Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

「続 家族のあしあと」

2021-11-10 10:51:00 | 読書
椎名 誠,集英社 (2020/10).

正編を読まずに「続」を読んでしまったが,それは全く差し支えがなかった.
著者あとがきによれば,これは「私小説」だそうだ.私小説と聞くと,オールド・タイマーは上林 暁あたりの陰々滅々を連想してしまうが,これは言うなれば昔の中学生日記である.
著者の私小説を読むのは「岳物語」以来.岳はあるとき著者の書いた本を読んで物凄く怒ったそうだ.そこで,何十年も前の差し障りのないことを書くことになったのかな.

BOOK」データベースより*****
さようなら、友だちと遊びまくった日々。シーナ少年も小学校を卒業しついに中学生。楽園のような一家に次々と起こる大事件 ! *****

「楽園のような一家」は嘘で,父親不在.妻のいない叔父親子が重要な脇役.次男が服毒自殺を図るのと,母親が愛犬を電車の窓から放り出してしまうのが大事件である.
母親のやったことは 16 トンだって許せない ! この犬・ジョンと猫・ハチは仲良しで,シーナ少年が何かやっていると「なんですか ? なんですか ? 」というように遠巻きに見物する.この擬人化がシーナ的.猫の性格はイヌ的らしい.
著者と 16 トンはまぁ同世代で,人糞を肥料として畑に撒いたり,電話を「借り」たりするのが懐かしかった.
昭和 20 年代には電話は金持ちか商店にしかなかった.われわれ庶民はそこの電話番号を親類縁者に知らせておく,だれかが危篤になったりすると,その番号へ電話し,そこの家の人がわざわざ歩いて知らせに来てくれるというシステムが普通だった.スマホ時代には想像できないことである.

装丁 菊池信義,挿画 やっぱり 沢野ひとし.図書館で借用.

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« Beatles 売れた10曲 と 好き... | トップ | 𫝆井政之展 東広島市立美術館 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事