Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

小池昌代「かきがら」

2021-03-09 08:49:15 | 読書
幻戯書房 (2020/8).
装幀 緒方修一,装画 水野里奈 "From Now On",大原美術館蔵だそうだ.

帯には「パンデミック後の光景、時の層を描く小説7篇」とあるが,図書館本には帯がない.読んで初めて,ある短編では東京オリンピックが中止され,べつな短編では富士山が噴火の結果二つに割れたりするので,おやおや 未来小説か ! と思った.でも Amazon の CM にもちゃんと書いてあった...曰く

*****
殻(カラ)、空(カラ)、虚(カラ)、骸(カラ)……あれは都市の、この世の、崩壊の音。
富士が裂けた。
電線のカラスが道にボトボト落下した。
雨みたいにばらばらと人の死が降った。
生き残った者は、ツルツルの肌を持つあのひとたちに奉仕した。

パンデミック後の光景、時の層を描く書下ろしを含む小説 7 篇。
*****

明らかに未来を舞台としているのは「聖毛女」.「がらがら,かきがら」はまさに現在進行形という感じ.ヒロインが高校の部活で弓道をやっている「地下の下を深く流れる川」は,時代設定が平成でも昭和でも通用するだろう.あとがきで著者は「ここに描かれている「時間」については,よくわからない.少し先の未来のようで,すでに経験した過去のようでもある」と言っている.

著者の未来には,おにぎりやがあるらしい.

どれも読みやすいが,ストーリーは飛躍し,へんなところに着地する.わからないが,著者がわかってくれることを期待しているとも思えない.
著者の本を通読したのは「黒蜜」「タタド」から10年ぶりに近いが,前に読んだ2冊についての記憶はない.でも,漠然と好みである.


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