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新聞の片隅に載ったニュースから(6)    大西五郎

2012年04月10日 19時15分37秒 | Weblog
大西さんの「新聞の片隅に載ったニュースから(6)」です。らくせき


初回の閣僚会合議事要旨を公開 首相以外は匿名(’12.4.10毎日新聞)

「政府は9日、関西電力大飯原発の再稼動をめぐり3日に初開催した
関係閣僚会議の議事概要を公開した。
70分間の会合に対し概要はA4版2㌻強。安全性の判断基準を示すよう指示した
野田佳彦首相以外は発言者を匿名とした。
原子力安全・保安院が同原発の緊急安全対策やストレステストの結果を説明し、
出席者からは『炉心損傷に至らない多重の防護があると分かりやすく整理すべきだ』
『さらに対策を講じて世界一の安全性を目指すべきだ』など、
再稼動に前向きな意見が出た。藤村修官房長官は9日の記者会見で、
今後も会合から1週間後をめどに概要を公表する方針を示した。」

大飯原発の再稼動をめぐって、安全性が確保されているかどうか、
周辺住民の理解が得られるかどうかを政治的に判断するための関係閣僚会議は
4月3日に初会合が持たれ、9日の4回目の会合で
関西電力から提出された安全対策の工程表を閣僚会議が決めた
安全性に関する判断基準に「おおむね適合している」と確認し、
さらに細部について議論した上で、近く「再稼動妥当」との判断を示す見通しと
言われます。(毎日新聞)

 関係閣僚会議をめぐっては、あまりにも早くに結論を出すのは
はじめに再稼動ありきではないかと、会議の進め方に疑問が出されていますが、
議事概要で発言者を匿名にしたのはなぜでしょう。
また議事録ではなく概要しか発表しなかったのはなぜでしょう。
そんなに国民に知られてはまずい発言が交わされていたのでしょうか。

 「公文書の管理に関する法律」は「行政機関における意思決定に至る
過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、
又は検証することができるよう、法令の制定又は改廃及び
その経緯、閣議、関係行政機関の長で構成される会議又は
省議の決定又は了解及びその経緯、複数の行政による申し合わせ又は
他の行政機関若しくは地方公共団体に対して示す基準の制定及び
その経緯について文書を作成しなければならない(要約)」と定めています。
ですから政府は当然閣僚会議が結論を出すに至った経緯を明らかにして、
国民の知る権利に応えなければなりません。

 政府は秘密保全法制についての有識者会議でも、
議事録を作っていないことが明かになりました。
今の政府の態度は「知らしむべからず、由らしむべし」です。
その姿勢を改めるべきです。

                                       大西 五郎

                     

小さいですが、日本の民主主義の根っこに関わる記事です。
名無しさんなど、9条批判派は、こうした話題に沈黙ですか?




コメント (4)
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歴史に「前進後退」はやっぱり存在する   文科系

2012年04月10日 06時07分57秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など
 勉強家で、筋が通ったことを語られるという意味で敬愛しているあんころもちさんから、こういうご質問を受けた。左翼とはなんぞや、と。僕が自分の政治思想の形容にこの言葉を使うからであって、お答えしないわけにはいかないと思い立ち、ちょっといろいろ読み、あれこれと考えてみた。意外に奥が深く、重要問題も含んでいると分かったから、書くべきことの細かい目次など作りながら。以下は、答えというにはお恥ずかしく、周辺問題を多少整理した程度のものだが、お読み願えれば嬉しい。
 なお、左翼という言葉を改めて調べてみたからと言って、今後この言葉をここで使うかどうかは別の問題だと気づいた。時代とともに理解しにくくなった言葉を使うのは、控えた方が良いのかも知れない。

1 左翼を巡る、語源、広義、狭義
 どの辞書にも上の三つはほぼ書いてある。
 語源は、フランス革命の議長席から見て左側に急進派のジャコバン党が席を占めていたこと。
 そこから出た狭義が、急進的な社会主義、共産主義というものから、同じく急進的な無政府主義や自由主義さえも入るようだ。そして広義として「進歩主義」一般が上げられているものもあった。
 なお、語源がフランス革命時代のものである以上、マルクス主義(的歴史観)との対比から導き出される定義よりももっと広く構えて解明に臨んだ方が良いのだろう。現に今は、この語が社会民主主義にも適用されていることは明らかだし。社会民主主義とはまた、このように定義されるようだ。議会を通じて漸進的に社会改良を、富の再配分を通じた平等を図ろうとするもの、と。新自由主義の暴力が横行する社会、世界では、「富の再配分を通じた平等」の意味はこの上なく大きくなっている。

2 政治理念・目標と、その実現手段の問題
 1から、左翼という言葉には、二つの側面があることが分かる。一つは、「急」という側面、今ひとつが「進歩」という側面。そして、人が政治理念とか目標を持つ以上、それを「原理」的につまり長期的・多面的に語ろうと、短期的・局面的に語ろうと、その人にとっての政治の前進と後退が存在するのは明らかだろう。その場合、原理的確信が強いと急進的になりやすく、改良主義という言葉はまたいつしか「政治の前後進をも見えなくする」などと、二つの難関、問題点が存在するから、ことが難しくなる。
 そこで問題は、こういうことだろう。多くの諸個人に政治の前進後退観がある以上、多数人民にとっての「歴史の進歩」はあるのであって、問題はその「進歩」の中身、その明確化ではないか。過去の社会主義が民主主義を掲げながら人々を手段のように使い、無数に圧殺した(又、現にそうしてもいる)歴史を持つだけに、「進歩」の中身が難しくなっている時代なのだろう。ただ、「人間歴史の進歩」なんて、いつでもどこでも難しかったはずだ。
 意識を持っているから未来を目指すが、未来は常に未体験ゾーンであって、試行錯誤が人の常なのだ。だからと言って、「人類史の進歩」なんてナンセンスということにはならないと思う。それは、「個人が明日を目指して努力するのはナンセンス」ということにはならないのと、単なる比喩や類推ではなく、同じことではないか。明日を目指して勉学に励んでいる青少年に「そんなの進歩主義だ」とは、誰も言わないはずだが、何故社会に向けてはこんな言葉が存在するのだろうか。原子力村の学者のように、実質支配者側に立つ学者たちの「諦めに導く目くらまし」という意味でのイデオロギーの一つだと言いたい。国家社会での出世を目指す学者などは、左翼的な言葉をこの地上からかき消すことをその使命の一つともしているのだ。特に左翼的なものの考え方、考える方法に関わるような概念の抹消に努めているのではないか。

3 世界金融資本の「無政府的暴力」に抗して
 マルクス主義の、資本による人間圧殺分析の核心部分は、今でも正しいと僕は考えている。慢性的不景気、恐慌状態は恒常的に存在しても、目に見えた恐慌という国家の危機にはならないような「危機管理」がちょっと進んだだけのことなのだ、とも。現に、冷戦終結前後から野放しになってきた新自由主義経済が、一方で先進国に1割もの慢性的失業者を生み出しつつ、他方で莫大なマネーゲームに明け暮れ、その損失までを国家に穴埋めさせる時代になっているというのがその根拠だ。このように暴力的かつ無政府的なように理不尽なことを続けることができているのは、これらの根本的原因が国内だけに存在するのではなくって、世界的解決によるしかないことにあるのではないかとも観ている。
 ちなみに、この世界的解決という未体験ゾーンにも、人類は既に似た体験、実践を持っている。第一次世界大戦の総力戦悲劇を反省して以降、戦争違法化の流れ、国際法が急速に進んだことだ。有色人種も女性も同じように大切な命だという考え方が、かけ声だけではなく法的、実質的に広がってきたことと平行しながら。民主主義的国際経済も、同じような歴史必然的な流れだと思う。ただ、こういう流れは今は見えにくい。歴史には常に後退の時期もあるのであって、今はそういう時期だからだろう。後退の時期には、前進は見えにくいということだ。後退時期の現実に規定された短期的視野ではなく、数十年もの長い視野が必要だからではないだろうか。それはほとんど、学者の領域に近くなるということだ。学者の領域の視野は、各専門学者の労作自身を読むことによってしか得られないだろう。
コメント (28)
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