【安倍首相】:「何様か!」優雅にくつろぐ、炎上動画を見てみたら
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【安倍首相】:「何様か!」優雅にくつろぐ、炎上動画を見てみたら
シンガー・ソングライターの星野源さんが公開した弾き語り動画に合わせ、ソファでくつろぐ安倍晋三首相の動画に批判が殺到している。外出自粛の呼び掛けが動画の趣旨で、菅義偉官房長官は「三十五万を超える『いいね』をいただいた」と会見で強調したが、怒りのコメントはそれを上回る勢い。いったい何が人々の気持ちを逆なでしたのか。 (稲垣太郎)
星野源さん(左)の動画にあわせ、くつろぐ姿の動画を投稿した安倍晋三首相(首相官邸のインスタグラムより) |
◆愛犬抱いてお茶のみ…終始無言
動画は十二日午前、ツイッターやインスタグラムに投稿された。星野さんが公開した「うちで踊ろう」という歌を弾き語る動画に合わせたものだった。
画面を二分割し、星野さんの動画は左、安倍首相の動画は右。安倍首相の動画は自宅とみられる場所で撮影。約一分間で、安倍首相は終始無言のままソファに座って愛犬を抱き、お茶を飲み、読書をし、リモコン操作した。
星野さんは「誰か、この動画に楽器の伴奏やコーラスやダンスを重ねてくれないかな」と書き込んでいたが、最後まで見ても安倍首相は特に歌に合わせた動きをしていなかった。
文字では「友達と会えない。飲み会もできない。ただ、皆さんのこうした行動によって、多くの命が確実に救われています」「医療従事者の皆さんの負担の軽減につながります」とあった。
◆「市民の境遇が分かっていない」
貧困対策に取り組むNPO法人「ほっとプラス」の藤田孝典理事は、「労働者の四割と言われる非正規労働者の人たちは、貯金する余裕もない。それなのに新型コロナウイルスの感染拡大で仕事が減った。家賃などの支払いが集中した三月末の相談が非常に多かった」と安倍首相の動画に怒りを隠せない。
藤田さんは「非正規の人たちは、外出自粛を呼び掛けられても、生活のために働きに出ざるを得ない。そうでなければ、補償もないのに自宅待機を命じられ、不安な日々を送っている」と語る。
そんな立場からすれば、動画での安倍首相の姿は気に障る。「優雅にくつろぐのは市民感情にそぐわない。市民が置かれた境遇を本当に分かっていない」
◆「仕事する姿アピールを」
俳優や漫談家、ユーチューバーとして活動するマルチタレントの高土新太郎さん(75)も「ソファにふんぞり返って言葉も発せず、何様かという感じしか与えない。日常を撮っただけで腹が立った」と批判する。
高土さんは、危機対応に取り組む姿を見せた方が良かったと助言する。「この非常時に、優雅にくつろいでどうする? 誰かに乗せられて撮ったのでは、と勘ぐりたくなるほど、何を伝えたいのか分からない。シビアに今の状況を語ったり、パソコンを前に仕事をしていたりする姿をアピールするべきだった」
◆「何か芸でもしたら」
コラムニストの辛酸なめ子さんも「一言ぐらいしか言うことがない」と安倍首相の動画に冷ややかだ。
星野さんの動画に合わせ、芸能人やミュージシャンら多くの人が動画を投稿している。いずれも伴奏を付けたり、芸を披露したりと、見た人を楽しませる工夫がある。それなのに、安倍首相はただ座ってお茶を飲んだりしているだけ。
辛酸さんは「大変な思いをしている人たちには『余裕があってうらやましいですね』ということになってしまう」と指摘する。
そして、辛酸さんは「安倍首相も何かの芸をして、投稿し直してもいいのでは」と皮肉を言った。(東京新聞)
元稿:東京新聞社 主要ニュース 社会 【話題・政局・新型コロナウイルスの感染拡大】 2020年04月14 日 12:02:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。