【日報抄・10.10】:先ごろ解散した自民党派閥「宏池会」の活動がまだ盛んだった2000年の記憶を
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【日報抄・10.10】:先ごろ解散した自民党派閥「宏池会」の活動がまだ盛んだった2000年の記憶を
先ごろ解散した自民党派閥「宏池会」の活動がまだ盛んだった2000年の記憶をひもとく。事務所移転のお披露目の集まりで、先代の派閥オーナーだった宮沢喜一元首相は、あいさつで「居は気を移す」という孟子の言葉を引いた
▼住まいや地位など取り巻く環境が変われば、人の考え方も変わるという意味らしい。宮沢さんは、新たな拠点で心機一転がんばろうと言いたかったようだった。24年前に聞いた、この言葉を思い出したきっかけは石破茂さんの首相就任である
▼総裁選を境に、それまでの主張とトップ就任後の言動が一変したと指摘されている。首相官邸のあるじになったことで、考えを変えたのか。変えざるを得なかったのか。そんな石破さんがきのう、衆院解散に踏み切った
▼事実上首相が判断する、憲法7条に基づく解散である。こうした「7条解散」は政権与党に有利なタイミングでの選挙につながることから、かねて石破さんは否定的だった。「今なら勝てるだろうというのは憲法の趣旨に反している」と主張したこともあった
▼解散に先立っては党首討論にも臨んだが、以前と比べると歯切れの悪い発言が目立った。論点そらしで、議論がかみ合わない場面もあった。政権批判もいとわず「党内野党」と呼ばれたこともあるだけに、胸の内では過去の自分に論争を挑まれているように感じていたかもしれない
▼「居」が変わった石破さんは、すっかり「気」も移してしまったのか。有権者の目には、どう映るだろう。
元稿:新潟日報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【日報抄】 2024年10月10日 06:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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