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集英社文庫(2012/10).
この作家は「向日葵の咲かない夏」以来だがこちらの方が好き.ただしこれはミステリではない.
2010年 山本周五郎賞受賞作の文庫化.帯に「藤井フミヤさん推薦!!」とあったが,予期に反し暗い小説だった.6篇の連作で,登場人物が時間を越えてリレーする趣向.
最初の3編ではそれぞれ殺人があるので,全編この調子かと思ったら,後半はハッピーエンドとまでは行かないものの,「心温まる」終わり方.
でも正直言って,後半はいかにも中間小説と言う感じに,ふやけてしまった.
最後は大団円 ? 的に今までの登場人物が登場するが,そんな細工は不要.最終章から第1章に繋がって,輪にするだけに留めておけばよかったのに,と思う.
タイトルの光媒の花は,作中に出て来る風媒花・虫媒花にヒントを得た造語らしい.
ブックデザイン 片岡忠彦,解説 玄侑宗久.