限りのそれらに触れることにする。

 佐藤前知事はこれについて、福島原発を巡る県と原発村との抜き差しならぬ関係史に合計2章を、「地方分権と、その死」に1~2章を費やしている。前8章のうちの最後3章が裁判関係になるから、この著作前段がこの「日本にとってよろしくない」が書かれたものと見て良い。僕はこの本を佐藤とは逆に、その(1)書評(事件全体の概観と感想とも言える)、(2)「判決と最大争点」、(3)「国策捜査」と言う要領で、ちょうど佐藤とは逆に辿ってきたことになるのだと思う。

 何はともあれ、最初には「国策捜査」に繋がりうる、佐藤前知事をめぐる全国的・歴史的に異例なことの数々を、概観しておこう。彼は、どんな風に珍しい知事であったか。

 原発関係の彼は、こんなふうだ。まず、2003年4月14日、福島の原発全基停止、しいては東電原発全基停止という事態の大元である。ここにいたる経過の最大の事件が、その(1)において僕の言葉で、こうまとめた。
【なお、東電は佐藤前知事に恨みがあると言って良い。2002年9月2日に現・前・元ら4人の社長経験者が引責辞任をさせられているのである。佐藤らが問題にした「原発検査記録改ざん事件」による引責であって、会長と、平岩外四ら2人の相談役との辞任までが含まれていた】
 関連して、こんな経過もあった。
『(02年)10月25日、保安院は、福島第一原発一号炉の偽装改ざんは特に悪質として、東京電力に対し、一号炉の一年間営業運転停止を命令した。これは商業原発に対する、初の運転停止命令であった』(P95)
 なお以上全てについて佐藤は本書に何度もこう書いている。もともと原発に反対してきたのではないどころか、国などと争うことになった問題のプルサーマル計画の福島実施などではその昔むしろ『全国の知事の中で初めに同意を与えている』と。元来の彼は、原発を推進する立場だったのだ。その彼が終始大問題にしてきたのは、こういうことである。手続きの問題、国や東電の地方への情報公開など、信頼感、誠意・信用の問題なのであった。
 またなお、佐藤ら福島県庁では、東電と経産省は同じ穴のムジナと語り合わせていたらしいが、その際『国こそが本物の「ムジナ」』と言い合わせていたと言う。そして、保安院が経産省の中にあることはおかしいという現在の常識を、最初から何度も問題にしてきたということだ。これは、原発事故が起こった現在から振り返ると、注目すべきことだ。何せこの本は、今回の事故の遙か前に書かれたものなのだから。
 上に見た東電社長経験者4人の辞職に関しても、こんな文言が付してあった。
『今回の問題でも、保安院は、相変わらず東京電力を呼びつけて「厳しく指導」し、大臣は社長の首を差し出すことのみを要求している。辞めるべきはどっちなのだ』(P86~87)

 「地方分権の死」に関わってはこんな事実があるので、抜粋しておこう。
『知事1期目の終盤に、これまで自治省出身者が務めていた副知事を、地元の福島大学出身の県庁生え抜きとした。次に農林水産省からの天下りが定位置だった農地林務部長を、そして、建設省からの出向者のポストであった土木部長が定例の人事異動で本省に戻った92年7月に、異例の人事ではあったが県庁生え抜きの部長とした。
 そして、政治家出身である知事の私が9月の選挙で再選され、これで福島県は知事、副知事、出納長、そして8人の部長すべてが生え抜きとなり、中央官庁の出身者でなくなった。
 これは、47都道府県のうち福島県だけのことだった。他の都道府県は、三役か部長のいずれかに中央官庁出身者がいる』(P120)
 このように第5章『「三位一体改革」と地方分権の死』では、『闘う知事会』や『改革派知事の分裂』『「闘う知事会」は死んだ』などが述べられる。義務教育費などの財源移譲、地方分権などが激しく争われていた時代の、先頭に立った知事らしい。なんせ5期18年、選挙にも圧倒的に強く、実力派の知事だったということが、彼の強気の基盤になっていたようだ。彼は、地元の高校出身で、東大法学部卒業後に同じく福島の商工会議所に関わり始めて、1983年参議院議員当選、1988年知事当選という、生粋の政治家なのである。
 
 次回は、原発問題と地方分権を巡る攻防を、やや詳しく見ていきたい。
コメント (2)
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放射能をうつしてやる発言について    らくせき

2011年09月11日 08時47分27秒 | Weblog
鉢路大臣が、失言で失脚。たしかに悪いジョーク。
しかし大臣の交代で終わらせるだけではない深い問題を内包している。

この発言は、放射能差別に触れただけに反応も大きかった。

問題を少しずらして放射能差別のことに視点を置いた
論評があってもいいのでは?

大文字でも同じ問題があった。

深刻なのは汚染したゴミをどうするのか?で復興が前にすすまない現実。

誰も放射能など持ってきてほしくない。
人口の少ない田舎に置いておけばよい、と思っている人が、ほとんど。
私も同じ。

でも、このままではフクシマの真の復興はない。

こうした視点に立てば、放射能を移されかかった記者は、
どう報道しただろうか?

沖縄の基地の問題でも同じ。
フクシマはオキナワと同じ立場になっている。

私たちがフクシマをつくり、オキナワをつくっていることに
気づけば、報道のスタンスも違ったのでは?


コメント (3)
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