Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

おさがしの本は

2012-01-13 09:09:01 | 読書
門井慶喜著 光文社文庫(2011/11).

図書館の調査相談課に勤める青年を主人公とする連作短編.以来された本を探すというミステリに,市の財政難のための図書館廃止問題がからまる.図書館好き・本好きにとしては,楽しめた.

連作だが全体としての流れがある構成.ただ,それにしては第一作だけが浮いている.
最後の第五作で,武田泰淳を引き合いに出して,石原慎太郎をやんわりとやっつけるところが良い.
敵役である上司の腹の内が最後まで分からないところが良い.この上司が研修と称して第三作で出す本探しは,図書館の児童書のタイトルを見渡せばすぐに解ける問題だと思うけど...

第四作の「早川図書」はネットで検索したらすぐにヒットしたのでびっくり.
小栗虫太郎「黒死館殺人事件」にはありもしない文献がずらずらと出てくる (そう) だ.この本は衒学的ではあるが,ちゃんと資料に基づいて書かれているらしい.

強いて言えば,最後に主人公が出世するらしいところが,気に食わない.
コメント
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