【政界地獄耳・09.12】:G20各国模様…日本にはできないインドの離れ業 中国は転換期?
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・09.12】:G20各国模様…日本にはできないインドの離れ業 中国は転換期?
★10日に閉幕した主要20カ国・地域(G20)首脳会議で、参加国はインド外交を目の当たりにしたのではないか。ロシアのウクライナ侵略を巡る立場の違いが際立ち、ロシアや中国が態度を硬化させる中、首脳宣言はまとまらないと懸念されていたが、初日の9日に首脳宣言が出された。すべての国が満足したわけでもない。G7が主導したわけでもない。インドは中ロにも米国など西側にも一定の距離を置くとともに、新興・途上国「グローバルサウス」の意向を取り込むことで、その盟主たるインドのメンツを保ち、途上国の声を列強も無視することができないことを示した。様式美を重んじる日本の外務省にはできない離れ業だったかもしれない。
★その間、首脳外交が盛んに行われた。ロシアのプーチン大統領、中国の習近平(シー・チンピン)国家主席が不参加なこともあり、米バイデン大統領は新興国との会談に積極的だ。一方、首相・岸田文雄は立ち話外交を自慢したが、「インドで今日、(習の)ナンバー2と会った」とバイデンは訪問先のベトナムで中国の首相・李強(リー・チャン)と会談したことを明かし、「対立的ではなかった」としながら、中国経済を「危機」とし「(習は)今、手いっぱいだ」とした。対米関係が冷えているなら欧州へと、李は欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長と会談。「中国の発展は欧州と世界にリスクではなくチャンス」と説いたが効果はあっただろうか。
★英国・スナク首相との会談では英議会の調査員ら2人が中国のスパイとしてロンドン警視庁に逮捕されたことをスナクから議題として持ち出され、「間違いなく許容できない、われわれの議会民主主義への干渉を巡る自身の非常に強い懸念」をたたきつけられた。昨年秋に首相になったばかりの李にとっては過去最大の外交ショーデビューと言えるが、厳しい洗礼を受けた。中国がたじたじになるのは李だったからか、それとも中国経済の転換期だからか。(K)※敬称略
◆政界地獄耳
政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)
元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】 2023年09月12日 07:45:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。