高木彬光翻訳セレクション ジョン・ディクスン・カー「帽子蒐集狂事件」論創社(2020/9).
高木彬光(1920-1995)はミステリ作家で「刺青殺人事件」「能面殺人事件」「成吉思汗の秘密」などの作品がある.何冊か読んだがあまり覚えていない.この「帽子蒐集狂事件」は翻訳を専業としない人気作家に雑誌「宝石」が海外ミステリを翻訳させると言う,1950年の企画の産物.当時の評判は悪かった.本書解説によれば江戸川乱歩は「ひどく不評だったのは,翻訳に慣れない人の,しかも抄訳であったために,原作の妙味が殆ど出せなかったからであろう」と書いている.
雑誌で発表されたのは抄訳だったが,もともとの高木訳は実は完訳であった.本書はこの完訳に基づき,誤字脱字をあらためたもの.でもやっぱり,ミステリ作家のミステリの翻訳が良いとは言えないと言うのが 16 とんの感想.
学生時代にクリスティなんかのミステリを無理して原書で読んで,いまいちわからず,結局邦訳本を読んでなるほどと思ったことを思い出した.
(程度の差はあるものの) 高木訳を読んで,2011年の三角和代訳「帽子収集狂事件」(創元推理文庫)あたりを改めて読んでみるのもいいかな,と思った.
以下ネタばらしだが,最後は探偵役と警部が犯人を情状酌量する.これに納得するには,読者が犯人に共感することが必要.ぼくはあまり犯人に思い入れを感じなかったので,結末も.へぇーという感じ.
「帽子...」は時間的空間的に複雑な内容.本格につきものの見取り図が上のようでは,さっぱりわかりませんよ.
原題 The Mad Hatter Mystery.
図書館で借用.
高木彬光(1920-1995)はミステリ作家で「刺青殺人事件」「能面殺人事件」「成吉思汗の秘密」などの作品がある.何冊か読んだがあまり覚えていない.この「帽子蒐集狂事件」は翻訳を専業としない人気作家に雑誌「宝石」が海外ミステリを翻訳させると言う,1950年の企画の産物.当時の評判は悪かった.本書解説によれば江戸川乱歩は「ひどく不評だったのは,翻訳に慣れない人の,しかも抄訳であったために,原作の妙味が殆ど出せなかったからであろう」と書いている.
雑誌で発表されたのは抄訳だったが,もともとの高木訳は実は完訳であった.本書はこの完訳に基づき,誤字脱字をあらためたもの.でもやっぱり,ミステリ作家のミステリの翻訳が良いとは言えないと言うのが 16 とんの感想.
学生時代にクリスティなんかのミステリを無理して原書で読んで,いまいちわからず,結局邦訳本を読んでなるほどと思ったことを思い出した.
(程度の差はあるものの) 高木訳を読んで,2011年の三角和代訳「帽子収集狂事件」(創元推理文庫)あたりを改めて読んでみるのもいいかな,と思った.
以下ネタばらしだが,最後は探偵役と警部が犯人を情状酌量する.これに納得するには,読者が犯人に共感することが必要.ぼくはあまり犯人に思い入れを感じなかったので,結末も.へぇーという感じ.
「帽子...」は時間的空間的に複雑な内容.本格につきものの見取り図が上のようでは,さっぱりわかりませんよ.
原題 The Mad Hatter Mystery.
図書館で借用.
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