Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

予告殺人

2020-09-04 06:45:23 | 読書
アガサ クリスティー, 羽田 詩津子 訳「予告殺人〔新訳版〕」早川書房 (クリスティー文庫 2020/5).

旧訳は1951年・田村隆一のポケミス.原著刊行が 1950年だから,当時としてはすごいスピードだ.原題は A Murder is Announced だが「予告幸人」がいい.解説には「半世紀以上経った」ことが新訳の理由のように書いてあるが,原著が本国で「古文化」して書き直されたわけではない.当時の時代背景をうつした翻訳の価値が減ったわけではあるまい.

1972年「象は忘れない」1975年「カーテン」あたりまではせっせとクリスティを読んでいた.この予告殺人は初めてだが,最後に登場人物の一人が「象は忘れる」という小説を書くことになっている.

あいかわらず登場人物が多く,カバー見返しの表の助けを借りながら読了.殺人鬼対探偵の対決の図式を想像したが,そんなことはなく,ストーリーは自然に流れる.終戦後のイギリスの生活,とくにセントラルヒーティングの導入がうまく活かされている.途中でいろんな情報が小出しにされ,かならずしもフェアとは言えないが,でも意外な犯人 ! 著者最盛期の作品だけのことはある.
テレビのミス・マーブルが数年経つのにまだ耳に残っていて,ミス・マーブルのせりふが日本語吹き替えの口調で聞こえてくるような気がした.

解説・三橋暁.
図書館で借用.
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

reading

/Users/ogataatsushi/Desktop/d291abed711d558e554bf7af66ee57d7.jpg