Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

小鳥の歌からヒトの言葉へ

2005-05-09 13:50:03 | 新音律
岡ノ谷 一夫 著「小鳥の歌からヒトの言葉へ 」 岩波 科学ライブラリー(2003) は,ジュウシマツのさえずりに文法をさぐり,人間言語の起源にせまろうというこころみ.このさえずりには文法はあってもコトパはないらしい.岡ノ谷先生のことばを借りれば,「小鳥のうたはさまざまなに変奏するが,変奏によって意味が変わるわけではなく,どのような歌い方をしたところで求愛と縄張り防衛の意味しかない」のだ.もっぱら聴き手に受けようとして,あの手この手をこころみるあたり,ジャズの器楽演奏そのものではないか.

一ヶ月おき程度に記録されたソノグラム(周波数スペクトルの時間変化...ことりの歌の楽譜のようなもの)を見ると,成長するに従って鳴き方が複雑になるばかりか,歌声のスペクトルにも高調波が顕著になるのがわかる.「声が良くなる」のだ.本書はもっぱら言語学からのアプローチだが,音楽学?からのアプローチも望みたい.

しかし脳の一部を損傷する実験はちょっとかわいそう.人間がやられたら? フェッセンデンの宇宙を連想してしまった.

学生さんが描いたらしい,カバーと挿画が楽しい.ところで,岡ノ谷研のホームページが不通なんだけど.
コメント (1)
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