【社説①・12.29】:道開発予算案 災害対策の整備万全に
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・12.29】:道開発予算案 災害対策の整備万全に
政府の2025年度予算案で、北海道開発予算は前年度当初比19億円増の5745億円となった。増加は4年連続だ。
来年度は、政府が3月に閣議決定した第9期北海道総合開発計画の2年目となる。
国土交通省北海道局は計画を踏まえて、食料安全保障や観光立国の強化、脱炭素化事業の「ゼロカーボン北海道」推進、次世代半導体製造のラピダスを念頭にデジタル関連産業の集積支援などを軸にしたとする。
ただ治山治水や道路、空港港湾など事業別分野の予算割合は本年度とほぼ変わっていない。
巨大地震の切迫が指摘され、異常気象は頻発する。食料供給を支える地方は疲弊している。個別事業の予算付けでは、優先度を見極めてもらいたい。
何より重視すべきは防災だ。
津波避難タワーの整備が進むが開発予算とは別枠だ。国の本年度当初予算は補助金が不足し、釧路・根室管内の自治体では工事を先送りしたり、起債で穴埋めしたりしたところがあった。
津波避難タワーの整備が進むが開発予算とは別枠だ。国の本年度当初予算は補助金が不足し、釧路・根室管内の自治体では工事を先送りしたり、起債で穴埋めしたりしたところがあった。
人命に関わり、緊急性を要する事業である。開発予算に計上し、優先配分してはどうか。
日高管内で建設が進む高規格道路「日高自動車道」は日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震・大津波発生時の代替路となる。
来年度は新冠インターチェンジ(仮称)まで開通するが、それより以南の完成時期は見通せていない。国は交通インフラが脆弱(ぜいじゃく)な地域の道路整備に目配りしてもらいたい。
道北の高規格道路は上川管内の音威子府バイパス(19キロ)が開通する。ただ稚内までの整備は途切れ途切れだ。道路はつながってこそ、本来の機能を発揮する。根室や函館方面を含め、着実に整備する必要がある。
トラック運転手は残業規制もあり、人手不足が著しい。鉄道は人や貨物を一度に大量輸送できる。北海道新幹線の札幌延伸は大幅に遅れる見通しだ。在来線の役割はなお大きい。
鉄路を道路や空港などと並ぶ重要インフラに位置付け、開発予算を投入できるよう制度改正すべきではないか。道内選出国会議員は与野党の垣根を越えて取り組んでほしい。
総合開発計画には遠隔医療などソフト事業も数多く盛り込まれた。実現には省庁横断の取り組みや、自治体や民間との連携が肝要となる。
国交省は本年度、道内の全10開発建設部に地域連携課を新設した。人口減少下での社会資本整備のあり方、老朽化したインフラの管理など、ニーズを探り政策に結びつけてほしい。
元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年12月29日 04:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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