樋口明雄,徳間書店 (徳間文庫 2021/9).
書店で見たことを思い出し,図書館から借用.新田次郎以降の山岳ミステリ・サスペンスの類はポツリポツリと読んでいるが,この著者は初めて.「南アルプス山岳救助隊K-9」シリーズは1年1作くらいのペースで書き継がれていて,これが十冊目.
Aamazon の紹介*****
北岳の向こうに巨大な火球が落ちたという目撃情報が。それから間もなく、北岳白根御池小屋の厨房が破られ、備蓄食料が荒らされた。通報を受け、現場に到着した山岳救助隊が目撃したのは、とても人間業と思えないすさまじい破壊の光景だった。さらに北岳の冬季ルート池山吊尾根で、プロカメラマンが望遠レンズで捉えた北岳の稜線には、白い毛むくじゃらの獣の姿が。その写真がネットに載ったとたん世間が大騒ぎになった。北岳で雪男が目撃された――!?*****
山岳救助隊という警察組織の女性警察官と救助犬たちの視点.でもこの小説に関してはもっとも活躍するのは救助ヘリであった.
以下ネタばらし !
火球は炎上する航空機で,北岳の墜落現場から密輸中の白猩猩 (たぶん著者の創造) なる絶滅寸前の類人猿が逃げ出す.雪男射殺で名を上げたいハンター2人組,雪男の動画中継したい Youtuber などが入り乱れる.
白猩猩の措置には原産の中国,密輸国のロシアなどが絡み,日本政府による有耶無耶化が予想されるが、それ以前に Youtube 動画が世界中に配信される.白猩猩にとってもハッピーエンドとなる.
この終わり方に異論はないが,そこに至るまでの経緯は簡単すぎる.
ロシアの密輸機が北岳に墜落というのはあまりに強引.そのほか,つっこみどころは多々ある.
冒頭に北岳周辺の地図があり,懐かしかった.
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