Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

朝永振一郎「庭にくる鳥」

2012-05-22 09:06:06 | 読書
みすず書房 (1975/09).

「BOOK」データベースより*****
武蔵野点景から入院の楽しみと苦しみ、ホテル‐旅館‐銭湯考、留学や師友を語る思い出ばなしなど、軽妙酒脱な語り口によるノーベル賞学者による名品14篇。*****

古書を900円で購入.函の表の猫の絵はへたくそでかわいくないが,この,函裏の寝ている猫はリアルでかわいい.もっと尻尾をやわらかく丸く曲げたほうがよろしいかと思うけれど.
いまにも破れそうなパラフィン紙越しに撮ったので写りが悪い.

東京教育大の物理にいた友人から朝永先生のはなしを聞かされたことを思い出した.

寺田寅彦クラスの達意の文章.

「思い出ばなし」には,「お前は物理が心から好きなのだろうという質問をよく受ける」から始まる段落がある.
この先生でもこうなの !? と思ったので,適当にはしょって紹介させていただく.興味のある方はぜひ原文を !

「たしかに,仕事が快調に進んだときは,ある程度夢中になったことがある.しかし,そんなことは十にひとつ」であり,しかも「仕事がうまくいったときのよろこびも純粋な真理追究のよろこびではなかったようだ.そこには功名心という雑念が入っている」と続く.「邪念妄想のかたまりのような自分のなんとつまらないことよ」...

しかし,「だんだん年をとってくると,修養をつんだとでもいえるのであろうか,このような雑念は起こらなくなって来た.しかし,同時に研究に対するファイトもとみに弱くなってきた.これは修養の結果ではなく,ホルモン減少の現れかもしれない.人間の円熟など,こんなことかもしれない」
「さびしいことである」で一段落.
コメント (3)
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