原子力規制委員会設置法案が衆院を通過した。新聞をよく読むと大きな問題はここにあるようだ。
原子力規制組織本体となるはずであった原子力規制庁が、環境省の外局として新たに設置される原子力規制委員会の事務局に落とされた。外局委員会と言ってもこの場合、国家行政組織法3条に基づく(環境省から)独立性が高い組織とされている。この変更はそもそも一体、どんな問題があるのだろう。規制委員会は委員長他4人の委員の計5人で形成されるとしているが、こんなことを恐れる。
そもそも委員とは専従者ではない。過去の原子力などの委員一般を、例えば「デタラメ」原子力安全委員会委員長を見ても分かるように、官僚に操られる存在でしかなかった。操る官僚は事務局とされた規制庁だろうが、これは先に述べたように環境省からは強い独立性を持った委員会の事務局とされているわけだ。とすると、規制庁メンバーが大問題になる。この発足時は経産省、内閣府、文科省から派遣された「ノーリターン」の職員となっているようだ。なお、実力が疑問視されるこの委員会の権限だけは、緊急時にも時の首相の指示権を認めないという強大なものだ。この委員会自身が一応、首相を議長とする原子力防災会議と連携すべき組織とされてはいるのだが。
こうして、僕は思う。これでは「オール省庁官僚」が政治からの独立組織のような物を合作したに過ぎないと言える。過去の軍部、関東軍のように官僚主導でまたぞろ独走していくことが懸念されてならない。「官僚主導の原子力村独走」、今までもこうだったのだが、今後さらにこれが強化される?福島の事故責任者がまだ誰も罰されていないのに? いや逆に、これが罰されていないから、またぞろ依然としてこんな組織が可能になるのだろう。福島に関わった官僚たちが罰されたとしたら、新しい規制庁幹部になど、誰がなりたいものか。