病室の友,青空朗読.試しに長いのもと思って,2時間強の谷崎潤一郎「陰翳礼讃」.何度も寝落ちしては聴き返した.
この作家は苦手で小説もほとんど読んだことがない.「陰翳…」も聴く前には,小説か評論かエッセイか,知らないつもりだったが,聴き出したら聞いたことがあることばかりと思ってしまった.あちこちで原文が引用されてるせいだろう.
でも,達意の文章で,聴いただけでよくわかった.リズムがよく,確かに朗読向き!
和洋の比較例としてトイレと浴室が優先して取り上げられる.でもトイレという言葉は,当然だが使われない.西洋式腰掛便器はもちろん蚊帳の外.しかし陶磁器(プラスチック)と肉体に囲まれた陰空間で動作するウオッシュレットは,執筆が現代だったら礼賛の対象になりそう!
もう一編.太宰治「メリイクリスマス」が収穫だった.戦争をはさんで再会した母娘,と思ったら,母は広島空襲で亡くなっていた.原爆という字が出てこないところが太宰らしい? それとも 1947 年という発表の時点では,広島 イコール 原爆 という短絡が今ほど一般的ではなかった?
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