「出久根達郎の古本屋小説集」筑摩書房 (ちくま文庫 2023/11).
カバー裏の CM*****
古本屋店主にして作家となった出久根達郎。その古本小説のなかから傑作を選び出したアンソロジー。少年時代の本との出会い、下町の古本屋での修業時代、独立後の苦労など、著者自身の体験を作品化したもの。本に憑りつかれた人々の妄執の凄まじさ、一冊の本に込められた思い、人と本が織りなす様々な人生模様を描いた作品 23 編を収録。オリジナル・アンソロジー。
解説 南陀楼綾繁*****
解説 南陀楼綾繁*****
なんだろう あやしげ (南陀楼綾繁) とは何だろう,ではなく誰だろうと,Wikipedia に聞いたら,「日本の編集者,ライター,蒐集家.本名は河上 進.古書に関する著述を得意とする.また,古書や本に関するイベント等を盛んに主催している」とのことであった.でも解説はこの本の要約から出ていない.このアンソロジーを編集したわけでもないらしい.本書はもしかしたら,著者自選 ??
23 編は,古本屋のにおい / 古本をあきなう / 思い出のページ / 本の劇場 / 最後の本 というタイトルの下にそれぞれ数編ずつ.エッセイとも小説ともつかない.2-3 ベージの短いものと,比較的長いもの (とは言えせいぜい 40 ページくらい),長くも短くもないものが順不同で現れる.
短いものは著者が敬愛する井伏鱒二調.
長いものは直木賞調にドロドロした部分もある.それが悪いというつもりはないが,途中で主人公が入れ替わったりする作もある.
著者の生い立ちとか,古書業界に入った経緯とか,同じ話題が繰り返し現れる.
三上延の「ビブリア古書堂」ものは,もろに今世紀の刊行だが,こちらは 20 世紀に発表されたものばかり.でも古書という時代を遡る題材を小説にすると,古くなりにくいようだ.
本書には時代小説もある.
カバーデザイン 南伸坊.
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