【政界地獄耳・11.19】:会談実現が目的…日中の現実
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・11.19】:会談実現が目的…日中の現実
★17日、北朝鮮は8日ぶりに日本海沖に短距離弾道ミサイルを発射した。日本の排他的経済水域(EEZ)外に落下した。北朝鮮外相・崔善姫(チェ・ソンヒ)は「厳重な警告」としたが、日中首脳会談に向け「北朝鮮を忘れるな」というシグナルとみた。案の定、日本側から北朝鮮による核ミサイル問題に関し「国連安全保障理事会を含め中国が役割を果たすことを期待する」と俎上(そじょう)に乗った。とはいえ、3年ぶりという日中首脳会談はたったの45分間。米中首脳会談の2時間半に比べ、通訳を入れれば立ち話に毛の生えたもの程度といえる。
★「率直で突っ込んだ議論ができた」「いいスタートを切ることができた」「両国の間で良好関係を前進させるために、たいへん積極的な雰囲気を感じた」と首相・岸田文雄は自画自賛するが、外務省の振り付けのまま言わなければいけないことをできるだけ穏やかに話して議事録に残したという程度ではないか。成果があるとすればチャンネルは開かれているとの確認ができたことと、中国が否定すべき必要のない事項は“合意”できたといえる。
★ただ、肝心な台湾をめぐる日本の経済や安全保障について習近平国家主席は「いかなる言い訳でも中国内政に干渉することは受け入れられない」と明確に答え、議論のテーブルに同じルールで着くことすら拒否した。台湾問題は米国との会談でも平行線をたどったが、日本同様関係が冷め切っているオーストラリアのアルバニージー首相、南シナ海域問題を抱えるフィリピンのマルコス大統領とも相次いで会談しており、大国としての役割と利益は守る姿勢は理解しているようだ。とはいえ争点を示しながらのらりくらりと友好関係を維持するだけでは周辺国の懸念と不安は取り除けない。中国の台湾への執着と南下政策だけは譲れないとの中国の死守すべき関心だけが浮き彫りにされた日中首脳会談ではなかったか。その意味では会談実現が目的というのが今の日中関係の限界か。(K)※敬称略
◆政界地獄耳
政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)
元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】 2022年11月19日 07:42:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。