路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【社説・11.05】:女性差別撤廃委の勧告 政治の風景変える契機に

2024-11-05 07:01:50 | 【女性が輝く社会と社会参画・選択的夫婦別姓・女性差別・女性を取り巻く諸問題】

【社説・11.05】:女性差別撤廃委の勧告 政治の風景変える契機に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.05】:女性差別撤廃委の勧告 政治の風景変える契機に 

 先進国でありながら、ジェンダー平等の国際基準に遠く及ばぬ実態を直視すべきだ。

 国連の女性差別撤廃委員会が日本政府の女性政策を8年ぶりに審査し、改善のための勧告をした。夫婦同姓を義務付ける民法を改正しての選択的夫婦別姓の導入や、人工妊娠中絶で配偶者の同意を求める規定の撤廃、男女の賃金格差データのさらなる開示など指摘は多岐にわたる。

 どれも速やかな対策が必要で、とりわけ後れを取る政治分野への指摘を重く受け止めたい。女性の国会議員を増やすため、選挙に立候補する際の300万円の供託金を女性に対し一時的に減額する措置を求めた。議席や候補者の一定数を女性に割り当てる「クオータ制」も要請した。

 政府計画で数値目標を掲げるだけではもはや不十分で、障壁を取り除く具体的な政策を実行すべきだとの意味だろう。日本の現状を踏まえた指摘で、うなずける。

 女性差別撤廃条約は「世界の女性の憲法」といわれる。委員会は、締約国が趣旨に沿う法整備や政策を進めているかを監督する機関だ。日本は1985年に批准し、今回は6回目の勧告で、繰り返し求められてきた事項は多い。憲法には条約の順守が明記されている。政府の履行状況をチェックする独立機関が国内にないのは問題だ。

 勧告で改めて女性議員が少ない弊害に気付かされる。

 折しも衆院選で女性の当選者は73人と15・7%だった。3年前の前回選に比べ44ポイント増え、過去最多になった。「政治とカネ」の問題で与党の現職が落選し、野党の新人議員が当選しやすい状況を追い風に伸びた。しかし、この程度では、世界経済フォーラムの「男女格差(ジェンダー・ギャップ)報告」の政治分野で113位という低水準から脱出できそうにない。

 与党・自民党の女性候補者は16・1%、当選者は99%にとどまった。2018年施行の政治分野における男女共同参画推進法で、候補者数を「できる限り男女均等」にするよう政党に促しており、見過ごせない。努力義務ではなく、勧告通りに罰則で実効性を持たせなければ今後も遅々として進まないだろう。

 男性が大半を占めたままだと、ジェンダー分野の人権侵害を自分ごとと捉える政治、改善のために政策を転換させる動きは生まれにくい。夫婦同姓の義務付けは象徴的で、不利益を被る改姓は女性が95%を占め、その要因は性別役割分担の意識を土台にした社会的な圧力にある。選択的別姓の導入を求める勧告は、この21年間で4回に及ぶ。

 委員会は審査の過程で、日本の非政府組織(NGO)から実態を丁寧に聞き取った。本来なら、日本の国会議員が人権を侵害された当事者の声を聞く役割があるはずだ。女性が人口の半分を占める実社会と政治がずれる要因は、一つに国会議員の構成に偏りがあるのは否定できない。

 勧告を契機に政治の風景を変えねばならない。そして、ジェンダー不平等を改善する政策を実行すべきである。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月05日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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