【社説①・12.06】:予算委集中審議 東アジアの安全保障を論じよ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・12.06】:予算委集中審議 東アジアの安全保障を論じよ
石破内閣発足後、ようやく実現した本格的な国会論戦だったが、質問する側も答弁する側も、通り一遍の主張に終始したのは物足りなかった。
衆院予算委員会で集中審議が行われた。
立憲民主党の野田代表は、韓国で出された戒厳令を巡る混乱についての日本への影響を 質 した。
首相は「尹錫悦大統領が進めてきた日韓関係の改善の努力が損なわれてはならない」と述べた。
戒厳令を巡る混乱は韓国の内政問題で、日本側がそれ以上、言及する段階ではない。だとしても隣国の政治が不安定化すれば、影響は日本だけでなく、東アジアの安全保障体制にも及びかねない。
2022年の大統領就任後、尹氏は日韓間の懸案だった元徴用工(旧朝鮮半島出身労働者)訴訟問題に一定の決着をつけ、日本との関係改善に 舵 を切った。
その後、日米韓の防衛協力も前進した。3か国で北朝鮮の弾道ミサイルの発射情報を即時に共有する仕組みができたのは、尹氏の政治決断によるところが大きい。
仮に尹氏が失脚して韓国に反日的な政権ができ、日米韓の防衛協力が機能しなくなるような事態は避けねばならない。
野田氏はまた、トランプ次期米大統領とどう関係を構築していくつもりなのか、尋ねた。首相は「日本の国益と米国の国益は両立する、と米側に臆せずに言っていく」と述べるにとどまった。
この日の質疑で、日韓や日米関係について問い質したのは野田氏ら立民の2人だけだった。
国際情勢は激変し、日本が果たすべき役割も問われている。今後の予算委では、そうした認識に立ち、政府も与野党も外交政策を建設的に論じることが重要だ。
一方、政治資金問題では、立民や共産党などが企業・団体献金を禁止するよう求めたが、首相は「資金の透明性を高めることが自民党の立場だ」と強調した。
この1年、与野党が政治とカネの問題を国政の最大の課題であるかのように扱っていることには首を 傾 げざるを得ない。今国会で決着をつける必要がある。
予算委では、立民が選択的夫婦別姓を早期に法制化すべきだと訴えた。自民からは、同姓制度を維持しつつ、旧姓も法律上の姓として使用を認める手もある、といった提案があった。首相は各党の議論を見守る考えを示した。
選択的夫婦別姓は、社会や家族のあり方に大きな影響を与える問題だ。慎重に議論すべきだ。
元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年12月06日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます