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消費税社説を読み比べる     大西五郎

2012年06月28日 08時58分03秒 | Weblog
大西さんから送られてきたものを転載します。   らくせき


「政冶が決められた」を歓迎 27日の全国紙の社説、果してそうか?
               2012.6.27 JCJ 大西 五郎

各紙一斉に消費増税可決を歓迎

 社会保障と税の一体改革関連8法案が26日衆議院で可決されました。
民主党案の民・自・公三党修正合意で可決できたことを27日の全国紙は社説で
「『決められない政冶』がようやく一歩、前に進む」(朝日)、
「与野党の足の引っ張り合いから脱却し、『決める政冶』への一歩となった」(毎日)、
「『決められない政冶』に決別し、参院で法案を確実に成立させなければならない」(読売)、
「『決める政冶への一歩として評価したい』(日経)、
「社会保障の安定財源確保に消費税増税は避けられず、法案の衆院通過は評価したい」(産経)と一斉に歓迎しました。

「小沢反乱」を一斉に非難

 また各紙社説は小沢グループが三党合意案に反対し、消費税増税法案の衆議院本会議での
採決では57人もの反対票が出たことについて、「野田首相が『政冶政治生命をかける』と
まで言った法案に反対した勢力が、このまま同じ党にい続けるのはおかしい。
首相と小沢氏はこの際、きっぱりとたもとを分かつしかない」(朝日)、
「今回の小沢元代表らの行動に大義は乏しい。
元代表のグループは『増税する前にすることがある』『マニフェストを守れ』という。
だが、予算の無駄遣いをなくすなどして最終的に16・8兆円の財源を捻出すると
約束して政権交代を果してからもう3年近くなる。この間、元代表らは
どれだけ無駄の削減に努力したというのだろう。そもそも前回衆院選のマニフェスト作りを主導し、
『政権交代すれば財源はいくらでも出てくる』とばかりに財源論を放置したのは
小沢元代表と鳩山由紀夫元首相だ」(毎日)、
「小沢氏は表向きは『国民の生活が第一』の政権公約(マニフェスト)にこだわる姿勢。
鳩山元首相も『マニフェストにまるでなかった』として消費増税法案に反対し、
オーナー気取りで離党は考えないという。鳩山氏こそ、実現性の乏しいマニフェストを主導し、
国民を欺いてきたことを猛省すべきだ」(読売)、
「野田佳彦首相は『厳正な処分』を明言した。除名を排除すべきではない。
ここで腰砕けになってはせっかく衆院を通過した法案の参院での審議もおぼつかない」(日経)、
「首相が法案成立を前進させた意義は小さくないだけに、法案阻止を唱える勢力を党内にとどめることは、
これまでの論議の蓄積を無にするものである。首相は除名処分を決断し、
『決められない政冶』からのさらなる脱却を目指すべきだ」(産経)などと、
三党合意に反対するのは怪しからんという論調です。

中日新聞は「決めない方がましなこともある」

 これに対して「有権者のやり場のない怒りは、どこにぶつけたらいいのだろう」の
書き出しで始まる「政権選択の苦い教訓」と題する中日新聞の社説は、
「決められる政冶になった」と一斉に喜んでいる全国紙とは違った論点を提示しています。
 「本格的な少子高齢化を迎え、社会保障制度を持続可能なものに抜本的改革する必要はある。
国の借金が1千兆円にも上る財政状況に対する危機感も首相と共有したい。
いずれ消費税増税が避けられないだろうことも理解する。しかし、引き上げることは
ないと公約した消費税の増税法案を、衆院選を経ずして成立させてしまうことは、
民主主義の明白なルール違反にほかならず、納得がいかない。
 もちろんマニフェストは万能ではなく、一文字たりとも買えてはならない『聖典』ではない。
加えて日本政冶は代議制民主主義だ。状況の変化に応じて公約と違う政策を、
選挙を経ずして進めなければならない場合もあるだろう。例えば、原発政策。
民主党マニフェストは『安全を第一として、原子力利用について着実に取り組む』と推進の立場だが、
菅前内閣以降、十分とは言えないものの『脱原発依存』路線に転換した。
それを公約違反と責め立てる人はまずないだろう。原子力の「安全神話」が崩れ、
原子力ムラの利権構造が白日の下にさらされたからには、政策転換は当然だからだ。
 しかし、首相が消費増税の前提とする少子高齢化は突然始まったことではない。
増税路線への転換は、税金の無駄遣いをなくす努力を怠り、官僚支配を突き崩す政治生命を
懸けた熱意が足りなかったことの当然の帰結である。少子化は言い訳にすぎない。」
 「民主主義では結論とともに手続きも重要である。国民の理解を得るための手順を
欠いた政策は、それがたとえ国民に必要だとしても理解や同意は得られないだろう。
首相がもし消費税増税が日本の将来に必要だと思うなら、自公両党と組んで
中央突破を図るのではなく、面倒でも手続きをやり直す労苦を惜しんではならない。
首相が今すべきは小沢一郎元代表ら民主党内造反議員の処分ではなく、
『国民会議』で一年以内に結論を得る社会保障改革の全体像が決まるまで
消費税増税法案を棚上げするか、衆院を解散して国民に信を問うことだ。」
 「三年前の暑い夏、高い期待を担って誕生した民主党政権が今、国民の眼前にさらすのは、
自民党に同化していく無残な姿である。首相はそれを『決められない政冶』からの脱却というが、
指弾されているのは、既得権益や官僚支配など『変えるべきことを決められない政冶』打だ。
公約違反の消費税増税など決めない方がましだ。」

 このように各紙が一斉に消費増税に三党の足並みが揃ったことを「決められる政冶」に
なったと慶んだのとは違う、冷静な視点で論じているのが光っています。
そして最後に白紙委任ではないと読者に呼びかけています。
 「マニフェストは完璧ではない。本当に実現できる政策かを見極め、
選挙後も実現状況を監視する。白紙委任してはいけない。法案への賛否が
議員の最も重要な政冶行動である。各法案への投票行動を詳しく知る必要がある。
政策で議員や政党を選ぶ。公約した政策を実現しようとしないのなら、
次の選挙では投票しない。この循環を完成させない限り、日本の民主主義は前に進まない。」
 「有権者が投票する際の材料を十分に提供するのは、われわれ新聞の重要な仕事だと
肝に銘じたい」と、結んでいます。

 中日新聞の社説紹介が長くなりました。他紙が「決められる政冶ができた」と
表面上だけを見て喜んでいるように思えますので、「果してそうか」を提起した視点が
重要と思ったからです。
コメント (3)
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