路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【検証】:「所得税の103万円の壁」とは?(上)

2024-11-09 06:45:10 | 【税制・税収・納税・減税・「103万円の壁」・ふるさと納税・物納・脱税・競売】

【検証】:「所得税の103万円の壁」とは?(上)

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【検証】:「所得税の103万円の壁」とは?(上) 

 衆議院で過半数割れした自公両党が、政権の延命を図るため、国民民主党などを抱き込もうと工作を強めています。その中で論点に上がっている「所得税の103万円の壁」について、「どういうことか?」という質問が寄せられているので、解説します。(日本共産党政策委員会 垣内亮)

 Q「103万円」とは何?

 A所得税の課税最低限のこと

写真

(写真)日本共産党の各候補の訴えに拍手をする人たち=10月15日、東京・池袋駅東口

 Q 「103万円」というのは何のことで、どのように計算されるのですか?

 A いわゆる「所得税の課税最低限」のことです。国民が納める所得税の額は、収入そのものの金額に税率をかけるのではなく、収入から各種の金額を差し引いた残りに税率をかけて計算されます。会社員やパート・アルバイトなどの給与所得者の場合は、給与所得控除と基礎控除が差し引かれます。人によっては、このほかに社会保険料控除や配偶者控除、扶養控除なども引かれる場合もあります。

 基礎控除は所得税で48万円、住民税で43万円、給与所得控除は最低額が55万円となっています。「103万円」というのは、所得税の基礎控除と給与所得控除の最低額55万円を合わせた金額です。年間の収入が103万円以下なら、この二つの控除を差し引けば残りがゼロになってしまうため、所得税が課税されないのです。

 Q103万円超だと手取り減る?

 A本人の手取りは減らない

 Q 年収が103万円を超えると、手取り額が減ってしまうのですか?

 A 本人の手取りが減るわけではありません。年収が103万円を超えても、その年収全体に所得税がかかるわけではなく、103万円を超えた分についてだけかかります。

 年収が104万円ならば、超えた額は1万円ですから、これに5%の税率をかけて計算した500円の所得税がかかるのです。他に住民税が10%で1000円、復興特別所得税が「所得税額の2・1%」で10円かかりますから、税の合計は1510円です。年収が1万円増えるごとに税金が1510円かかることになりますが、税引き後の手取り額は、8490円ずつ増えていきます。

 このように、103万円を超えたからといって、本人の手取りが逆に減ってしまうことにはなりません。なお、学生アルバイトの場合は、基礎控除と給与所得控除のほかに、「勤労学生控除」(所得税27万円、住民税26万円)が適用されるため、所得税は年収130万円を超えないと課税されません。

 Qそれなら、なぜ「壁」という?

 A家族の手取りが減る場合があるから

 Q 103万円を超えても手取りが減るわけではないのなら、なぜ「壁」と言うのですか?

 A 場合によっては、本人ではなく家族の手取りが減ってしまう場合があるからです。

 たとえば、学生などが親の扶養親族の形でアルバイトをしている場合、親の所得税や住民税の計算上、「扶養控除」(所得税38万円、住民税33万円)が適用されます。大学生の場合は「特定扶養控除」といって控除額が増えます(所得税63万円、住民税45万円)。扶養控除による税の軽減額は、「控除額×親の税率」なので、親の所得によっても違ってきますが、大学生で親が平均的な会社員ならば、所得税と住民税あわせて7万~13万円くらいになります(親が高額所得だと、最大で33万円程度)。

 子どもの年収が103万円を超えて親の扶養親族でなくなってしまうと、親の税金が7万~13万円も増えてしまうことになります。学生本人の手取りは増えても、世帯全体の手取りが大きく減ってしまいます。このため、103万円を超えないように働く時間数を制限することになる―このことが「103万円の壁」と呼ばれるのです。

 Q共産党の政策は?

 A「課税最低限の引き上げ」を主張

 Q 「103万円の壁」について、日本共産党はどう考えているのですか?

 A 日本共産党は課税最低限を引き上げることが必要だとして、総選挙の政策でも「課税最低限の引き上げ」を主張してきました。

 課税最低限が現在の103万円になったのは、1995年ですが、その当時と昨年2023年の物価を比べると、10%以上も上がっています。物価が上がっても、同程度に収入が増えれば実質収入は減りませんが、税の控除などがそのままだと、税引き後の手取り額の伸びは物価に追いつかず、「実質手取り額」の伸びはマイナスになってしまいます。これを防ぐために、控除の額を増やして課税最低限を引き上げることが必要です。物価や賃金が上がれば所得税収も自然に増えますから、物価上昇に見合う程度の引き上げなら、その財源は税の自然増収分の一部を還元することで確保でき、財源の心配もいりません。

 もっとも、学生のアルバイトの場合には、「壁」の引き上げも重要ですが、そもそも学生がそんなに働かなくても済むように、授業料の引き下げや給付制奨学金の充実を進めることが大事です。

 Q国民民主党の案は?

 A膨大な財源が必要 負担増の恐れも

 Q 自公政権と協議がされている国民民主党の減税案について、どう考えたらいいのでしょうか?

 A 物価高騰の中で、課税最低限の引き上げが必要だという点では、日本共産党も同じ立場です。ただ、国民民主党の案は103万円を178万円に引き上げる(72・8%増)というもので、物価の伸びをはるかに上回る提案です。当然、財源もたくさん必要になり、政府の試算では7・6兆円といわれています。これは、国の高等教育予算の4倍以上に当たります。所得税の自然増収の範囲では全く足らないため、他から財源を持ってくることが必要になってしまいます。

 財源をどこに求めるかによっては、かえって負担増になってしまう人が出る場合も考えられます。たとえば、消費税増税で財源をつくるのなら、いまでも課税最低限以下の低所得の人には所得税は1円の減税にもならず、消費税の増税だけがかぶさることになります。また、所得税の減税財源のために教育予算がさらに削られ、大学の授業料が値上げされたりしたら、学生にとってもかえってマイナスです。

 ですから、課税最低限の引き上げ自体は必要なことですが、その財源をどうするのかによっては、国民のためにならないおそれがあります。 (つづく)

 ※:(2回連載です)

 元稿:しんぶん赤旗 朝刊 主要ニュース 政治 【政策・衆議院で過半数割れした自公両党・「所得税の103万円の壁」】  2024年11月06日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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