路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【震災30年】:神戸新聞社「6つの提言」から10年 「攻めの防災」現状と課題

2024-12-13 06:00:40 | 【新聞社・報道・テレビ・ラジオ・公共放送NHKの功罪・マスコミ・雑誌】

【震災30年】:神戸新聞社「6つの提言」から10年 「攻めの防災」現状と課題

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【震災30年】:神戸新聞社「6つの提言」から10年 「攻めの防災」現状と課題

 神戸新聞社が阪神・淡路大震災の教訓と経験を次世代と国内外に発信する「6つの提言」を発表してから間もなく10年となる。災害への備えを「守り」と捉えず、社会の在り方を見直し、暮らし方、生き方を創造する「攻め」の防災を目指す。提言の実現に向けた現状と課題を検証する。

神戸新聞社から「6つの提言」

 ■市民主体の復興の仕組みを確立する 支え合う仕組みを再構築へ

 阪神・淡路大震災後の1年間で被災地で活動したボランティアは延べ約137万人に上り、1995年は「ボランティア元年」と呼ばれた。98年には社会貢献活動をする団体に法人格を与える特定非営利活動促進法(NPO法)が成立し、2001年には一定の実績があるNPO法人に税制優遇する認定制度ができた。

 東日本大震災後の13年には災害対策基本法に国や自治体とボランティアの連携が明記された。市民活動の社会的意義を共有し課題解決に生かす制度づくりは進んだが、実態はどうか。

 NPO法人数は17年度の5万1866をピークに減少傾向にある。全国で7万以上の法人が設立される一方、解散した法人も2万を超える。24年10月末の兵庫県内の法人数は2088で全国6番目、解散数は累計で1200を超えた。

 政府が25年度に災害ボランティア支援団体の事前登録制創設の方針を示すなど市民活動の自由と多様性が問われる議論も始まる。

 景気低迷や少子高齢化で30年前に比べ社会全体が余裕を失っている。市民と専門家、行政、企業などが連携し、支え合う仕組みを築き直す必要がある。

 (勝沼直子)

経験を語り継ぐ「伝承合宿」=神戸市北区、しあわせの村

 ■防災省の創設を 地方の声に応じ準備室発足

 石破茂首相の看板政策の一つである「防災庁」の設置に向けた準備室が、11月に発足した。2026年度の創設を目指し、将来的には省への格上げも検討するという。発足式で石破首相は「人命最優先の防災立国を早急に構築することが求められている」と述べた。

 防災を専門とする省庁の設置は、全国知事会や関西広域連合などが強く求めてきた。神戸新聞社も15年に提言した。だが政府は内閣府などが調整する現行体制が機能するとして、設置には否定的だった。

 南海トラフ巨大地震や首都直下地震への懸念が高まる中、政府がようやく地方の声に応じたと言える。

 国の防災行政は複数の省庁にまたがる。司令塔組織の新設で期待されるのは、縦割り行政による弊害の改善だ。専門性の高い職員を育て、各省庁や自治体と連携しながら事前防災を進めることが使命となる。

 政府は避難生活環境の整備や防災デジタルトランスフォーメーション(DX)に着手するとしている。

 南海トラフ地震は30年以内に70~80%の確率で発生するとされる。「国難級」とされる広域災害を前に、国の体制強化は待ったなしである。(松岡 健)

防災庁設置準備室の看板を掲げる石破茂首相

 

■「防災」を必修科目に 教員任せ、県内にも温度差

 学校現場で防災教育が行われるようになった「起点」は、阪神・淡路大震災である。兵庫県や神戸市の教育委員会は、自分の命を守ることや助け合いの大切さ、人と自然のあり方について考えることを防災教育の柱に据え、授業に使う副読本の改訂を重ねてきた。

 全国初の防災を学ぶ専門科として2002年に県立舞子高校に開設された環境防災科は、先進地・兵庫の象徴的な存在だ。これまでに758人が巣立ち、消防士や警察官、教員、研究者などとして活躍している。災害への備えを地域住民に伝える活動に取り組む卒業生も多い。

 自然災害が激甚化する中、防災教育の重要性は一層高まっている。しかし、神戸新聞社が提言した必修科目への道筋はいまだ見えていない。新学習指導要領には各教科に防災の要素が盛り込まれたが、教員の「熱心さ」に任され、兵庫県内でも学校によって温度差があるのが現状だ。

 「ノウハウがない」「時間が取れない」といった課題は全国共通だ。指導方法の研究・普及など教える側への支援を充実させることが求められる。必修化には地域やNPOなどとの連携も鍵となる。(小林由佳)

災害時に便利な調理方法を教える学生たち。高校や大学で防災を学んできた=県立神戸生活創造センター

■住宅の耐震改修義務化を 高齢世帯の費用負担軽減を

 阪神・淡路大震災では約25万棟が全半壊し、直接死した人の大半が倒壊家屋の下敷きとなった。住宅の耐震化は震災で学んだ最大の教訓だったはずだが、今年1月に起きた能登半島地震でも約3万棟が全半壊し、「圧死」の被害が出た。

 震災後、国は耐震改修促進法の改正を重ね、病院や学校など公共性の高い建物について耐震診断と結果の公表を義務づけた。しかし個人所有の住宅は自発性に委ねられ、耐震化が進まない要因となっている。

 特に被害を大きくしたのが、1981年5月以前の「旧耐震基準」で建てられた住宅だ。

 国は2030年までに耐震化率をおおむね100%にする目標を掲げるが、18年時点で87%と達成は厳しい。兵庫県の住宅耐震化率は90・1%と全国平均は上回るものの、約22万9千戸が耐震不足だ。高齢化率が高い但馬や西播磨では80%前後にとどまる。

 旧耐震住宅は高齢の家主が多く、費用の自己負担もネックとなり改修は先送りされがちだ。自助努力を前提とする現行制度の限界は明らかで、迫る巨大地震から命を守るためにも、改修義務化の議論を広げなければならない。(長沼隆之)

能登半島地震の被災地でも多くの家屋が倒壊した=石川県珠洲市

 ■地域経済を支える多彩なメニューを 経営資源の継承へ対策必要

 約30年前の阪神・淡路大震災では、被災事業所の再建は自助努力に委ねられ、公的支援は融資や仮設工場などに限られた。経営破綻が多発して雇用や地域のにぎわいは失われ、復興に大きな影響を与えた。

 その反省から、2011年の東日本大震災やその後の大規模災害では、再建計画を策定した企業グループに国や自治体が公費で再建を支援する「グループ補助金」などが設けられた。

 だが大半の被災地では今も地域経済の苦境が続く。海外との競合や「失われた30年」とされる長期不況など、日本経済全体の大きなうねりにはあらがえない。

 中でも人口減と少子高齢化は深刻さを増す。帝国データバンクの全国27万社調査では、後継者が不在か未定の企業は52%に達した。兵庫県は48%だが、東日本大震災で被災した岩手、宮城は全国の数字を上回る。このままでは約半数が消え、雇用や技術が失われる。

 被災時の生産代替策の確保など事業継続計画(BCP)を各企業が練るとともに、経営資源が地域内で円滑に継承される枠組みも強化したい。災害復旧に資するだけでなく、平時の地域経済の足腰も強くするはずだ。(藤井洋一)

仮設工場入居後も企業の苦境は続いた=神戸市西区

 ■BOSAIの知恵を世界と共有しよう 途上国や紛争地の支援重要

 阪神・淡路大震災の教訓を世界に伝える取り組みは国際協力機構(JICA)や兵庫の民間団体が継続し、「BOSAI」の言葉とともに定着しつつある。2005年に神戸で開かれた国連防災世界会議で採択された「兵庫行動枠組」、15年の「仙台防災枠組」を踏まえ、日本は途上国の事前防災投資を支援してきた。 

神戸市中央区のJICA関西内の国際防災研修センター(DRLC)は130カ国から延べ約4千人を受け入れ、行政や医療、教育分野で防災を担う人材を育成してきた。帰国後のフォローアップも続ける。

 新型コロナウイルス禍でオンライン研修に切り替えた時期もあったが、対面での研修が戻り、各国の防災人脈のネットワークがさらに広がりつつある。

 

台湾東部沖地震で傾いたマンション=4月

 一方で、近年はウクライナやパレスチナ自治区ガザでの戦闘が暗い影を落とし、関係国からのDRLCへの参加は途絶えている。

 BOSAIを伝える活動は国際協調が基本であり、平和が不可欠だ。JICA関西の木村出(いづる)所長は「民間と協力して難民や復興を支援する活動に力を入れながら、地道に教訓を伝えていく必要がある」と話す。(田中伸明)

 元稿:神戸新聞社 朝刊 主要ニュース 社会 【災害・防災・減災・震災30年】  2024年12月13日  05:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【米誌タイム】:「今年の人」にトランプ氏 大統領選で初めて勝利した2016年にも選出

2024-12-13 00:01:30 | 【新聞社・報道・テレビ・ラジオ・公共放送NHKの功罪・マスコミ・雑誌】

【米誌タイム】:「今年の人」にトランプ氏 大統領選で初めて勝利した2016年にも選出

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【米誌タイム】:「今年の人」にトランプ氏 大統領選で初めて勝利した2016年にも選出

 米誌タイムは12日、毎年恒例の「パーソン・オブ・ザ・イヤー(今年の人)」に米国のトランプ次期大統領(78)を選んだと発表した。

 トランプ氏は12日にニューヨーク証券取引所で取引開始の鐘を鳴らす。セレモニーとともに選出を祝うことになりそうだ。トランプ氏は大統領選で初めて勝利した2016年も「今年の人」に選ばれている。

「パーソン・オブ・ザ・イヤー(今年の人)」にトランプ次期米大統領を選んだタイム誌の表紙(同誌提供、共同)

「パーソン・オブ・ザ・イヤー(今年の人)」にトランプ次期米大統領を選んだタイム誌の表紙(同誌提供、共同)

 

 米経済誌フォーブスが11日に発表した「世界で最もパワフルな女性」100人では、欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長(66)が3年連続で首位となった。11月の米大統領選でトランプ氏に敗れたハリス副大統領(60)は昨年3位だったが、ランク外となった。

 同誌は政治家の他にも大企業の幹部や富豪を選出している。「米国で女性大統領誕生の可能性が疑問視されているが、女性は既に多種多様な立場で重要な指導的役割を担っている」と強調した。

 日本からは東京都の小池百合子知事(72)が66位、サントリー食品インターナショナルの小野真紀子社長(64)が73位に入った。(共同)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・米国・米誌タイム・「今年の人」】  2024年12月12日 22:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【新刊紹介】:国家は葛藤する ■なぜ日本は貧乏くさい国になったのか? 国運衰退にはセオリーがあった!

2024-12-09 00:04:30 | 【新聞社・報道・テレビ・ラジオ・公共放送NHKの功罪・マスコミ・雑誌】

【新刊紹介】:国家は葛藤する ■なぜ日本は貧乏くさい国になったのか? 国運衰退にはセオリーがあった! タガの外れた国難的危機をいかに抜け出すか?

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【新刊紹介】:国家は葛藤する ■なぜ日本は貧乏くさい国になったのか?  国運衰退にはセオリーがあった! タガの外れた国難的危機をいかに抜け出すか?

国家は葛藤する 「いい加減」で乗りきれ!日本の未来 池田清彦/著 内田樹/著 オピニオンノンフィクション書籍の商品画像

 第1章●政治家の劣化が加速し迷走する日本
 第2章●日本の岐路、あり得た未来を考える
 第3章●葛藤国家・日本の誕生
 第4章●エリート教育に失敗した日本
 第5章●葛藤国家・日本の未来

はじめに


池田清彦

 内田樹さんとは短い対談を何度かしたことがあったが、今回少し長い対談をして、日本をどう立て直すべきか、という構想がよく似ていることを知って愉快であった。内田さんも私も「いい加減」にやろうという考えなのである。「いい加減」って何となくネガティヴなコトバのように聞こえるが「良い加減」と発音すると、いきなりポジティヴなコトバになるから不思議だ。同じことなんだけどね。

 「いい加減」とは無矛盾性を追求しないで、今使える社会的リソースを駆使して、人々が今より多少とも幸せになるには、とりあえず何が一番緊急の課題かという、すぐれてプラグマティックな方法論なのだ。多くの日本人はかなり真面目なので(相当なおバカという意味でもあるが)、首尾一貫性をとても良いことのように思っている人が多いけれども、状況は刻々と変わるのだから、首尾一貫性は滅びへの道なのである。

 太平洋戦争は典型で、一度決めたことを変えることができなかったので、戦況が悪くなっても戦争継続以外の選択肢に目を塞ぎ、ひたすらクラッシュに向かって突き進んだ。結果310万人もの日本人が殺されたわけだからひどい話である。今、規模が小さいとはいえ、大阪万博も同じ道を歩んでいるように見える。アメリカの哲学者のエマソンは「首尾一貫性は小人の心に宿るお化けみたいなものだ」と喝破している。「いい加減」の価値を知らない日本人にはエマソンのコトバは理解不能かしらね。

 「いい加減」でない人は損切りができない。今までつぎ込んだ資金や努力を捨てることができない。ここでやめたら今までの努力が水の泡だから、もっと頑張らなければ、というパトスは滅びへの道だ。太平洋戦争を途中で切り上げられなかったのも、ここで白旗をあげたら今までに戦死した兵士の命が無駄になるという思いに拘泥したためだ。それで、それまでとは桁違いの人が亡くなったのだ。

 歴史が我々に教える最大の教訓は、すべての政治システムは崩壊するということだ。長い歳月に耐える政治システムは存在しない。システムに合わせて状況が変わるわけではないので、状況が変わればそれに合わせてだましだまし生き延びるほかはない。

 私事になるが、結婚式のとき(結婚式の費用は親父が金を出してやるから、やれというのでイヤイヤやったのだ)、牧師がムニャムニャと御託を並べて、最後に「永遠の愛を誓いますか」聞いた。女房は「はい」と言ったが、私は「わかりません」と言って、牧師はちょっとびっくりしたようだった。

 私の友人の昆虫分類学者は、自分が記載した新種の虫の学名に奥さんの名前を付けたが、しばらくして離婚した。学名は永遠だが、愛は永遠ではないのである。「君が代は千代に八千代に……」と続くわけだが、永遠という甘美な響きは頭の中にだけある妄想であって、騙されると痛い目にあう。

 ヒトの個体の寿命はせいぜい100年、人類という種の寿命はせいぜい200万年。未来永劫のことを考えても詮無せんないのだ。余命が50年の人は50年つつがなく生きられる方途を考えるのが一番重要で、100年後のことを考えるなとは言わないが、未来のために今の生活を犠牲にするのは本末転倒だ。

 瀕死の病人は、とりあえず命が助かることが最重要課題であって、それ以外のことは命が助か ってから考えればいいのだ。というわけで、内田さんとは今の日本が直面している待ったなしの問題のいくつかについて意見を交換した。食料問題、少子高齢化問題、日本の国力がノンストップで下がり続けている根本原因、教育の崩壊をどう立て直すべきか、日本人のコモンセンスをどのように担保するか、などなど。

 私が今一番心配しているのは食料自給率が38%しかないという現状だ。内田さんもこれについては異存はないと思う。国民の生活にとってもっとも大事なものは食料である。気候変動や、火山の大爆発によって、世界的な食糧難になったときに、自給率38%はいかにも危うい。

 食糧輸出国でも自国民の食料が足りなくなれば、日本に売る分はないというに違いない。そうなると日本人の半分は飢えに直面するだろう。私の試算では減反前にコメの生産量を戻せば、自給率は60%近くまで回復する。これは早急にやるべきだ。軍事費をいくら増強しても、戦闘機は食えない。

 少子高齢化は期間限定の問題で、あと15年〜20年もたてば、自然に解消されるので、恒久的なシステムを作らずに、その間だけ老人にベーシックインカムを配るなどのアド・ホック(一時しのぎ)な政策で乗り切ればよい。これも「いい加減」の見本のような話だけれど、内田さんは賛成してくれるだろう。

 日本が、天皇制と立憲デモクラシーという矛盾する統治原理を上手く折り合わせるにはどうすべきかも、この対談の重要な論点だ。過激なリバタリアンの私は、究極のところでは天皇制に反対だけれども、天皇は日本人のコモンセンスの範例としてとても優れているので、とりあえずは潰さないほうが賢そうだ。二つの矛盾した統治原理を、矛盾したままでだましだまし使うというのが「いい加減」の極致のやり方で、矛盾を解消しようと思うと大体、ろくなことにはならないのだ。

おわりに


内田 樹

 池田清彦先生とは養老孟司先生が主宰する「野蛮人の会」ではじめてお会いしました。もう20年くらい前だと思います。「野蛮人の会」というのは僕が勝手に命名しているだけで、そういう名前の会があるわけではありません。

 最初に養老先生のご招待で「ふぐ」をごちそうになったときに、同席している人たちについて「先生、この人たちをどういう基準で人選されたんですか?」と伺ったら養老先生が「全員、野蛮人てことだろう」と呵々大笑されたことにちなんでおります。

 その中に池田先生もいて、賑やかにお酒を飲んで、ふぐを食べて、大声で笑っていました。池田先生とはそのときにはじめてお会いして、「なんだかやたらに楽しそうな人だな」と思いました。それから養老先生の招集する会で毎年お会いするようになりました。

 あるとき、池田先生とおしゃべりしていたら、池田先生が「養老さんは内田さんのこと『内田さん』て呼ぶだろ? でも、オレのことは『池田君』て呼ぶんだよ」と言って実にうれしそうに笑ったのを覚えています。なるほど、見渡すと「野蛮人の会」で養老先生から「君」で呼ばれているのは池田先生だけなんです。

 2人の距離感は特別なんだなと思って、すごくうらやましくなったことを覚えています(もちろん、池田先生は僕を『うらやましがらせる』ためにそう言ったのです。ぐむむ)。池田先生はそういう「少年」ぽい人なので、おしゃべりしていると、なんだかこちらも大学生に戻ったような気になります。

 それから二人で対談を何度かすることになりました。池田先生の話はどんどん暴走するのですけれど、僕も「話をまとめる」とか「わかりやすい結論に落とす」ということにはぜんぜん興味がないので、たいてい2人して話をさんざん散らかしたまま、「おや、時間となりました」で終わってしまいました。企画した人には申し訳ないけれど、こればかりは性癖なので仕方がありません。

 だから、この本の企画が持ち込まれたときにも「大丈夫かしら」と思いました。編集者には「こんな本を作りたい」という何らかの心づもりがあってのことなのでしょうけれど、たぶん「そんな本」にはならないと思ったのです。実際、企画書に書いてあることとはぜんぜん違う話を2人でしゃべっているうちに規定の時間を使い果たしてしまいました。でも、こうやって文字起こししてみると、それなりにまとまった対談になっていたので、ほっとしました。

 「まえがき」で池田先生が書いてくださっているように、先生と僕の意見が合うのは、「アド・ホック」ということについてです。ad hoc はラテン語原義は「これのために」(for this)で、「とりあえず」とか「その場限りの」という意味で使います。本邦の表現に言い換えると「臨機応変」です。

 僕は関西弁でいう「イラチ(せっかち)」です。それも「病的な」と形容がつくほどのイラチです。だから、無駄なことで時間を費やすことができません。そういう病的イラチの人間がたどりついた実践的な教訓は「複雑な話は複雑なまま扱うほうが話が早い」ということです。

 誤解している人が多いのですが、「複雑な話を簡単」にするとたいていの場合、「話が遅く」なります。複雑な現実を無理やり簡単なスキームに押し込めば、たしかに話が簡単になったようには見えますが、現実は相変わらず複雑なままです。そのうち現実は「簡単なスキーム」ごと吹き飛ばして、一層複雑なものになって再帰してくる。そういうものなんです。話を簡単にした分だけ結果的には無駄をしたことになる。僕はそういう無駄ができない人なので、いきおい「話を複雑にしたまま話を進める」ことになります。

 話を複雑にしたまま話を進める場合でも、「複雑な話」にちょっとガムテープを貼ったり、糸で縫ったり、ホッチキスで止めたりということはします。そういう手当をしておかないと「複雑な話」は持ち運びできませんからね。でも、それはあくまで「一時しのぎ」であって、長持ちはしない。だから「アド・ホック」なんです。でも、そういう「その場しのぎ」を続けているうちに、複雑な話の複雑さを保ったまま、けっこうな距離を踏破することがあります。

 そして、そうやって時間稼ぎをしているうちに話を複雑にしていた要素のうちのいくつかがなくなるということが起きます。事態を紛糾させていた人物が死ぬとか、支配的だったイデオロギーが飽きられるとか、磐石に思えたシステムが壊死えしするとか、いろいろです。話を簡単にしたがる人たちはこの「一定の時間複雑なまま放っておくと、いつのまにか自然に問題が簡単になっていることがある」ということにあまり気づいていないようです。

 話を簡単にしたがる人は、「まず話を簡単にして、そこから複雑な話に進む」ということが知性の働きだと思っているようですけれども、それは違います。複雑な話の複雑さを毀損きそんしないまま、それを「ペンディング」する作法を工夫するところに知性は発揮される。僕はそう信じています。

 例えば、レヴィナスの「他者」という哲学的概念はきわめて難解であり、意味がよくわかりません。だから「レヴィナス哲学を論じるにあたって、まずキーワードを一意的に定義しようではないか」というようなことを言われるととても困ります。そんなことできるはずがない。

 何十冊からレヴィナスを読み込んだあとに、ようやくその概念の手触りがわかるような難解な概念については、「ペンディング」しておくほうが話が早いんです。だから、「まあ、『他者』と言ったらとりあえず『他の人』だわな」くらいのアバウトな了解にしておいて、じゃんじゃんレヴィナスを読んでいくほうが話が早い。これが池田先生の言われる「アド・ホック」の骨法だと僕は理解しております。「まあ、とりあえず……だわな」で話を進める。

 本書では、日本が天皇制と立憲デモクラシーという二つの両立しがたい統治原理をなんとか折り合わせていくためにはどうしたらいいのかという話が重要なトピックの一つとなっていますが、こういう複雑な問題については「これが正解」というシンプルな解を提示してみせてもあまり意味がありません。

 例えば天皇制は「是か非か」について「まずこれを決してから、次にその具体的手順について話を進めよう」と言っても、無理なんです。「天皇制を廃止する」ことについての国民的合意を形成しようとしたら、膨大な政治的リソースをこのために投じなければならない。それ以外の政策的課題をぜんぶ後回しにして、ひたすら「天皇制は是か非か」を論議しなければならないし、結果によっては深刻な国民的分断を招きかねない。

 僕はそんなことをしている余裕は日本にはないと思っています。そんな暇があったら、それ以外の、具体的に日本のためになること(食糧とエネルギーを自給するとか、地方移住・地方分権を進めるとか、学術的発信力を高めるとか)を優先的にしたほうがいい。ものごとには優先順位というものがあります。

 火事の現場で「なぜ火事は起きたのだろう」と熟慮する人間も、「被災者たちを慰藉するために私たちは何をすべきだろう」と熟慮する人間も消火活動の邪魔になります。そういうときは、「いいから火を消すの手伝えよ」と言われる。火事の原因を究明することも、被災者を支援することも、たいへんに大切なことではありますけれど、現場では「火を消す」ことが優先する。

 「アド・ホック」というのは「その場しのぎ」というだけの意味ではありません。「とりあえず」とか「さしあたり」とかいうことがきっぱりと言えるためには「ものごとの優先順位」がわかっていないといけない。これはきわめて叡智えいち的な営みなのです。

 池田先生と僕がこの対談の中で話していることは、よく読むとわかって頂けると思いますが、「とりあえず」なすべきことと、なぜその優先順位が高いのかをめぐっています。ほとんど「それだけ」しか話していないと言ってもいいくらいです。ということは、この対談の中で僕たちは「一般論」をほとんど語っていないということです。

 「一般論として正しいこと」は基本「無時間モデル」です。「一般論として正しいこと」はたいていの場合、手持ちの時間が有限であること、手持ちの知的資源が有限であることを勘定に入れていません。そして、僕たちは「有限」ということが気になって仕方がない人たちなんです(池田先生のお得意な「オレはもうすぐ死んじゃうけどね」というのは使える時間と資源が「有限」であるから、それを投じる先の「優先順位」の決定が大事であることを強調するために繰り返されているのです)。

 われわれはいわば冷蔵庫にある「賞味期限ぎりぎりの豚肉とキャベツともやし」で何が作れるかというようなことを話し合っているのでありまして、それは「金と時間がたっぷりあるとこんなに美味しい料理が食べられます」というのとはぜんぜんレベルの違う話なんです。

 おっと、どうすれば話を早くできるかを縷々るる説明していたら、すっかり話が長くなってしまった。老人の話は長くなっていけませんので、もうこれで終わりにします。最後になりましたが、あちこちへ逸脱する話をなんとかとりまとめてくださった近藤碧さんのご苦労ご心労にお礼とお詫びを申し上げます。長い時間とりとめのないおしゃべりのお相手をしてくださった池田清彦先生のご海容にも伏して感謝申し上げます。また遊んでくださいね。

 ■本体価格 1,600円+税

著者略歴(内田樹)
1950年東京都生まれ。神戸女学院大学名誉教授。神戸市で武道と哲学のための学塾「凱風館」を主宰、合気道凱風館師範(合気道七段)。東京大学文学部仏文科卒、東京都立大学人文科学研究科博士課程中退。専門は20世紀フランス文学・哲学、武道論、教育論。主著に『ためらいの倫理学』(‎KADOKAWA)、『レヴィナスと愛の現象学』(文春文庫)、『寝ながら学べる構造主義』(文春新書)、『先生はえらい』(ちくまプリマー新書)など。第六回小林秀雄賞(『私家版・ユダヤ文化論』文春新書)、2010年度新書大賞(『日本辺境論』新潮新書)、著作活動全般に対して第三回伊丹十三賞を受賞。近著に『街場の身体論』(エクスナレッジ)、『勇気論』(光文社)、『図書館には人がいないほうがいい』(アルテスパブリッシング)など。
著者略歴(池田清彦)
1947年、東京都生まれ。生物学者。東京教育大学理学部生物学科卒、東京都立大学大学院理学研究科博士課程生物学専攻単位取得満期退学、理学博士。山梨大学教育人間科学部教授、早稲田大学国際教養学部教授を経て、現在、早稲田大学名誉教授、山梨大学名誉教授。高尾599ミュージアムの名誉館長。生物学分野のほか、科学哲学、環境問題、生き方論など、幅広い分野に関する著書がある。フジテレビ系『ホンマでっか!?TV』などテレビ、新聞、雑誌などでも活躍中。著書に『食料危機という真っ赤な嘘』(ビジネス社)、『多様性バカ』(扶桑社)、『人間は老いを克服できない』(角川新書)、『SDGsの大嘘』(宝島社新書)など多数。また、『まぐまぐ』でメルマガ『池田清彦のやせ我慢日記』
(http://www.mag2.com/m0001657188)を月2回、第2・第4金曜日に配信中。

 元稿:総合出版ビジネス社 主要出版物 社会・国際・政治 【話題・著書「国家は葛藤する ■なぜ日本は貧乏くさい国になったのか? 国運衰退にはセオリーがあった!」】  2024年11月01日  16:15:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【新刊紹介】:ヤンキー 母校に恥じる ヨシイエと義家氏

2024-12-09 00:04:20 | 【新聞社・報道・テレビ・ラジオ・公共放送NHKの功罪・マスコミ・雑誌】

【新刊紹介】:ヤンキー 母校に恥じる ヨシイエと義家氏

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【新刊紹介】:ヤンキー 母校に恥じる ヨシイエと義家氏

ヤンキー 母校に恥じる ヨシイエと義家氏

 

 【作品の説明】:

  • 「ヤンキー先生」を世に送り出したテレビディレクターがつづる悔恨と検証のドキュメント。私の知るヨシイエはもういない。自民党の集まりやメディアで「ヤンキー先生」と紹介されている人は、私が描いた「ヤンキー先生」とは別人だ。それならば、私にできること、しなければならないことは、一つしかない。「ヨシイエ」と「義家氏」の間に、境界線を書くことだ。できるだけ濃く、できるだけ太く。私はささやかだが、ある行動を起こすことにした。

 ■この生き様、上昇か?転落か?
  『ヤンキー母校に帰る』ヤンキー先生こと義家弘介氏は、なぜ変わってしまったのか?

 ■ヨシイエと義家氏
  不良少年時代より「ヨシイエ」を取材し続け、今は音信不通となった北海道放送ディレクターがつづる
 悔恨と検証の記録。
 「義家氏」を生み出したのは、誰だ!? 

 ■目次

  序 章 「祭りのあと」の二十年
  第1章 バクダン貴公子
  第2章 ヤンキー母校に帰る
  第3章 天国と地獄
  第4章 「訴訟を検討している」
  第5章 副大臣と「俺の夢」たち
  第6章 やっぱりおまえはヤンキーだった
  第7章 道の先
  最終章 「いってらっしゃいませ!」

  発売日:  2024年11月11日頃

   価格:販売価格 : 1,600円 (税込:1,760円

 ■[著者プロフィール]
 河野啓(こうの・さとし)
  1963年生まれ。北海道放送のディレクターとして、「学校とは何か?」(放送文化基金賞本賞)
 「ツッパリ教師の卒業式」(日本民間放送連盟賞)などを受賞。
 作家としても、『デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場』で開高健ノンフィクション賞、『北緯43度の雪』で小学館ノンフィクション大賞を受賞するなど高く評価されている。

 元稿:三五館シンシャ 主要出版物 ビジネス 【政治・社会・新刊・「ヤンキー 母校に恥じる ヨシイエと義家氏」】  2024年11月11日  09:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《メディアの風景・12.03》:「SNS公共性」の成立 報道の公共性と、どう接続=武田徹

2024-12-03 02:05:20 | 【新聞社・報道・テレビ・ラジオ・公共放送NHKの功罪・マスコミ・雑誌】

《メディアの風景・12.03》:「SNS公共性」の成立 報道の公共性と、どう接続=武田徹

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《メディアの風景・12.03》:「SNS公共性」の成立 報道の公共性と、どう接続=武田徹

 斎藤元彦氏が失職からの返り咲きを果たした兵庫県知事選では、支持者たちの情報行動が話題になった。NHKの出口調査で「(投票の)参考にしたメディア」を尋ねると「SNS(ネット交流サービス)や動画投稿サイト」と答えた人数がテレビや新聞を上回り、その約7割が斎藤氏に投票していた。つまりSNSが選挙の趨勢(すうせい)を決めている。ここでは「SNS公共性の成立」という観点からこうした状況の分析を試みたい。

 社会に広く影響を与える性質を意味する「公共性」には二つの系譜がある。佐藤卓己・上智大教授はそう指摘している。一つは17世紀ロンドンのカフェで新聞片手に政治などを議論し、公論を形成した人たちに端を発する「ブルジョア公共性」、もう一つが、祝祭やデモ行進に集まった人たちが世論のうねりを作り出す「街頭公共性」の系譜だ。

 ※:この記事は有料記事です。残り742文字(全文1098文字)
 

 元稿:毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【メディアの風景】  2024年12月03日  02:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【時事世論調査】:内閣支持、横ばい28.7%

2024-11-14 15:05:30 | 【新聞社・報道・テレビ・ラジオ・公共放送NHKの功罪・マスコミ・雑誌】

【時事世論調査】:内閣支持、横ばい28.7%

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【時事世論調査】:内閣支持、横ばい28.7%

 時事通信が8~11日に実施した11月の世論調査によると、石破内閣の支持率は前月比0.7ポイント増の28.7%と横ばいだった。<button class="sc-1gjvus9-0 cZwVg" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="26"></button><button class="sc-1gjvus9-0 cZwVg" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="26">石破茂首相=1日、首相官邸</button>

石破茂首相=1日、首相官邸

 ■【最新・ひと目でわかる】内閣支持率の推移  

 不支持率は38.3%で8.2ポイント増えた。  支持率2割台は政権維持の「危険水域」とされる。10月の衆院選大敗後、石破政権は国民民主党などに協力を呼び掛けて再スタートを切ったが、依然として有権者の厳しい目が注がれている現状が浮き彫りになった。

 【関連記事】

 元稿:時事通信社 JIJI.com 主要ニュース 政治 【政局・世論調査】  2024年11月14日  15:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【流行語大賞】:国民怒った「裏金問題」政界代表する今年の言葉、国民の信頼回復遠く/ノミネート

2024-11-05 14:00:30 | 【新聞社・報道・テレビ・ラジオ・公共放送NHKの功罪・マスコミ・雑誌】

【流行語大賞】:国民怒った「裏金問題」政界代表する今年の言葉、国民の信頼回復遠く/ノミネート

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【流行語大賞】:国民怒った「裏金問題」政界代表する今年の言葉、国民の信頼回復遠く/ノミネート

  今年を代表する言葉を選ぶ「現代用語の基礎知識選 2024ユーキャン新語・流行語大賞」のノミネート30語が5日、発表された。トップ10と大賞は、12月2日に発表される。<button class="sc-1gjvus9-0 cZwVg" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="26"></button><button class="sc-1gjvus9-0 cZwVg" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="26">石破茂首相(24年10月撮影)</button>

石破茂首相(24年10月撮影)(Nikkan Sports News.)

 ■【イラスト】新語・流行語大賞大賞ノミネート一覧  

             ◆  ◆  ◆

 「裏金問題」 自民党の各派閥が毎年政治資金パーティーを開催し、20万円を超える対価の支払いを受けたにもかかわらず、その収入明細を各政治資金収支報告書に記載していなかった。この政治資金規正法違反事件を『しんぶん赤旗日曜版』がスクープ報道。パーティー券の販売ノルマを課しノルマ超過分をキックバックしたり、派閥に納入しない中抜きを認めるなど、議員側も寄付金を自身の政治団体の収支報告書に記載せず裏金にするなど、規正法違反が横行し、しかもいまだに解明されていない。  

【イラスト】新語・流行語大賞大賞ノミネート一覧

 

 この影響で自民党は10月27日の衆院選で惨敗し、少数与党に転落した。政権維持のため、大躍進した国民民主党にすり寄ろうとする自民党だが、怒った国民の信頼回復はほど遠い状況だ。  

             ◆  ◆  ◆  

 事務局では、今年の傾向を「2024年は1月に能登半島地震が発生し暗いニュースからのスタートとなったが、オリンピック、大谷選手の活躍、ダンス動画関連のヒットなど、話題は数多くみられた。流行語としては、小粒がそろったと思われる。また、『お金』にまつわる用語が数多く発生。責任をもたない風潮の世の中、光と闇が混在した年であり、嵐の前の静けさを感じさせる」としている。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・「現代用語の基礎知識選 2024ユーキャン新語・流行語大賞」】  2024年11月05日  14:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【天風録・11.05】:西田篤史さん

2024-11-05 07:01:45 | 【新聞社・報道・テレビ・ラジオ・公共放送NHKの功罪・マスコミ・雑誌】

【天風録・11.05】:西田篤史さん

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録・11.05】:西田篤史さん

 「あの人なら、今の広島をどう言うか」。地元のラジオやテレビでなじんだ司会者も思い浮かぶ顔だろう。そんな一人で「あっちゃん」と親しまれてきた西田篤史さんの思わぬ訃報に接した。68歳

 ▲他界したおとといは、母校の広島修道大が年に1度、校友を迎えるホームカミングデー。西田さんは特別講演に招かれ、錦を飾る日となるはずだった。出番に「穴をあける」のを嫌った放送人だけに心残りだったろう

 ▲学生時代からアルバイトでRCCラジオに出入りし始める。以来、広島弁丸出しで誇りを込め、ローカルタレントと名乗り続けた人だった

 ▲テレビ番組も持ち、司会を任されたRCC「週刊パパたいむ」では最高視聴率33%を取る。ただ、仕事の軸足は広島から動かさなかった。その訳を58歳の時に書いた自伝で明かしている。松山千春さんとの約束らしい。「俺は北海道から離れずに歌い続ける。お前は広島でしゃべり続けろ。広島を元気にしろ」

 ▲「広島に住みたい」と人が押し寄せる街になれば、広島弁の出番も増える―と夢見ていたという。その街は、人口の転出超過にあえぐ。自伝の題名は進行形の「あっちゃん、」。続きがもう読めなくなった。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】  2024年11月05日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【産経・FNN合同世論調査】:自民支持率、18歳~20代は12・5% 「政治とカネ」になお強い不信感

2024-11-05 00:15:50 | 【新聞社・報道・テレビ・ラジオ・公共放送NHKの功罪・マスコミ・雑誌】

【産経・FNN合同世論調査】:自民支持率、18歳~20代は12・5% 「政治とカネ」になお強い不信感

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【産経・FNN合同世論調査】:自民支持率、18歳~20代は12・5% 「政治とカネ」になお強い不信感 

 産経新聞社とFNNの合同世論調査では、70歳以上の年齢層だけで石破茂内閣の支持が不支持を上回った。自民党も高齢層の支持が高い傾向が明らかとなった。

 18歳~20代で石破内閣を「支持する」と答えたのは32・0%で、「支持しない」は61・0%。30代も支持が28・8%、不支持が59・4%だった。唯一、70歳以上で支持(58・5%)が不支持(36・4%)より多かった。前回調査(10月5、6両日)では、ほとんどの年齢層で支持が不支持を上回っていた。

 自民の支持率は25・8%となり、前回調査の34・3%から8・5ポイント下がった。年代別で「支持政党が自民」と答えたのは、70歳以上35・0%、60代28・0%、50代23・7%、40代30・3%、30代14・8%、18歳~20代12・5%だった。

 一方、自民の派閥パーティー収入不記載事件を巡り、不記載があった候補者を非公認などとして衆院選に臨んだことで「政治とカネの問題」にけじめがついたかを尋ねたところ、「ついていない」が85・5%、「ついた」は10・6%だった。

 非公認で当選した議員らが自民会派入りすることについては「自民会派入りは適切ではない」が52・0%、「すぐに会派入りしても問題ない」は13・2%にとどまった。

 再発防止に必要な政治改革を2つ聞いたところ、「政策活動費の使い道の公開」(40・9%)が最も多く、「政治資金の透明化やデジタル化での公開」(34・0%)、「政治資金をチェックする第三者機関の設置」(28・5%)、「政治資金パーティーの全面禁止」(27・2%)などが続いた。(内藤慎二)

 元稿:産経新聞社 主要ニュース 政治 【政局・世論調査】  2024年11月04日  19:37:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【産経・FNN合同世論調査】:与野党連携は「政策ごと」65%支持 国民民主への期待感浮き彫り

2024-11-05 00:15:40 | 【新聞社・報道・テレビ・ラジオ・公共放送NHKの功罪・マスコミ・雑誌】

【産経・FNN合同世論調査】:与野党連携は「政策ごと」65%支持 国民民主への期待感浮き彫り

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【産経・FNN合同世論調査】:与野党連携は「政策ごと」65%支持 国民民主への期待感浮き彫り 

 産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査では、与党との連携の可否を政策ごとに決める国民民主党の方針を支持する回答が65・1%を占め、「新しい意思決定の仕組み」(玉木雄一郎代表)に対する期待感が浮き彫りになった。年収が103万円を超えると所得税が発生する「103万円の壁」の解消などを巡り、与党との交渉で具体的な政策推進につなげられるかが焦点となる。

国民民主党の玉木雄一郎代表=10月29日、国会内(春名中撮影)

 国民民主は、自民、公明各党との間で、「103万円の壁」引き上げなどの案件ごとに政策協議を行う方針を確認している。11日には石破茂首相(自民総裁)と玉木氏が党首会談に臨む方向だ。

 国民民主が主張する「103万円の壁」の引き上げを巡り、世論調査では「引き上げるべきだ」との回答が77・2%に達した。

 玉木氏は3日放送のBSテレ東番組で、引き上げは「有権者との約束だ」と述べ、自民が応じない場合は政権運営に協力しない姿勢を示している。「壁」が解消されなければ「国民民主に期待した人にとってもゼロ回答だ」とも指摘した。与党への牽制(けんせい)を重ねる玉木氏にとって、世論の賛同は追い風といえそうだ。

 期待感は政党支持率にも表れている。10月5、6両日の前回調査で1・3%だった国民民主の支持率は、8・8ポイント上昇して10・1%となった。

 今回の調査では、他の野党も前回より支持率を伸ばす傾向がみられたが、6・4ポイント増(13・7%)の立憲民主党、1・4ポイント増(3・5%)の共産党、1.3ポイント増(5・3%)の日本維新の会などと比較して、国民民主の上昇幅の大きさは際立っている。

 元稿:産経新聞社 主要ニュース 政治 【政局・世論調査】  2024年11月04日  18:47:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【産経・FNN合同世論調査】:石破内閣支持率、異例の急落43・8% 不支持が支持を逆転、続投容認は5割超

2024-11-05 00:15:30 | 【新聞社・報道・テレビ・ラジオ・公共放送NHKの功罪・マスコミ・雑誌】

【産経・FNN合同世論調査】:石破内閣支持率、異例の急落43・8% 不支持が支持を逆転、続投容認は5割超

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【産経・FNN合同世論調査】:石破内閣支持率、異例の急落43・8% 不支持が支持を逆転、続投容認は5割超

 産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が2、3両日に実施した合同世論調査で、石破茂内閣の支持率は43・8%となり、政権発足直後の前回調査(10月5、6両日)の53・3%から9・5ポイント急落した。不支持率は前回比14・0ポイント増の49・8%で、支持率を逆転した。政権発足からわずか1カ月余りで不支持が支持を上回るのは異例だ。<button class="sc-1gjvus9-0 cZwVg" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="26"></button><button class="sc-1gjvus9-0 cZwVg" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="26">衆院選の結果を受け記者会見を行う自民党総裁の石破茂首相=10月28日午後、党本部(春名中撮影)</button>

衆院選の結果を受け記者会見を行う自民党総裁の石破茂首相=10月28日午後、党本部(春名中撮影)(株式会社 産経デジタル)

 ■ 【写真】「もっと下に…下に」“半ケツ”状態でビラ配りをするボランティア女性

 一方で、先の衆院選では与党が議席が過半数を割り込む結果となったが、首相の続投については「続投してもよい」(55・3%)が「交代すべきだ」(36・5%)を上回った。11日召集の特別国会での首相指名選挙で、誰が首相に指名されるのがふさわしいかを尋ねたところ、石破首相(自民党総裁)が46・1%でトップ。次いで、立憲民主党の野田佳彦代表17・4%▽国民民主党の玉木雄一郎代表10・2%▽日本維新の会の馬場伸幸代表2・7%-と続いた。

 今後の政権のあり方についての質問では、「立民と他の野党が連立して過半数を得て政権交代する」(31・1%)と「自公が過半数を下回ったまま政権を継続」(30・5%)、「自公が新たに他の党と連立して、過半数を得て政権を継続」(30・2%)の3つの回答が拮抗した。

 衆院選で躍進し、国会でキャスチングボートを握った国民民主に関し、今後の対応に望むことについては「政策ごとに与党に賛成、反対の立場を選ぶ」が65・1%で最多。「これまで通り野党の立場を取る」が21・9%で、「自民、公明とともに与党の立場を取る」は9・5%だった。また、国民民主が目玉政策として掲げ、自民側に政策協議を求めている「年収103万円の壁」引き上げに関しては「引き上げるべきだ」(77・2%)が「引き上げなくてよい」(16・6%)を大きく上回った。

 一方、自民の派閥パーティー収入不記載事件を巡り、衆院選で不記載のあった候補者を非公認などの対応で選挙戦に臨んだことで「政治とカネ」の問題にけじめがついたかを尋ねたところ、「けじめはついていない」が85・5%に上ったのに対し、「けじめがついた」は10・6%。非公認で当選した議員らが自民会派入りすることについて「自民会派入りは適切ではない」が52・0%に達した。「ある程度の期間を経た後であれば問題ない」は30・9%、「すぐに会派入りしても問題ない」は13・2%にとどまった。

 調査では内閣支持率に関し、答えが不明確な場合は「どちらかと言えば」と再度、質問して回答を得た。

 【関連記事】

 元稿:産経新聞社 主要ニュース 政治 【政局・世論調査】  2024年11月04日  11:44:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【JNN・世論調査】:石破総理「辞任の必要なし」71% 衆院選で15年ぶりに与党過半数割れの結果受け

2024-11-04 04:17:30 | 【新聞社・報道・テレビ・ラジオ・公共放送NHKの功罪・マスコミ・雑誌】

【JNN・世論調査】:石破総理「辞任の必要なし」71% 衆院選で15年ぶりに与党過半数割れの結果受け

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【2024年11月04日 今日は?】:【JNN・世論調査】:石破総理「辞任の必要なし」71% 衆院選で15年ぶりに与党過半数割れの結果受け

 衆院選で15年ぶりに与党が過半数を割り込みましたが、7割以上の人が「石破総理の辞任は必要ない」と考えていることが最新のJNNの世論調査でわかりました。

 石破内閣を支持できるという人は先月の調査から12.7ポイント下落し、38.9%、支持できないという人は13.8ポイント上昇し、57.3%でした。

 ■石破総理「辞任の必要なし」71% 衆院選で15年ぶりに与党過半数割れの結果受け 11月JNN世論調査(TBS NEWS DIG) - goo ニュース

 次に、先月27日に投開票が行われた衆議院選挙について。

 15年ぶりに与党が過半数を割り込みましたが、この結果について、▼「妥当だ」が53%、▼「野党がもっと議席を伸ばすべき」が22%、▼「与党がもっと議席を伸ばすべき」が18%でした。

 この結果をうけて、石破総理が責任をとって辞任すべきかどうか聞いたところ、▼「辞任すべき」は21%、▼「辞任する必要はない」は71%でした。

 自民党の「政治とカネ」をめぐるこれまでの対応については、「納得していない」と答えた人が81%にのぼりました。

 自民党の派閥の裏金事件で非公認となり、今回の衆院選で当選した議員を自民党が追加で公認することについて、▼「賛成」は20%、▼「反対」は70%でした。

 今回の選挙で議席を大幅に伸ばした国民民主党は、手取りを増やすために、年収が103万円を超えると所得税が課される「103万円の壁」を178万円に引き上げることを主張しています。

 ただその場合、政府は国と地方で7.6兆円程度の減収になると試算するなど問題があることも指摘されています。

 この「年収の壁」を引き上げることに、▼「賛成」と答えた人は66%、▼「反対」は20%でした。

 次の政権の枠組みについてどのような形が望ましいか聞いたところ、▼「自公を中心とした政権の継続」が44%、▼「立憲を中心とした政権に交代」が41%で、ほぼ拮抗しています。

 今月行われる総理大臣指名選挙で石破総理と立憲・野田代表による決選投票になった場合、どちらが望ましいか聞いたところ、▼「石破総理」が50%、▼「野田代表」が35%でした。

 各党の支持率はご覧の通りです。

【政党支持率】
 自民 24.6%(9.3↓)  立憲 12.8%(1.1↑)
 維新 4.0%(0.1↑)  公明 3.7%(1.5↑)
 国民 9.1%(7.6↑)  共産 2.5%(0.5↑)
 れいわ 3.6%(2.7↑) 参政 0.9%(0.1↑)
 社民 0.8%(0.4↑)  保守 0.8%(-)
 その他 0.2%(0.6↓) 支持なし 31.8%(5.3↓)

【調査方法】
 JNNではコンピュータで無作為に数字を組み合わせ、固定電話と携帯電話両方をかけて行う「RDD方式」を採用しています。

 11月2日(土)、3日(日)に全国18歳以上の男女2371人〔固定848人、携帯1523人〕に調査を行い、そのうち43.0%にあたる1020人から有効な回答を得ました。その内訳は固定電話508人、携帯512人でした。

 インターネットによる調査は、「その分野に関心がある人」が多く回答する傾向があるため、調査結果には偏りが生じます。より「有権者の縮図」に近づけるためにもJNNでは電話による調査を実施しています。無作為に選んだ方々に対し、機械による自動音声で調査を行うのではなく、調査員が直接聞き取りを行っています。固定電話も年齢層が偏らないよう、お住まいの方から乱数で指定させて頂いたお一人を選んで、質問させて頂いています。

 元稿:TBS NEWS DIG 主要ニュース 政治 【政局・世論調査】  2024年11月04日  04:17:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【JNN・世論調査】:【速報】:石破内閣の支持率38.9%

2024-11-04 04:17:20 | 【新聞社・報道・テレビ・ラジオ・公共放送NHKの功罪・マスコミ・雑誌】

【JNN・世論調査】:【速報】:石破内閣の支持率38.9%

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【2024年11月04日 今日は?】:【JNN・世論調査】:【速報】:石破内閣の支持率38.9%

 石破内閣の支持率が先月の調査から12.7ポイント下落し、38.9%だったことが最新のJNNの世論調査でわかりました。

 不支持率は先月の調査から13.8ポイント上昇し、57.3%でした。

【速報】石破内閣の支持率38.9% 11月JNN世論調査

【速報】石破内閣の支持率38.9% 11月JNN世論調査

 また、政党支持率では、▼自民党の支持が前月の調査から9.3ポイント下落し、24.6%、▼立憲民主党は1.1ポイント上昇し、12.8%、▼日本維新の会は0.1ポイント上昇し、4.0%、▼国民民主党は7.6ポイント上昇し、9.1%でした。

 【調査方法】
 JNNではコンピュータで無作為に数字を組み合わせ、固定電話と携帯電話両方をかけて行う「RDD方式」を採用しています。

 11月2日(土)、3日(日)に全国18歳以上の男女2371人〔固定848人、携帯1523人〕に調査を行い、そのうち43.0%にあたる1020人から有効な回答を得ました。その内訳は固定電話508人、携帯512人でした。

 インターネットによる調査は、「その分野に関心がある人」が多く回答する傾向があるため、調査結果には偏りが生じます。より「有権者の縮図」に近づけるためにもJNNでは電話による調査を実施しています。無作為に選んだ方々に対し、機械による自動音声で調査を行うのではなく、調査員が直接聞き取りを行っています。固定電話も年齢層が偏らないよう、お住まいの方から乱数で指定させて頂いたお一人を選んで、質問させて頂いています。

 元稿:TBS NEWS DIG 主要ニュース 政治 【政局・世論調査】  2024年11月03日  22:42:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・10.16】:新聞週間 偽情報が生む民主主義の危機

2024-10-20 05:01:10 | 【新聞社・報道・テレビ・ラジオ・公共放送NHKの功罪・マスコミ・雑誌】

【社説②・10.16】:新聞週間 偽情報が生む民主主義の危機

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・10.16】:新聞週間 偽情報が生む民主主義の危機

 デジタル技術の進展に伴い、真偽の見極めが難しい情報がインターネット上を飛び交うようになった。混迷を深める時代に、事実を正確に伝える新聞の使命と役割は重い。 

 近年、懸念されているのは生成AI(人工知能)を使った偽動画による世論の誘導だ。

 米国では昨年12月、バイデン大統領がホワイトハウスでロシア語の歌を口ずさみ、踊り出す動画が拡散された。露国営メディアがAIを使って本人の表情や声色を再現し、11月の大統領選に介入しようとしたとされる。

 今年のインド総選挙でも、モディ首相が跳びはねたり、両手を上げて観衆を鼓舞したりする動画がSNS上で広がり、発信者はモディ氏を「独裁者」と批判した。

 精巧な偽動画が、誰でも簡単に作れる時代になった。日本も今、衆院選の最中だ。ウソの情報で有権者を惑わすような行為は、民主主義を揺るがしかねない。自由で公正な選挙のためには、正しい情報が不可欠である。

 本紙の世論調査では、新聞が正確な情報を伝えることに「期待する」と答えた人が全体の85%に上った。ネット上のニュースについて、どこが発信した情報を信頼しているかを尋ねた問いでも、「新聞社」が52%で最も多かった。

 新聞社は各地に記者を派遣し、多くの関係者に取材して事実を確認のうえ報道している。科学的なデータや専門家の意見を踏まえた多角的な分析にも取り組んでいる。正しい情報を求める読者の期待に応えなければならない。

 偽情報は、一刻を争う自然災害の救助活動も妨げている。能登半島地震では、東日本大震災の津波の動画を加工したとみられる映像やウソの被災情報が相次いだ。

 こうした現象を増幅させているのが、閲覧数に応じて広告収入が増える仕組みだ。そのため、刺激的な情報が重視されがちで、人々の関心が優先される「アテンション・エコノミー」と呼ばれる。

 情報の信頼性を確認できる仕組みが必要だ。報道機関などの組合は、ネット上の記事などに発信者情報を付与するデジタル技術「オリジネーター・プロファイル(OP)」の開発を進めている。

 15日に新聞週間が始まった。代表標語には「流されない 私は読んで 考える」が選ばれた。

 標語を作った42歳の会社員男性は「新聞の活字を読むと、中立的、冷静に物事を考えられる」と話した。記憶に残りやすく、熟考できる活字文化を大切にしたい。

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年10月16日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【大谷昭宏のフラッシュアップ・08.05】:毎日新聞9月で富山県内の配送を中止 生活文化の西風東風はやんでほしくない

2024-08-05 08:00:50 | 【新聞社・報道・テレビ・ラジオ・公共放送NHKの功罪・マスコミ・雑誌】

【大谷昭宏のフラッシュアップ・08.05】:毎日新聞9月で富山県内の配送を中止 生活文化の西風東風はやんでほしくない

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【大谷昭宏のフラッシュアップ・08.05】:毎日新聞9月で富山県内の配送を中止 生活文化の西風東風はやんでほしくない 

 順調というより日本好調のパリ五輪。体操の男子団体総合の金メダルなど歓喜に沸くテレビスタジオでは、新聞の号外紹介も恒例行事だ。

 ただ近ごろ号外は、ほとんど読売1紙だけ。メダル獲得の保証もないのに記者を待機させ、発行となれば主要駅での配布要員の確保。経費面で朝日、毎日といった全国紙も二の足を踏んでいるのが実情だ。だけど号外はある意味、歴史の証言者。コレクターもいるのに、と思っていたら、もっと深刻な話が飛び込んできた。

 毎日新聞が9月末をもって富山県内の配送を中止すると発表した。聞けば、県内の販売部数は約850部。営業面で耐えきれなくなった。県内取材は続け、郵送講読も可能というが、「全国紙」とは言い難い。

 残念と思いつつ、東京のホテルで、毎日の朝刊を繰っていると、生活面の「女の気持ち」欄に<かす泥棒>の見出しで長野県大町市の79歳女性のほのぼのとした投稿が載っていた。

 小さな畑で取れたキュウリをかす漬けにしたが、おいしくなったお正月には食べきれず、かめにポリ袋でフタをして物置に-

 <4月ごろ、ふと思い出して見に行くと、ポリ袋がズレてアメ色のキュウリが3本。かめの深さの半分以上あったかすは? 一瞬、目が丸くなりました。「かす泥棒がいる!」>

 女性の家は山の中。熊も鹿もカモシカもイノシシも。でも、かめの穴は小さいから、キツネ、タヌキ、それとも猿?

 <だけど、あんなにたくさんかすをなめてしまったら、酔っぱらうに決まってます。千鳥足で帰っていった動物の姿を想像し、クスッと笑ってしまいました>

 大町はアルプスの麓の市。その山の中の女性のお宅に毎日新聞が配られていたからこそ届いたこの便り。新聞はニュースを送り届けると同時に、人々の生活や文化を運ぶ西風東風。酔った熊も猿も“大トラ”って呼ぶのかな、なんて考えながら、この風はやんでほしくないな、と願っていた。

 ◆大谷昭宏(おおたに・あきひろ)

 ジャーナリスト。TBS系「ひるおび!」東海テレビ「NEWS ONE」などに出演中。

大谷昭宏のフラッシュアップ

 ■大谷昭宏のフラッシュアップ

 元読売新聞記者で、87年に退社後、ジャーナリストとして活動する大谷昭宏氏は、鋭くも柔らかみ、温かみのある切り口、目線で取材を重ねている。日刊スポーツ紙面には、00年10月6日から「NIKKAN熱血サイト」メンバーとして初登場。02年11月6日~03年9月24日まで「大谷昭宏ニッポン社会学」としてコラムを執筆。現在、連載中の本コラムは03年10月7日にスタート。悲惨な事件から、体制への憤りも率直につづり、読者の心をとらえ続けている。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・連載・「大谷昭宏のフラッシュアップ」】  2024年08月05日  08:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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