路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【社説②・11.29】:女川原発判決 能登の教訓への認識欠く

2024-11-30 04:03:30 | 【電力需要・供給、エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間貯蔵施設・他

【社説②・11.29】:女川原発判決 能登の教訓への認識欠く

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・11.29】:女川原発判決 能登の教訓への認識欠く 

 東北電力女川原発2号機の運転差し止めを周辺住民が求めた訴訟で、仙台高裁が住民側の控訴を棄却した。
 
 住民側は重大事故時の広域避難計画に実効性がないと訴えていた。高裁は「避難計画の検討過程に過誤はない」として差し止めを認めなかった。
 しかし、元日の能登半島地震では半島に立地する北陸電力志賀原発の周辺道路が各所で寸断された。家屋倒壊も相次ぎ、屋内退避も困難な状況だった。避難計画が「絵に描いた餅」に等しい実態が浮き彫りになった。
 そうした現実を目の当たりにして、同じく半島に立つ女川原発の避難計画に住民が不安を強くしている。高裁の判断はそこを直視しておらず、能登の教訓への認識を欠いていると言わざるを得ない。
 避難計画の実効性に争点を絞った初の訴訟だった。地元自治体が作成し政府が了承した避難計画では、原発事故が起きた場合、住民は検査所で被ばくの程度を調べ車やバスで避難する。
 住民側はバスや検査所の人員が確保できず、道路が渋滞し円滑に避難できないと主張した。
 一審判決は「住民側は重大事故の危険性を立証していない」として、避難計画の実効性に触れないまま請求を棄却した。事実上の門前払いだった。
 高裁判決は、避難計画に重大な過誤があれば具体的な危険が推定され、差し止めが認められるとの判断枠組みを示してはいる。ただ「住民側は、避難計画では対処できない具体的な危険性を立証していない」とした。
 これでは住民側にとって訴訟のハードルは高いままだ。民事訴訟において立証責任は原告側が負うのが原則だが、公的な計画の不備といった大がかりな立証を、専門家ではない住民に厳密に求めるのは酷だろう。
 高裁判決は、避難計画について「事態に応じて臨機応変に決定し、段階的に避難することを想定している」とも指摘し、その危険性を認めなかった。
 だが、例えば吹雪の夜に巨大な地震や津波に襲われ、原発に深刻な事故が起きた場合でも避難計画は機能するのか。
 そうした過酷な状況下で無事に避難できるのかどうかを住民は問うている。高裁は正面から答えておらず、疑問が残る。
 原発の稼働を前提とする以上、避難計画に実効性は欠かせず、不断の検証が求められる。
 とはいえ、それが本当に可能なのか疑念は常につきまとう。
 脱原発に向かうことこそが最大の安全対策である。それを忘れてはならない。
 
 元稿:北海道新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月29日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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