Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

時代小説で読む日本史

2013-01-16 08:22:28 | 読書
末國善己,文藝春秋 (2011/3).

「BOOK」データベースより*****英雄・龍馬像はいかにしてつくられたか!? 作家と読者の”時代の無意識”を探求する。 坂本龍馬や信長・家康、新選組に忠臣蔵など、日本人の精神形成に多大な影響を与えてきた歴史上の人物・事件がどのように小説化されてきたか分析し、日本人の歴史観の成り立ちを浮き彫りにする快著。*****

図書館で借用.

「太平記」から始まって「西郷隆盛」まで 15 編.そのうち 15 編は月刊誌オール読み物に掲載されたもの.
信長・秀吉・家康と続くとちょっとうんざりするが,石川五右衛門とか宮本武蔵・佐々木小次郎とかも登場して目先を変えてくれる.

歴史上の人物に対する見方は時代によって異なる.明治・大正から戦前戦後にわたり,また戦後と言っても高度成長・バブル崩壊などがあり,それぞれの時点で同じ対象,例えば豊臣秀吉が主人公にされたとしても,その人物像はがらりと異なる.この本のテーマは時代小説の背景となった時代だが,著者の力点はむしろ,その時代小説が書かれた時代の歴史にあるようだ.

多少の例外はあるとしても,時代小説は大衆小説であり,純文学より一段低く見られがちだが,じつは大衆小説作家の方がずっと勉強していると思った.
この本での分析が,時代小説を書いた作家の意図と合っているのかどうかは興味がある.作家にすれば,穿ちすぎと言いたくなる部分もあるかもしれない.

この本自体も書かれた時代を反映している.浅井三姉妹や直江兼続が入っているのはテレビの影響だろう.書かれたのが昨年だったら,平家物語から始まったのに,と思うと残念.
コメント
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