Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

紙魚家崩壊

2006-04-07 10:52:39 | 読書
北村薫著,2006年3月 講談社刊.
腰巻きに「待望のミステリ短編集! 優美なたくらみにみちた9つの謎」.このひとはまだミステリを書いているのかと危ぶんだが,噺家探偵ものの味が忘れられず,装丁にも惹かれて,ハードカバーを購入.

最近はミステリ評論的な著書が多いが,この本でいちばん長い「新釈おとぎばなし」は評論的小説.しかしこれがいちばんミステリらしかった.テーマはかちかち山だが,その前のアリとキリギリスに関するご高説は冗長.

「空飛ぶ馬」などの一連の作品を発表されたころは北村氏は名前だけの覆面作家で,ぼくらはその性別を話題にした.本書冒頭の「溶けていく」はホラーよりでぼくの好みではないが,女流の作品みたい.「白い朝」「蝶」などの甘い作品も.

「両手が恋をしている女と探偵との事件」シリーズの「紙魚家崩壊」「死と密室」の二作は,なんだかねー.
「サイコロ、コロコロ」「おにぎり、ぎりぎり」という韻を踏むタイトルがならんでいる.さいころをそんなふうに使う教師がいるわけないのだが,そこを小説にしてしまうのはさすが.おにぎりのほうは抵抗なく読めた.しかし読了後にある種の空腹感が残る本でした.
コメント
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