【余録・10.25】:グリーンのパラソルが目を引く店はパッと見…
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【余録・10.25】:グリーンのパラソルが目を引く店はパッと見…
グリーンのパラソルが目を引く店はパッと見、おしゃれなカフェといった感じだ。全国各地で街の本屋さんの閉店が相次ぐ中、那覇市安里の栄町市場の一角に今月、「栄町共同書店」がオープンした
栄町市場の一角にオープンした「栄町共同書店」=濱田元子撮影
▲ユニークな試みだ。運営にあたるのは研究者やアーティストら6人で作る栄町労働者協同組合。働く者自らが出資し、経営するという形態だ。そこに店の本棚を1箱単位で貸し出す「シェア型書店」を掛け合わせた
▲沖縄県内外から集まった60人以上の箱店主が選書した棚は、沖縄戦史あり、アジア雑貨あり。市場の場所はかつて、ひめゆり学徒の母校があったことから「ひめゆり平和祈念資料館」の棚もある。編集者でライターの新城和博さんらの「本もあい分校」もその一つだ
▲模合(もあい)とは沖縄社会に浸透する相互扶助システムだが、「本もあい」ではお金ではなく本をやりとりするというのが面白い。毎月交代する「親」の好みを考え、他のメンバーがお薦めの本を渡す。親も自分で読むための本を買う。毎月の会合では5時間くらい本について語り合うのだとか
▲沖縄には100年以上前に生まれた、住民自ら出資し運営する共同売店という支え合いの伝統もある。栄町共同書店は共同売店の本屋版ともいえる
▲「自分たちに必要なものは自分たちで作る」。協同組合代表理事の古波藏契(こはぐら・けい)さんは自治の精神を説く。そんな思いが読書という個人的な体験を超えて人々を結ぶ「もやい」となる。27日から読書週間。本でつながる世界を思う。
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