【社説・10.14】:衆院選あす公示 未来見据えた意思示そう
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・10.14】:衆院選あす公示 未来見据えた意思示そう
第50回衆議院議員選挙は15日に公示される。27日の投開票まで12日間の選挙戦がスタートする。選挙は民主主義の根幹である。有権者は立候補予定者や各党の公約を比較し、沖縄や日本の将来を見据えた選択をしてほしい。
今回の選挙戦では、2012年以降、歴代最長となった安倍晋三政権、それに続く菅義偉、岸田文雄両政権と、長期にわたる自民党政権への評価が問われる。
集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈変更、敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有を認めた安保関連3文書を閣議決定した。いずれも日本の安全保障政策の大転換であるにもかかわらず、国会審議を経ることはなかった。
大規模金融緩和を柱とする経済政策「アベノミクス」は、大企業などの業績回復をもたらしたが、非正規雇用の拡大も招き、デフレ脱却も道半ばだ。消費税率10%への引き上げ、新型コロナウイルス感染拡大による景気低迷も家計を直撃した。物価高騰に賃金が追い付かない状況も続く。
自民党と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係も実態解明には至っておらず、一連の派閥裏金事件は長期政権のひずみが生んだものとの指摘も免れない。
自民は、党内で非主流派だった石破茂首相で総選挙に臨む。安倍政権以降の路線をどのように総括するかが問われる。12年に及ぶ自民党政権が積み残した課題にどう向き合うか見極めたい。
一方、野党側にとっては、その実力が問われると言えよう。政権交代もにらみ勢力伯仲となるには、野党間の連携が欠かせないが、一本化は進んでいないのが現状だ。裏金問題などで自民に厳しい目が向けられる中、「敵失」に頼るだけでなく、それぞれが地力をつけ、政権担当能力を改めて示すことが必要だろう。
沖縄にとっては、普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設の是非も争点になる。前回衆院選の沖縄4選挙区は、与野党が2議席ずつとなったが、22年の知事選では新基地反対を訴えた玉城デニー知事が再選を果たした。県との対話に応じず工事を強行する政府与党の姿勢も改めて問われよう。
石破首相が掲げた地位協定改定については、各党が公約に盛り込んだ。米軍基地が集中する沖縄は、これまでも地位協定の改定を求めてきた。各党の違いも浮き彫りになっており、実現可能性も含めて注目したい。
県内への自衛隊増強や無人機配備など在沖米軍の機能強化も課題だ。空港や港湾など民間施設を使った日米共同演習も恒常化しており、基地負担軽減の在り方も焦点だ。
前回衆院選で県内小選挙区の投票率は54.90%と、過去最低だった14年に次ぐ低さだった。政治への諦めは、将来に禍根を残すことにもつながる。未来を選択する1票を投じてほしい。
元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年10月14日 04:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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