路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【経済ニュースの核心】:特殊詐欺対策で注目のATM引き出し額「制限」…“線引き”めぐり警察庁vs金融機関でせめぎ合い

2024-11-16 06:30:30 | 【金融・金融庁・日銀・株式・為替・投資・投機・FRB・「ドル円」・マーケット】

【経済ニュースの核心】:特殊詐欺対策で注目のATM引き出し額「制限」…“線引き”めぐり警察庁vs金融機関でせめぎ合い

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【経済ニュースの核心】:特殊詐欺対策で注目のATM引き出し額「制限」…“線引き”めぐり警察庁vs金融機関でせめぎ合い

 自分の預金がさらに引き出しにくくなるかもしれない。「現在、ATMから現金を引き出せるのは1日当たり50万円までですが、さらにその額が少なくなる可能性が高くなっています」(メガバンク幹部)というのだ。ただし、制限されるのは高齢者のみ。なぜなら高齢者を狙った特殊詐欺が急増していることを受けた、やむを得ない措置だからだ。

 振り込め詐欺などの特殊詐欺は急増している。2023年の特殊詐欺被害件数は1万9038件で前年に比べ8.4%も増加した。被害額は前年比22%増の452億円まで膨らんでいる。危機感を強めた政府(警察庁)は、犯罪収益移転防止法施行規則を改正し、高齢者のATMでの振り込みや現金引き出し制限を強化しようとしている。問題はその線引きだ。

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通話しながらの引き出しは通報される時代に

 「警察庁は8月に、全銀協でATMを使用した特殊詐欺対策に関する説明会を開き、65歳以上の顧客のATMでの1日当たりの振込額と引き出し額を、それぞれ20万円以下に制限したいとの考えを示した」(同)という。これに対して、金融機関側は、「65歳以上というのはあまりに年齢が低すぎるし、引き出し額20万円も低すぎる」と反発している。「ATMが利用できない顧客が窓口に流れてくることが予想され、対応ができなくなる事態も想定される」(同)というのだ。

 なかでも危惧されるのが偶数月の年金支給日での対応だ。「年金受給については、窓口ではなくできるだけATMの利用へ誘導しているが、20万円を超える2カ月分の年金をまとめて引き出す高齢者は少なくない。そうした顧客が窓口に押し寄せれば、営業店の事務は爆発しかねない」(同)と懸念されている。

 メガバンクなど大手行では、こうした顧客は1日に数万件に上る可能性もある。

 警察庁では、ATMでの振り込み、引き出し額を20万円以下に制限すれば、特殊詐欺の9割以上は防止できると見込んでいるが、顧客利便性を制限することに金融機関は及び腰だ。「少なくとも制限対象は75歳以上に、振り込み、引き出し制限額は30万円以下に引き上げてほしい」(同)と要望している。

 はたしてどこで「線引き」されるのか、注目される。

 ■小林佳樹 金融ジャーナリスト

 銀行・証券・保険業界などの金融界を40年近く取材するベテラン記者。政界・官界・民間企業のトライアングルを取材の基盤にしている。神出鬼没が身上で、親密な政治家からは「服部半蔵」と呼ばれている。本人はアカデミックな「マクロ経済」を論じたいのだが、周囲から期待されているのはディープな「裏話」であることに悩んで40年が経過してしまった。アナリスト崩れである。

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 元稿:日刊ゲンダイDIGITAL 主要ニュース マネー 【トピックスニュース・連載「経済ニュースの核心」】  2024年11月16日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・11.10】:損保カルテル 悪しき慣行となれ合いを断て

2024-11-10 05:00:40 | 【金融・金融庁・日銀・株式・為替・投資・投機・FRB・「ドル円」・マーケット】

【社説②・11.10】:損保カルテル 悪しき慣行となれ合いを断て

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・11.10】:損保カルテル 悪しき慣行となれ合いを断て

 企業向けの損害保険を巡り、損保大手4社による違法な価格調整が常態化していた。損保業界と金融庁などは、 悪  しき商慣行を断つ対策を徹底しなければならない。 

 公正取引委員会は、企業向け共同保険などで価格カルテルや入札談合を繰り返していたとして、東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険を独占禁止法違反と認定した。

 計20億7164万円の課徴金納付命令を出し、再発防止を求める排除措置も命じた。

 公取委は不適切な約600の案件を把握し、私鉄大手の東急や仙台国際空港など社会的な影響力の大きい契約先に絞り調査した。

 2019年以降、9件の損害保険で価格調整などが行われていたことを確認した。違反行為での売上高は約540億円に上った。

 違法な取引の広がりや、法令を軽視した企業風土、統治体制の不全は深刻で、許されない。

 企業向け保険は、火災や災害が起きた際の補償が巨額になりやすく、複数の損保会社による共同保険の仕組みで契約されることが多い。主に大きな設備を持つインフラ企業や製造業が対象となる。

 ただし、契約が共同でも、損保会社から企業側への保険料の提示は個別に行うことが原則だ。

 だが、各社の営業担当者らは、電話やSNS、カラオケ店での会合を通じて情報交換を重ね、取引先に割高な保険料を提示するための調整を行っていた。

 損保業界は大手への寡占が進んでいる上、共同保険という仕組みが価格調整を助長しやすい。

 公取委は再発防止に向け、今回、個別事案について適正な取引の基準を公表する異例の対応を取った。契約先企業が入札などの競争を求めた場合、損保会社による事前の価格調整は、原則として独禁法上、問題になると強調した。

 一方、企業側が具体的で明確な条件を示し、それを前提に引き受け割合などの調整を行った場合、直ちには問題にならないとした。損保各社は公取委の基準を踏まえ社内教育を徹底するべきだ。

 また、公取委は、調整の要となってきた幹事会社を通して契約するのではなく、契約先である企業の立場に立って保険会社の選定や交渉にあたる「保険仲立人」の活用を選択肢として挙げた。

 金融庁は、企業の導入を後押しする施策を検討してほしい。損保側も業界を挙げ、共同保険の改革案を練っていくことが重要だ。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月10日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・11.09】:FRB利下げ 先行きへの警戒を怠らぬよう

2024-11-09 05:00:50 | 【金融・金融庁・日銀・株式・為替・投資・投機・FRB・「ドル円」・マーケット】

【社説①・11.09】:FRB利下げ 先行きへの警戒を怠らぬよう

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・11.09】:FRB利下げ 先行きへの警戒を怠らぬよう

 米国のインフレに落ち着きが見え、金融政策は緩和方向へと、さらに一歩進んだ。だが、トランプ次期米大統領が掲げる政策は、今後、物価高を再燃させる懸念がある。 

 米経済への打撃となるだけでなく、日本を含めた世界経済への影響は大きく、警戒が必要だ。

 米連邦準備制度理事会(FRB)は、政策金利を0・25%引き下げて、年4・50~4・75%とすることを決めた。前回9月に金融政策を緩和方向へ転換しており、2会合連続の利下げとなった。

 米経済は、コロナ禍での供給制約や、ロシアによるウクライナ侵略の影響などを受けて、歴史的な高インフレに見舞われた。

 FRBが、2022年春から急速に利上げを進めた結果、今年9月の消費者物価上昇率は2・4%にまで低下した。

 パウエル議長は記者会見で、利下げの理由について、2%のインフレ目標に「かなり近づいた」と述べた。堅調な経済を維持しながら、物価高を沈静化させることに自信を深めているのだろう。

 米経済は際立った強さを見せている。24年7~9月期の実質国内総生産(GDP)は年率換算で前期比2・8%増となり、10四半期連続のプラスだ。世界経済にも望ましい影響を与えよう。

 今後のリスク要因は、トランプ氏が公約に掲げた高い関税を課す計画や大規模な減税策が、物価高を再燃させることだ。

 パウエル議長は、「短期的には今回の選挙が政策判断に影響を与えることはない」と述べた。トランプ氏が、来年1月に就任後、政策をどう打ち出すのか不確実性は高い。その影響を分析して、柔軟に対応していくことが重要だ。

 FRBの独立性が脅かされる懸念もある。トランプ氏が1期目に景気浮揚を狙い、利下げするよう圧力をかけ続けたからだ。拙速な利下げでインフレを再び加速させる事態は避けねばならない。

 また、パウエル議長は、トランプ氏に求められたとしても辞任はしないと明言した。議長の任期は26年5月まである。 毅然 きぜん とした姿勢で政策運営を行ってほしい。

 一方、日本経済にとっては、トランプ次期政権の経済政策への思惑などから、一時、1ドル=155円近くまで円安・ドル高が進んだことが懸念材料だ。

 日本銀行は、経済や物価情勢が見通しどおりに進めば利上げする考えを示している。米経済や為替市場に丁寧に目配りし、政策変更の時期を判断してもらいたい。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月09日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・11.06】:株不正取引 市場の信頼は傷ついた

2024-11-06 04:00:47 | 【金融・金融庁・日銀・株式・為替・投資・投機・FRB・「ドル円」・マーケット】

【社説②・11.06】:株不正取引 市場の信頼は傷ついた

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・11.06】:株不正取引 市場の信頼は傷ついた 

 公正な株取引を監視する「市場の番人」たちが自ら不正に手を染め、利益を得ていたならば到底許されない。
 
 金融庁出向中の30代の裁判官が職務で知った株式公開買い付け(TOB)情報などを基に株取引をした疑いがあるとして、証券取引等監視委員会がインサイダー取引容疑で強制調査していたことが先月発覚した。
 
 これとは別に東京証券取引所の若手社員が未公表のTOB情報などを親族に漏らし強制調査を受けている。親族は実際に株売買をしていたという。
 
 内部情報を基にしたインサイダー取引は市場をゆがめる行為で刑事罰の対象である。
 
 規制する立場の金融庁や東証担当者の不正は前代未聞で日本市場の信頼は大きく傷ついた。事実究明とともに徹底した再発防止策を講じねばならない。
 
 関係者によると、この裁判官は4月から金融庁に勤務し、TOB予定企業から提出される書類審査などを担当していた。
 
 TOBは企業買収や親会社による子会社化などで特定企業の株を大量に買い付ける。株主に応じてもらうため、買い値は市場の株価を上回ることが多い。
 
 秘匿情報を扱うことから、金融庁は高い倫理規範を求め、以前から裁判官の出向を受け入れてきたようだ。
 今回は短期間に自己名義で株取引を繰り返し、利益を得た疑いがある。事実なら「魔が差した」では済まない。国民の疑念に応えるため、最高裁は過去の出向者も調べる必要があろう。
 
 一方の東証社員は自ら株売買していないが、金融商品取引法は「取引推奨」も禁じている。
 
 東証は2年前に企業統治などを厳格審査したプライム市場を導入し透明性確保を進める。親会社の日本取引所グループも企業や投資家に不正防止を求めてきた。身内への教育が不徹底では説得力を持たないだろう。
 
 そもそもインサイダー対策は当事者企業内部や関係者の情報漏えいを主眼に置いてきた。
 
 出向裁判官のいた金融庁の部署では担当以外のTOB予定企業一覧表も共有していたという。取り締まる側の不正も念頭にした対策が急務となる。
 
 政府は「資産運用立国」を掲げ国民に投資を促している。1月には投資枠を拡充した新たな少額投資非課税制度(NISA)を開始し、関心は高まる。
 
 その陰で公的部署での不正が横行しては不安と不信は増す。システム面の防止策だけでなく、投機をあおる風潮の中で若い担当者の職業倫理がマヒしていないかの検証も求めたい。
 
 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月06日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【社説・11.02】:不正な株取引 目を覆う職業倫理の欠如

2024-11-02 06:00:20 | 【金融・金融庁・日銀・株式・為替・投資・投機・FRB・「ドル円」・マーケット】

【社説・11.02】:不正な株取引 目を覆う職業倫理の欠如

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.02】:不正な株取引 目を覆う職業倫理の欠如 

 金融庁に出向中の裁判官と東京証券取引所の社員が、金融商品取引法違反(インサイダー取引)容疑で証券取引等監視委員会の強制調査を受けたことが明らかになった。

 金融庁は金融行政を担い、東証は公平で信頼できる市場を提供するのが使命である。そこに勤務する職員が不正な株取引をしていたとすれば言語道断だ。

 事実なら職業倫理の欠如は甚だしい。事実関係を踏まえ厳正に対処し、再発防止策を講じなくてはならない。

 インサイダー取引の疑いがある裁判官は4月から金融庁に出向している。間もなく業務を通じて知った未公表情報を基に株取引を始め、監視委が調査を始める8月ごろまで自己名義で取引を繰り返し、利益を得たとみられる。

 企画市場局企業開示課の課長補佐として、株式公開買い付け(TΟB)を予定する企業が提出した書類の審査などを担当していた。

 TOBは市場の実勢価格より高い値で一定の株を買い集める仕組みだ。公表後は対象企業の株価が上がりやすい。厳格な情報管理が求められるのは当然である。

 司法試験に合格し、犯罪者を裁く立場にある裁判官が不正を疑われる行為に及ぶこと自体、理解に苦しむ。

 東証の社員は、上場企業が公表する「適時開示」を担当する部署に所属していた。TOBを含め、業務で知った情報を親族に複数回漏らした疑いが持たれている。

 親族はその情報を基にした株取引で利益を得たという。本人が取引していなくても、未公表情報を親族に漏らすのは極めて軽率な行為と言わざるを得ない。

 TOBや企業の合併・買収(M&A)などの未公表情報を基にした株取引は、市場の公正性を損ね、一般投資家の信頼を失う。強制調査を受けた2人は立場上、インサイダー取引が許されないことは分かっていたはずだ。

 取引に不正がないように市場を管理、監督するのが金融庁や東証である。

 金融庁は職員に対して、職務上関係する企業の株取引を原則として禁じている。東証を傘下に持つ日本取引所グループ(JPX)も社員の株取引を原則禁止としているが、家族や親族の取引には規制がない。

 現在のルールを検証し、疑惑を繰り返さないようにすべきだ。改めて関係職員、社員に職業倫理を徹底してもらいたい。

 JPXの対応には問題がある。監視委の強制調査を受けて、9月下旬に独立社外取締役による調査検証委員会を設置しながら、10月下旬に疑惑が報じられるまで公表しなかった。適時情報開示の姿勢に欠ける。

 1月に新たな少額投資非課税制度(NISA)がスタートした。「貯蓄から投資へ」を促す政府として投資家の信頼回復に努める必要がある。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月02日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・10.18】:日本郵便の不正 信頼損ねる顧客情報の流用

2024-10-20 05:01:35 | 【金融・金融庁・日銀・株式・為替・投資・投機・FRB・「ドル円」・マーケット】

【社説①・10.18】:日本郵便の不正 信頼損ねる顧客情報の流用

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・10.18】:日本郵便の不正 信頼損ねる顧客情報の流用

 全国の郵便局で長年、法令に違反する顧客情報の流用が続いていた。国民に親しまれる地域の拠点であるだけに、法令順守の意識を組織全体に徹底させねばならない。 

 日本郵政グループの日本郵便は、全国の郵便局がゆうちょ銀行の顧客情報を不正に流用し、保険商品を営業するためのリストを作成していたと発表した。2014年2月以降で、少なくとも155万人分に上るという。

 郵便局は、ゆうちょ銀とかんぽ生命保険の金融2社から商品の販売などの窓口業務を委託され、手数料を得ている。2社の顧客情報を把握できる立場だ。

 それを利用して作成したリストを基に、一部の郵便局では、景品をプレゼントするイベントなどにゆうちょ銀の顧客を誘い出し、保険の勧誘をしていたという。

 保険業法は、顧客の口座残高といった金融情報を保険の勧誘に使う場合には、事前に顧客から同意を得るよう定めている。今回はそうした手続きを経ておらず、法令違反は明白だ。見過ごしていた経営陣の責任は重い。

 日本郵政グループは、07年の民営化前までは、郵便と貯金、簡易保険という三つの事業を一体で運営していた。顧客情報の利用は慣例になっていたという。

 民営化に伴い、各事業が分社化されたため、同じグループに属しているとはいえ、顧客の同意を事前に得ることが法律上、必要になった。だが、現場では、顧客が来局した後に同意を得れば、問題ないと認識し続けていたという。

 保険業界では顧客情報の無断流用などが相次ぎ、金融庁が調査に入っている。日本郵政グループも民営化された以上、他の民間企業と公平に競争していくためにも、保険業法を守る必要がある。

 今回の問題を受け、日本郵便はシステムを改修し、ゆうちょ銀の顧客情報を検索できないようにする。当面、来客を促す保険や貯金の営業活動も自粛するという。

 日本郵便は郵便事業が2年連続の営業赤字となり、10月から郵便料金を値上げして収益の改善を図ったばかりだ。不正は収益の圧迫要因になり、そのツケは重い。

 日本郵政グループは19年にも、かんぽ生命と日本郵便が一緒になって、高齢者への強引な勧誘など不適切な販売を行っていたことが社会問題化し、苦境に陥った。

 全国に約2万4000ある郵便局は、生活を支えるインフラだ。国民の信頼が大きな財産であることを肝に銘じてほしい。

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年10月18日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②・09.24》:米4年半ぶりの利下げ 政策転換の影響に注視を

2024-09-24 02:03:40 | 【金融・金融庁・日銀・株式・為替・投資・投機・FRB・「ドル円」・マーケット】

《社説②・09.24》:米4年半ぶりの利下げ 政策転換の影響に注視を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・09.24》:米4年半ぶりの利下げ 政策転換の影響に注視を 

 景気後退を回避しつつ、インフレの再燃も防げるか。米経済が正念場を迎えている。

 米連邦準備制度理事会(FRB)が約4年半ぶりの利下げに踏み切った。政策金利を通常の2倍に当たる0・5%引き下げ、年4・75~5・0%にすると決めた。金融政策の軸足を従来のインフレ抑制から景気下支えに転換するものである。

 

 これまで米経済の最大の課題はインフレをいかに抑えるかだった。新型コロナウイルス禍からの経済活動の回復やウクライナ危機に伴う資源高を背景に、2021年春以降、物価高が加速した。消費者物価上昇率は一時、9%台まで跳ね上がった。

 これを受け、FRBは22年3月から11回の利上げを実施し、政策金利を01年以来の高水準に引き上げた。この金融引き締めの効果で、今年8月の消費者物価上昇率は2・5%まで低下し、FRBが目標とする2%に近づいている。

 一方で、今春以降、失業率は上昇傾向を示し、市場では景気後退懸念が台頭していた。

 FRBには「物価の安定」に加え、「雇用の最大化」という使命も課されている。金融緩和への転換で景気を下支えし、雇用環境を改善することを目指している。

 パウエルFRB議長は大幅利下げの理由について「『失業率の上昇なしに物価を安定させる』という強い決意の表れだ」と説明した。年内に計0・5%の追加利下げを行う見通しを示している。

 ただ、今後のかじ取りは容易ではない。

 インフレ再燃の芽はなお残っている。11月に選ばれる新大統領が財政拡張路線を取れば、物価上昇圧力が高まり、利下げ停止を余儀なくされる恐れがある。

 逆に利下げペースが遅すぎて、雇用が悪化すれば、景気後退リスクを高めかねない。経済や物価の情勢を的確に見極め、臨機応変に対応することが求められる。

 米金融政策の動向は、世界経済や国際金融市場にも大きな影響を及ぼす。異次元緩和の手じまいを進める日銀は、FRBとは逆方向の利上げ局面にある。日米金利差の縮小に伴う急激な円高・ドル安など市場の変動に注意を払わなければならない。

 元稿:毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム【社説】  2024年09月24日  02:03:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【金融】:経済アナリストの森永康平氏「円安を止めるために『金利を上げるべき』と主張する人がいるのは問題」

2024-05-28 07:31:50 | 【金融・金融庁・日銀・株式・為替・投資・投機・FRB・「ドル円」・マーケット】

【金融】:経済アナリストの森永康平氏「円安を止めるために『金利を上げるべき』と主張する人がいるのは問題」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金融】:経済アナリストの森永康平氏「円安を止めるために『金利を上げるべき』と主張する人がいるのは問題」

 円安・物価高のいま、今後の生活への影響は気になります。登録者数21万人超の投資YouTubeチャンネル「Trade Labo」にて主宰の児玉一希氏が、日米の金利差、金融政策による為替や市場動向、そして日本経済の見通しについて経済アナリストの森永康平氏に聞いています。今回は動画からピックアップしてお届けします。

<picture>円安でどうなる?(C)日刊ゲンダイ</picture>

  円安でどうなる?(C)日刊ゲンダイ

■政府・日銀の金融政策の変更、金利引き上げでどうなる

 ――日銀マイナス金利解除によって銀行株がかなり上昇しましたが、決算が出そろったなかでどのような印象ですか。

 森永さん(以下、すべて同) 株式市場は先を読んで材料をどんどん織り込んでいきます。世界的なインフレを受けて日銀も金融政策を変更するのではないかと予想され始めた2022年末頃から銀行株がじわじわと上がり、三菱UFJ銀行の株価は2倍程度になりました。しかし、実際に政策が変更された後は既に織り込まれすぎて逆に上がらず、5月の決算が良かったのになぜか株価は下がったということが起きました。株の世界でいう『噂で買って事実で売れ』という格言通りのことが実際に起きたという印象ですね。

 ――今後さらに政府・日銀は金利を上げていくという観測もあるようですが。

 植田総裁の過去の著作物を読んだ私の勝手な意見を述べますと、学者だからか教科書に載ってないことは、あまり好きじゃないのではと思いました。というのは、景気低迷による金融緩和策は教科書どおりですが、黒田前総裁の“異次元の金融緩和”は問題であると内心では思っていたんじゃないかと感じます。

  だから植田さんが総裁に就任した後、少しずつ自分の色を出しはじめ、イールドカーブコントロールの修正、つまり長期金の上限を少しずつ引き上げていった。そして今年の3月に「異次元」と言われていた部分を全て無くしたのです。マイナス金利政策の解除、イールドカーブコントロールの撤廃、ETFやリートの買い入れも終了。物価上昇率が目標値を超えても金融緩和の継続を公約するというオーバーシュート型のコミットメントを廃止、国債についても買い入れ額を減額しました。

 ――植田総裁は異次元だった金融政策を正常に戻していくということですよね。

 そうですね。でも私はそれが正しいとはあまり思っていないんです。なぜならば最新のGDP(2024年5月16日)の内訳を見ると、日本の民間需要は4四半期連続でマイナスです。個人の消費、住宅への投資は軒並みマイナス。日本のGDPは消費の割合が5割強ですから、どう見ても日本経済は良い状態にない。このレベルで消費が弱いのはリーマンショック以来のことです。

 リーマンショックのような国際的な金融危機により消費が弱くなるのはわかりますが、現在は違いますよね。コロナも落ち着いています。そんな中にいても依然として消費が弱い。これは非常に良くないです。そんな中で金利の引き上げを行うと、日本の住宅ローン利用者の約75%は、変動金利を選択しているので、消費が弱いのに返済額が増えたらさらに消費が冷えこんでしまう。

<picture>物価高に苦しむ国民…(C)日刊ゲンダイ</picture>
物価高に苦しむ国民…(C)日刊ゲンダイ

 ◆金融政策によっては、消費の冷え込みを加速させデフレへ逆戻りもある?

 ――今後、さらに金利が上がるとすると、円安が止まると予測できます。そのタイミングとその後の見通しについては?

 円安がいつ止まるのか、いま明確に言えるのは、アメリカが利下げを始めたタイミングです。この間日銀の介入があったとされる1ドル=160円辺りを抜けるか、抜けないかと動いているうちに利下げが始まって、円高に転換していくというのが現在の私の予想ですね。

 問題なのは、国会議員や評論家のなかには円安を止めるために「金利を上げるべき」と主張する人がいることです。

 どういうことかというと、まず国民が苦しんでいるのは物価高であり、その原因は円安の影響で、海外から輸入する原油、エネルギーや食糧が高騰してインフレ状態にあるから。円安の原因は、日米の金利差にある。現状ドルを買って円を売れば金利差の分だけ儲かるわけですから円安は止められませんよね。だから日本の金利を上げて円安を止めようと言っているんです。しかし金利を上げて、たかだか1ドル=130円になったとしても、先ほど言ったように消費が悪くなるだけなんですよ。

 確かに円安による物価高はあります。世界のインフレ率と重ねてみるとわかりますが、インフレになるタイミングが半年ほど遅れているんです。アメリカのインフレ率が3.4%まで落ちてきていますので、日本も遅れて2%を下回るくらいまで物価は下がると思います。そこに円高への転換が重なればなお物価上昇は鈍化するでしょう。

  世論でいうと「円安憎し」で、円安を放置している日銀が悪い。欧米の利上げにならって日本も上げるべきだという見方が強い。私はこの流れが非常に怖いし、この論調に押されて植田総裁が利上げをバシバシやるようなことになると、日本のマクロ経済はかなり厳しいものになりデフレに戻る可能性もまだまだ残されていると私は考えているのです。

 ■現状、物価の上昇に賃金が追いつかない状況で政府の対応がキーとなる

 ――仮に金利が上がるとすれば、その分所得が増えれば相殺されるようにも思います。

 私は実質賃金がプラスになるためには強烈な賃上げが必要だと思っています。今年の春闘が終わった結果を見ると、確かに大企業で5%以上、中小企業で4%以上賃上げが行われたと報じられています。この30年間で一番大きな上昇幅です。ところがこの調査対象の企業というのは、一部の大企業と中小企業だけなんです。多くの中小企業は、コストの上昇を適切に価格転嫁できないし、人手不足もありますから賃上げする原資がない。報道されているほど賃金は上がっていません。

 では国と政府が所得をあげるために何ができるかというと、例えば社会保険料を下げる、消費税を減税する、はたまた現金給付をすることが挙げられますが、実際にはどうでしょう。岸田政権は正反対のことをやろうとしています。

 少子化対策の財源として「こども・子育て支援金制度」の導入が決定しました。 5月に電気代・ガス代の補助が打ち切り予定です。再生可能エネルギーの賦課金引き上げが決定です

 岸田政権が所得減税をやるといっても、ワンショット(一度きり)でたかだか4万円くらいですよ。エネルギーの補助金を打ち切られて、ガソリン代が上がって、毎月の電気代の請求に賦課金の値上がった分が重なってくると、4万円なんてすぐ消えます。

 いま政府に求められているのは、しっかりと国民を支援していくことで、日銀は拙速な利上げはしないということだと思います。しかし植田総裁はじめ日銀の内部の審議員も利上げモードですし、岸田政権も国民負担増の政策がかなり多い。そう考えると日本のマクロ経済自体は非常に政策リスクが高いでしょう。

<picture>児玉一希氏(左)と森永康平氏(右)(C)日刊ゲンダイ</picture>
児玉一希氏(左)と森永康平氏(右)(C)日刊ゲンダイ

 ◆日本経済の行方がもたらすマーケットへの影響は…

  ――追加利上げとなると株式はじめマーケットにもあまり良い影響はないということでしょうか。

 やはり良くないですよね。ただ投資家の目線と一般人の経済目線というのは、分離して考えたほうがいいように思います。というのも今年3月に私の事をメディアで見ている方から、最近の株価はおかしい、日経平均が4万円を超えても私たちの生活は一向に良くならないとクレームが寄せられたんです。株価と実体経済が乖離しているのはおかしいというのです。そもそも日経平均というのは上積みの企業の業績に対する期待値ですよね。日本には数百万という企業があって、そのうちの3800社が上場していて、さらにその上積みの225社の業績に対して投資家が市場でつけた株価が日経平均です。

 なぜクレームがあるのか。彼らから見た実体経済とは、例えば商店街がシャッター街になっちゃったとか、タクシーの運転手さんが暇そうだとか、街中の様子のことで、株価と乖離しているといっても比べているものが全然違います。そこを混合している人が多い。

 もっというと日経平均採用銘柄は、海外売上高比率が高い企業がたくさんある。仮に日本経済が悪化しても、海外で稼いでおけば会社全体としては増収増益ということは普通に起こり得ることです。そう考えると、日本経済と株価の判断については分けて考えた方がいいと思います。

 もし前述したように金融の政策リスクが顕在化してしまったら、日本経済は悪化すると私は断言しますが、だから株価も暴落するというようなシナリオには簡単には繋がらないということです。

 ■アメリカの景気動向と利上げの見通しについて

 ――アメリカの 4月の消費者物価指数は前年比3.4%の上昇でした。アメリカの経済状況、金融政策によってはグローバル企業にとっても影響はありそうですか。

 アメリカは1年間という短期間で金利を5%に上げたわけですから、経済は徐々に弱くなり、米国の中央銀行にあたるFRBがタイミングをみて利下げを行い、結果的に日米金利差が縮小して円安は止まるだろうと私はシンプルに考えていたんです。

 想像以上にアメリカの経済が強く、グローバルで稼いでいる日本企業はその恩恵を受けてかなり業績が上がった。しかし経済データを見る限り、いよいよアメリカの景気にも少し陰りが差してきたようです。

 その理由の一つは、アメリカの「強制貯蓄」がなくなってきたということです。コロナ禍対策で給付金のばら撒きをやりましたが、ロックダウンで使い道がなく、アメリカ国民は強制的に貯蓄が貯まったんです。だからインフレ率が一時は約9%まで上がりましたが、物価高でも強い消費を維持することができたのです。

 現在のアメリカのインフレ率は3%程度ですが、強制貯蓄がなくなったいま、消費がどこまで耐えられるのか。最近の経済指標を見ると徐々に悪化し始めて、FRBの利下げは年内1回という予想から、9月と12月の年2回に増えています。

 以上のことからも日本の株価に関して言えば、日銀の政策以上に米国の経済動向の方が影響は大きいといえます。

 ■経済指標を踏まえたうえで実体経済を知る重要さ

 ――先日アメリカのロサンゼルスへ行きましたが、人気野球チームドジャースのスタジアムのすぐ近くにはホームレス街が多数あり、中心街もかなりシャッターが閉まっていました。数字が示すほど景気の良さは感じませんでした。

 経済指標って万全ではないんですよね。私はアナリストであるという立場を活用して、投資で悩んでいる企業の社長やCFOとの面談に伺ったり、工場見学に行くこともありました。現場を知らないとわからないことが多い。足を使ってリアルな情報を稼ぐことは大事だと思いますね。児玉さんのような投資家の皆さんは業績の分析についてはベテランだと思いますので、さらに一歩先へいくならば、足を使った調査をやってみると意外とリターンの源泉を見つけることもあるかもしれません。

 ■個別銘柄の選び方は有名投資家も素人も同じ。やはり自分の好きなことに投資をするのは基本

 ――森永さんオススメの個人にもできる、経済の実体を掴む方法や銘柄選びについて教えていただけますか。

 現場を見ることが重要という意味からも、やっぱり好きなものを投資対象にするのが良いです。ディズニーランドが大好きな投資家の友達はディズニーランドやディズニーシーに何度も行きますから視点が鋭い。レストランのメニューの変化やパレードの微妙な質の変化にも気づくんですよ。決算書だけを読んでいてもそこまではわからないですよね。

 昔から、ウォーレン・バフェットや有名な投資家たちも、自分の知らないものに投資するのは非常に危険であると言っています。AIブームで半導体が注目されていますが「そもそも半導体ってなんだっけ」「東京エレクトロンとNVIDIAは同じことやっているんですか?」と聞かれると意外と答えられないことが多い。これは投資の原則に基づくと危ないですよ。知らない銘柄に投資する時は、そのリスクを踏まえるべきです。インフルエンサーがすすめていたから買うのは投資ではなく、投機に近いですよね。 (聞き手=児玉一希/投資家)

 ※「Trade Labo」でも動画で詳しく解説しています。

 後編はアメリカ大統領選を前に森永康平さんの考えるトランプ再選後の世界とマーケットへの影響について取り上げます。

 ▽森永康平(株式会社マネネCEO/経済アナリスト) 証券会社や運用会社にてアナリスト、ストラテジストとして日本の中小型株式や新興国経済のリサーチ業務に従事。さらにインドネシア、台湾などアジア各国にて新規事業の立ち上げや法人設立を経験し、事業責任者やCEOを歴任。2018年6月には、金融教育ベンチャーのマネネを創業。現在は国内外のベンチャー企業の経営にも参画。 著書は『スタグフレーションの時代』(宝島社新書)や父・森永卓郎氏との共著『親子ゼニ問答』(角川新書)など多数。YouTubeチャンネルは「森永康平のリアル経済学」「森永康平のビズアップチャンネル」。

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【為替】:円安歯止めは「年単位の時間」と専門家が悲観観測…1ドル=110~120円台は遥か遠い道のり

2024-05-24 07:32:40 | 【金融・金融庁・日銀・株式・為替・投資・投機・FRB・「ドル円」・マーケット】

【為替】:円安歯止めは「年単位の時間」と専門家が悲観観測…1ドル=110~120円台は遥か遠い道のり

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【為替】:円安歯止めは「年単位の時間」と専門家が悲観観測…1ドル=110~120円台は遥か遠い道のり

 歯止めがかからない歴史的な円安水準に、個人も企業も疲弊するばかりだ。毎日新聞の最新の世論調査(18~19日実施)によると、円安が自身の暮らし向きにとって「マイナス面が大きい」との回答が8割に上ったという。悲しいかな、為替の影響が暗い影を落とす状況はしばらく続きそうだ。

<picture>とりあえず注視(日銀の植田和男総裁=代表撮影)</picture>

    とりあえず注視(日銀の植田和男総裁=代表撮影)

 足元の円相場は1ドル=154~156円台で推移。政府・日銀による覆面介入の効果なのか、先月29日に一時1ドル=160円に達して以降、150円台半ばをウロウロしている。

 円安のおかげで輸出企業はウハウハだろうが、帝国データバンク(TDB)が17日に公表した〈円安に関する企業の影響アンケート〉によれば、対象企業(有効回答1046社)の実に63.9%が円安進行について「利益にマイナス」と回答。自社にとって適正な為替レートの水準は「1ドル=110~120円台」が50.1%を占めた。足元の円安水準が多くの企業を悩ませ、いかに行き過ぎているかがよく分かる。

 ■円安・コスト高による倒産増の恐れ

 ただ、1ドル=110~120円台までは遠い道のりだ。経済評論家の斎藤満氏がこう言う。

 「現状は企業が望ましいレートより30~40円の開きがあり、円のドルに対する購買力平価を1ドル=100円程度と考えれば、50円も差があります。ギャップが大きすぎて、急な修正は不可能です。ひとまず140円台に軟着陸させ、130円台、120円台と少しずつ軌道修正していくほかありません。足元の異常な円安を招いたのは、10年に及ぶ金融緩和、そして5%の開きがある日米の金利差です。日銀は大幅な利上げはできないのだから、早めに動いて少しずつでも金利の修正を図るべきです。日銀が利上げし、アメリカが利下げしてようやく金利差は4%を切るかどうか。日銀は一気に利上げする気はないから、円安に歯止めがかかるのは年単位の時間が必要でしょう。しばらくは企業にとっても、日々の暮らしにとっても大変な状況が続くと思います」

 日本は中小企業・小規模事業者が99%を占める。TDBの調査では、円安が売上高と利益の両方に「マイナス影響」と答えた企業が中小企業は32.9%、うち小規模事業者は34.3%に上った。

 「円安進行で恩恵を受けるのは、外貨資産を大量に保有する企業や輸出大企業ぐらい。今の状況が続くと、円安・コスト高による倒産が増えていく恐れがあります」(斎藤満氏)

 円安を放置し続ける政府・日銀がいかに罪深いことか。 

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 元稿:日刊ゲンダイ DIGITAL 主要ニュース マネー 【トピックスニュース・金融・日銀・為替】  2024年05月21日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【2024年は世界の底が抜ける年になる予感】:②2024年は「異次元緩和」終焉の年に…相場は波乱含み、金利上昇なら株価下落も

2024-05-17 23:51:00 | 【金融・金融庁・日銀・株式・為替・投資・投機・FRB・「ドル円」・マーケット】

【2024年は世界の底が抜ける年になる予感】:②2024年は「異次元緩和」終焉の年に…相場は波乱含み、金利上昇なら株価下落も

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【2024年は世界の底が抜ける年になる予感】:②2024年は「異次元緩和」終焉の年に…相場は波乱含み、金利上昇なら株価下落も

 2024年は、長く続いた「低金利政策」に終止符が打たれる年になりそうだ。早くも市場では、24年4月に「マイナス金利」(短期金利)が解除されると予想されている。ようやく日本経済は「金利」のある世界に戻ることになる。庶民に恩恵のなかったアベノミクスが終わり、金利が復活したら、国民生活はどうなるのか。

<picture>日銀の植田和男総裁(C)共同通信社</picture>
日銀の植田和男総裁(C)共同通信社

 日本の株式市場は、異次元の金融緩和に支えられてきただけに、金利が上昇したら株価は下落しておかしくない。金利が上昇すれば「円高」が進む。これも株価を下げる要因となる。

  経済評論家の斎藤満氏はこう言う。

 ■“期待で買って、事実で売る”のが鉄則

 「24年1月から新NISAがスタートし、兜町関係者は“エキサイティングイヤーになる”と期待しています。岸田政権も個人金融資産2000兆円を株式市場に誘導しようとしている。しかし、迂闊に株式投資に突っ込むとヤケドする恐れがあります。株式投資は、“期待で買って、事実で売る”のが鉄則です。新NISAが話題になる年初は株価は上がっても、すぐに下落に転じても不思議はありません。リスクのある株式投資だけでなく、金利のある世界に戻るのだから、国債など元本保証のある安全な投資先も選択肢のひとつと考えるべきでしょう」

 金利上昇によって打撃を受けるのが、住宅ローンを返済している世帯だ。7割は「金利変動型」を利用している。「変動型」は短期金利に連動する。住宅ローンの多くは、金利が上昇してもすぐに返済額が増えないように、5年間は増額を据え置き、かつ1.25倍までしか支払額を増やさない緩和措置が設けられているが、金利が上がれば最終的に支払総額が増えることは間違いない。

 「この先、住宅ローンの金利は、上がっていくと考えた方がいいでしょう。余裕のある人は、少しでも前倒し返済するべきです。それがなによりの財テクになります」(斎藤満氏) 

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース マネー 【トピックスニュース】  2024年01月01日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【人生100年時代の歩き方】:“為替介入”には限界がある…「超円安時代」の賢い資産防衛術

2024-05-12 07:34:40 | 【金融・金融庁・日銀・株式・為替・投資・投機・FRB・「ドル円」・マーケット】

【人生100年時代の歩き方】:“為替介入”には限界がある…「超円安時代」の賢い資産防衛術

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【人生100年時代の歩き方】:“為替介入”には限界がある…「超円安時代」の賢い資産防衛術

  円安はどうなる? 新NISA(少額投資非課税制度)を始めたばかりの投資初心者は気が気じゃない。はやりの投資信託「オルカン」(オールカントリー=世界の株式に投資)や米国株への投資をスタートさせたのはいいけど想定外の円安が直撃。この先、どんな資産運用をすればいいか不安はつきない。円安時の賢い資産防衛術とは──。

<picture>円安は止まらず…(C)日刊ゲンダイ</picture>

     円安は止まらず…(C)日刊ゲンダイ

                   ◇  ◇  ◇

 昨春に新社会人となった女性は入社とほぼ同時に、iDeCo(個人型確定拠出年金)を始めたという。

 「毎月、米国株を中心とする積み立てタイプの投信をやっています。昨春は1ドル=130円台でしたが、いつの間にか150円を超えています。毎月、1万円程度の投資とはいえ、円安の影響で購入できる量(口数)が減っているようです。詳しいことは分かりませんが、このまま投資を続けていいのか不安になります」

 EV(電気自動車)業界の先頭を走る米テスラ。近頃、その勢いは衰え気味とはいえ、株価は180ドル程度だ。1ドル=130円だったら、「180ドル×130円」で2万3400円で株が買える(手数料などは考慮せず)。円安進行で1ドル=150円になると、「180ドル×150円」で2万7000円。130円時代に比べ、3600円を余分に支払わないと株は買えない。

 毎月1万円の積み立てで考えると、1ドル=130円だと「1万円÷130円」で約76.9ドル分、150円になると「1万円÷150円」で約66.7ドルと、随分と“目減り”してしまう。

 ■輸出企業の株を購入

 円安が不利なのは明らかだが、これはあくまで外貨(ドル)が絡む場合。為替の影響を受けにくい円資産への投資だったら話は変わってくる。

 「円安メリットを忘れてはダメです。輸出企業を中心に業績は拡大します。円安局面は輸出企業の株式購入がオススメ。業績アップで株価上昇が期待できます」(IMSアセットマネジメント代表の清水秀和氏)

 株式市場はちょっと荒れ模様で、手を出しにくい状況だが、「輸出関連」に絞った投資なら痛い目に遭う確率は下がりそうだ。

 とはいえ、輸出企業はたくさんある。もう少し範囲を狭くできないものか。

 「かつては自動車や電機が輸出企業の代表格でした。いまは半導体関連や機械なども期待大です。半導体関連には株価が低迷している企業が多く、これから再上昇の流れが起きる可能性は高いでしょう」(清水秀和氏)

 半導体検査装置で世界大手のアドバンテスト、半導体製造装置大手のSCREENホールディングス、半導体や電子部品の切断・研削・研磨装置で世界トップのディスコなど、半導体関連は円安時代にもってこいの銘柄だ。

<picture>半導体関連は狙い目(C)ロイター</picture>

 半導体関連は狙い目(C)ロイター

 ◆ドル建てMMFの利回りは4.5%以上

  ドル建てMMF(マネー・マーケット・ファンド)が円安時の資産防衛にピッタリというのは第一生命経済研究所首席エコノミストの熊野英生氏だ。

 「円安に負けない資産づくりを目指すなら、ドル資産の保有は大切です。ドル建てMMFは少額でも購入可能。資産の一部を振り向けておくといいでしょう」

 MMFは株式ではなく、主に債券(国債や社債など)で運用されるので安全性は比較的高い。しかもドル建てだと、利回りは4.5%以上ある。某ネット証券のサイトを見ると、米ドルで10ドルから、日本円だと5000円から購入可能となっている。

 ドル資産を持っていれば円安も怖くない。海外から日本にやってくる旅行者のように円安メリットを享受できる。

 ただ、現在は1ドル=150円台の円安だ。このタイミングでドル資産を買うのは勇気が必要かも……。

 「市場には1ドル=170円説も流れました。政府・日銀による為替介入の観測後は下火になっていますが、いつ再燃するか分かりません。そうなると、はたして150円台は円安なのか? との疑問も湧いてきます。数カ月後、数年後に150円台は十分に円高だったと振り返る可能性はゼロではありません」(市場関係者)

<picture>円安に負けない資産づくりは…(C)日刊ゲンダイ</picture>

 円安に負けない資産づくりは…(C)日刊ゲンダイ

 ◆円高は1ドル=140円まで

 為替介入には限界がある。介入の原資となる外貨準備高は約200兆円だが、即座に対応できる現預金などは約45兆円。ここが当面の限度額だから、そう何度も介入できない。

 タイミングを誤れば、投機筋の餌食となり、円高反転どころか円安に歯止めが効かなくなる。

 「円高はどこで止まるか。140円あたりが限界だと思っています。ドル資産を保有するなら、そのあたりが狙い目でしょう。1ドル=100円時代など、もう来ないと思ったほうがいい」(清水秀和氏)

  IMFの購買力平価(モノやサービスの値段を基準にした為替レート)は1ドル=90.82円(2024年4月時点)。実際の為替レートとの乖離はすさまじいだけに、いまは“行き過ぎた円安”と判断する金融関係者は多い。

 「為替に敏感な輸出企業の想定為替レートを参考にすべきでしょう。円安がどこまで戻るかの目安になります」(清水秀和氏)

 トヨタ自動車は1ドル=143円(24年3月期第3四半期の発表時、2月
6日)、アドバンテストは140円想定(25年3月期)、ディスコは145円(25年3月期4~6月)となっている。

 MMFだけでなく、外貨預金、米国株式、投信などドル資産の購入を考えるなら、1ドル=140~145円で手を打ったほうが得策かもしれない。

<picture>円の実力が低下したのがそもそもの原因…(C)ロイター</picture>

 円の実力が低下したのがそもそもの原因…(C)ロイター

 ◆日米金利差に惑わされるな

 「円の実力が低下しているのが、そもそもの円安の要因です。そのことを頭に入れておいたほうがいい」(熊野英生氏)

 どういうことか。為替レートは需給バランスで決まるが、その要因はさまざまだ。現在の円ドル相場を動かす最大要因は「日米金利差」だと指摘されている。米国の金利は高く、日本はほぼゼロ金利のまま。ドルで運用したほうが資産は増える。

 「ただ、金利差だけに目を奪われると為替動向が見えにくくなります。日本は2011年の東日本大震災以降、数年を除き貿易赤字です。これが為替相場に影響を与えているのです」(熊野英生氏)

 11年以前の日本は貿易黒字だった。この場合、輸入より輸出のほうが多く、外貨を円に交換する需要が旺盛。円買いが大量に発生し、円高傾向となる。貿易赤字は逆だ。円は売り需要のほうが上回るから、円安に向かう。

 22年の貿易赤字は20兆円を超えた。23年も9兆円の赤字だった。

 「貿易赤字が続く限り、円安も続くでしょう。エネルギー政策などを転換しない限り、貿易黒字に戻すのは難しい状況です。世界的に脱炭素の流れが加速しているだけに、日本は厳しい立場に立たされています」(前出の市場関係者)

 円安の流れは止まらない。そう覚悟して資産防衛に動いたほうが賢明といえそうだ。

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【経済ニュースの核心】:「金」の歴史的高騰はまだまだ続く…中国筆頭に中央銀行が爆買いするワケ

2024-05-12 07:31:20 | 【金融・金融庁・日銀・株式・為替・投資・投機・FRB・「ドル円」・マーケット】

【経済ニュースの核心】:「金」の歴史的高騰はまだまだ続く…中国筆頭に中央銀行が爆買いするワケ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【経済ニュースの核心】:「金」の歴史的高騰はまだまだ続く…中国筆頭に中央銀行が爆買いするワケ

 「ゴールデンウイーク(GW)」なる毎年恒例のお祭り騒ぎは終わったが、本物の金(ゴールド)を巡る市場の熱狂はなお収まりそうにない。

 金相場の歴史的高騰が続いている。年初以来、国内外で連日のように史上最高値を更新し、足元では1トロイオンス(=31グラム強)2400ドル前後(ニューヨーク先物)の水準に。ここ1カ月余りの間にも150ドルほど切り上がった形になる。

<picture>バイデン米大統領と中国の習近平国家主席(C)ロイター</picture>

 バイデン米大統領と中国の習近平国家主席(C)ロイター

 ■「もしトラ」に備えている?

 市場関係者の間では「中長期的には4000ドルくらいまで上昇する」との観測も飛ぶほど。1グラム当たりに換算すると約2万円にもなる計算だ。

 粘着質な米国のインフレに、ウクライナや中東をはじめとするさまざまな地政学的リスク、さらには「もしトラ」の可能性など先行き不透明感の高まりを踏まえると「金」という実物資産に資金を移しておいた方が「安全かつ無難」といった投資家心理の発露か。

 ただ、今回の相場騰勢にはもう一つの要因がある。各国中央銀行による猛烈な「金買い」だ。なかでも積極的なのが中国人民銀行で、購入量から売却量を差し引いた、いわゆる「買い越し」は17カ月連続。金の国際調査機関「ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)」によると、今年3月末時点における人民銀の金保有高は7274万トロイオンスにまで膨らんだ。ドルベースにすると約1611億ドル分で、2月末に比べ8%強の伸びだ。

 22年のウクライナ侵略に伴い米国やEUなどはロシアに対して経済制裁をかけた。ロシア中銀が保有する外貨建て在外資産を凍結するとともに、ロシアを国際的なドル決済網から締め出した。米中対立が深刻化する中、こうした西側の動きに中国が神経をとがらせるのは当たり前だろう。

 いざとなれば米国は基軸通貨ドルの覇権にものをいわせて中国に対しても同様の措置に踏み切るのではないか--。そんな危機感に駆られてのことだろう。人民銀が金の“爆買い”へとかじを切ったのはここから。一方で売りまくったのが米国債で、人民銀の外貨準備に占めるドル建て資産の割合は「すでに大幅に低下した」(メガバンク筋)とされている。

 米中双方のデカップリング拡大・加速は、軍事的衝突へと発展しかねない危険な芽をはらむ。

著者のコラム一覧
 ■重道武司 経済ジャーナリスト

 1957年鳥取県倉吉市生まれ。84年フジサンケイグループ傘下の経済紙「日本工業新聞」(現フジサンケイビジネスアイ)の記者となり、千葉支局を振出しに鉄鋼、自動車、総合電機、財界、金融、エネルギー(電力・石油・ガス)などの業界を担当。2000年外資系通信社に転じた後、02年からフリーに。得意分野は通信社時代を含めて在籍足掛け7年にも及んだ日銀記者クラブ時代に人脈を培った金融。自動車業界にも強い。

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【経済ニュースの核心】:1ドル=170円説も台頭だが…チャート上ではそろそろ円安ピーク

2024-05-04 07:45:10 | 【金融・金融庁・日銀・株式・為替・投資・投機・FRB・「ドル円」・マーケット】

【経済ニュースの核心】:1ドル=170円説も台頭だが…チャート上ではそろそろ円安ピーク

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【経済ニュースの核心】:1ドル=170円説も台頭だが…チャート上ではそろそろ円安ピーク

 ドル高・円安が進み、4月29日には一時1ドル=160円台に乗せた。その後、154円台に急落。この4月に152円台に乗せた時から、日本の金融当局による為替介入への警戒感が強まっているが、介入に動いたのだろうか。

 日銀の金融政策決定会合(4月25、26日)を前にした外国為替市場で、円の弱気ポジションが過去最高水準に膨らんでいたことが米商品先物取引委員会(CFTC)のデータで判明。CFTCのデータによると、ヘッジファンドとアセットマネジャーによる円の売り越しは4月23日時点で18万4180枚と過去最高だった前週の水準を上回り、データがさかのぼれる2006年以降で最大だった。

<picture>為替介入は?(C)共同通信社</picture>

      為替介入は?(C)共同通信社

 自民党副総裁の麻生太郎元総理・前財務大臣が4月22日から訪米し、23日にトランプ前米大統領と会談。25日に帰国したが、水面下で米国の財務・為替担当者と接触し、日銀の為替介入への米国の意向などを探ったのかも知れない。

 米国の市場筋では、3月中旬以降、1ドル=160円どころか170円説も台頭していた。為替ディーラーなどプロが多用するドル円チャート(ローソク足)を見ると34年ぶりの円安に日足、週足は役に立たず、月足(月間の動き)が有効で1987年以降で見ると、ドル高・円安の周期は約8年から9年で1サイクルが完了している。今回は2015年6月の125円66銭が起点で、24年4月時点で107カ月目に入り、チャート上ではそろそろ円安のピークとも思える。

 なお、チャート上は90年4月の160円35銭が円安の節目、これを突破すると心理的節目165円となる。

 さて、生保大手8社の24年度運用計画を見ると25年3月末の日経平均株価は、3万3000円から4万3000円と予測が分かれ、期中の安値は3万円から3万9000円、高値は3万9000円から4万8000円とこれも見方が分かれていた。ドル円レートは25年3月末1ドル=130円から151円、期中の安値は143円から170円、高値は120円から145円とばらばらで、足元ですでに計画水準から外れた生保もある。

 ただ、各社の運用計画策定時は、イスラエル・イラン戦争などによる日経平均株価の3万7000円割れの急落前や1ドル=158円台の円安前であり、いま作成すれば違う内容、計画となろう。

 投資部門別売買状況統計によると、4月第3週(15~19日)の個人投資家の現物株買越額は9086億円と、23年3月に記録した7542億円を大きく上回り過去最大となった。海外投資家は現物株の売越額5925億円と昨年の9月以来の大きさで、先物も合わせた売越額は1兆1347億円。3月最終週に続いて今年2回目の1兆円超えとなっていた。

 日本はゴールデンウイーク中だが、欧米の金融市場は動いており、素人投資家は気楽になれないストレスフルなゴールデンウイークであろう。

中西文行
著者のコラム一覧
 ■中西文行 「ロータス投資研究所」代表

  法政大学卒業後、岡三証券入社。システム開発部などを経て、岡三経済研究所チャーチスト、企業アナリスト業務に従事。岡三インターナショナル出向。東京大学先端技術研究所社会人聴講生、インド政府ITプロジェクト委員。SMBCフレンド証券投資情報部長を経て13年に独立。現在は「ロータス投資研究所」代表。

  元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース マネー 【トピックスニュース・連載「経済ニュースの核心」】  2024年05月03日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【NYダウ】:終値450ドル高、雇用統計発表で利下げ先送り観測が後退

2024-05-04 07:03:00 | 【金融・金融庁・日銀・株式・為替・投資・投機・FRB・「ドル円」・マーケット】

【NYダウ】:終値450ドル高、雇用統計発表で利下げ先送り観測が後退

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【NYダウ】:終値450ドル高、雇用統計発表で利下げ先送り観測が後退

 【ニューヨーク=小林泰裕】3日のニューヨーク株式市場で、ダウ平均株価(30種)の終値は前日比450・02ドル高の3万8675・68ドルだった。値上がりは3営業日連続。

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                     ニューヨーク証券取引所

 3日に発表された米国の4月の雇用統計(季節調整済み)で、非農業部門の就業者数の伸びが3月から大きく減速した。米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ開始が先送りされるとの観測が後退し、米長期金利が低下した。IT大手アップルやマイクロソフトなどの銘柄が値上がりした。 

 IT企業の銘柄が多いナスダック総合指数の終値は315・37ポイント高の1万6156・33だった。米国の主要約500銘柄で構成するS&P500の終値は63・59ポイント高の5127・79だった。

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 元稿:讀賣新聞社 主要ニュース 経済 【金融・株式・為替】  2024年05月04日  07:03:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:進む円安 投機的な動きは容認できぬ

2024-05-03 05:01:20 | 【金融・金融庁・日銀・株式・為替・投資・投機・FRB・「ドル円」・マーケット】

【社説①】:進む円安 投機的な動きは容認できぬ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:進む円安 投機的な動きは容認できぬ

 円安が一段と進んで、日本経済を揺さぶっている。為替市場の過度な変動は悪影響が大きい。政府・日本銀行は、投機的な動きを容認しない強い姿勢を示すことが重要だ。 

 4月29日の外国為替市場で、円相場は乱高下した。午前中に、1990年4月以来、約34年ぶりとなる1ドル=160円台へと急落したが、午後に入ると、一転して、154円台にまで急騰した。

 為替介入の効果が高くなると判断された場合、介入の有無を即座に公表しない「覆面介入」の形が取られることがある。

 財務省の神田真人財務官は30日、「介入について申し上げることはない」と明言を避け続けたが、金融市場では、政府・日銀が、円買い・ドル売りの為替介入を行ったとの見方が広がっている。

 政府・日銀は、投機的な動きが強いと判断したならば、 毅然きぜん とした措置で対応してもらいたい。

 160円台は、今年初めに比べ20円近い円安・ドル高となる。相場の変動が大きすぎると、企業が事業計画を立てにくくなるなどマイナスの影響が懸念される。

 神田財務官は、「投機による激しい、異常とも言える変動が、国民経済にもたらす悪影響は看過しがたい」とも指摘した。

 行き過ぎた円安は、日本経済にとって弊害が多い。

 物価高に賃上げが追い付かず、実質賃金は、今年2月まで2年近くマイナスが続いてきた。

 今春闘では、33年ぶりとなる高い賃上げ回答が相次いだが、円安が、輸入価格の上昇による物価高を招けば、実質賃金のプラス転換は難しくなりかねない。消費が落ち込めば、経済の好循環の実現は遠のいてしまうだろう。

 円安・ドル高の主因は、日米の金利差が大きく、ドルでの資金運用が有利なことにある。

 日銀は先週、政策金利を0~0・1%程度に据え置いた。一方、米連邦準備制度理事会(FRB)は、今週、5・25~5・50%を維持するとみられ、円安圧力は続く見通しだ。政府・日銀は、市場動向に警戒を強める必要がある。

 日銀は、3月にマイナス金利政策の解除を決めたが、物価上昇率の基調が2%に至っていないとして、金融緩和を継続する方針を示した。その点を強調しすぎるあまり円安を助長してはいないか。

 円安は、物価の基調を押し上げる側面もある。日銀は、円安が経済や物価の動向に与える影響を丹念に分析して、今後の政策運営に生かしてほしい。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年05月01日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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