★教育費や給食費を勝ち取れば存在感を示せると満足な野党だが、国民が石破政権を信用していいかどうかの試金石となるのが高額療養費制度の自己負担限度額引き上げ問題だ。突然の発症や病気の長期化、高額薬の使用が必要になるなど医者にかかると予想外の出費になる。また自営業など就労が長期に滞ることによる収入減も深刻だ。その意味では多くの国民、全世代がその対象者になり得るテーマだし、不安は尽きない。

 ★21日の衆院予算委員会で集中審議が開かれ、自らもがんサバイバーである立憲民主党・酒井菜摘は政府が一部を修正し長期的に治療を続ける患者の負担は据え置くとしたことについて「修正案には納得できない。負担できないという声を受け止めてほしい。がんや難病の場合、直接命に関わるが受診抑制が起きていいのか」と迫ったが首相・石破茂は「受診抑制が起こらないよう最大限、配慮した。被保険者の意見もきちんと聞いていかなければならない。いかに負担を減らすかと制度をどう持続可能にするかのギリギリの接点が今回の結論だ」と丁寧なゼロ回答だ。患者への面会にも前向きな答弁をしていた首相は厚労省というより「よくよく考えて至った結論、私の判断」とし短期間の乱暴な負担額引き上げを肯定して見せた。

 ★同党は同日、国会内で「高額療養費予算ヒアリング」を開き関係者からの声を聴くなど努力を重ねるが、健常者には高額医療の問題より教育費や給食費などの固定費が負担としてのしかかるのだろう。政府案はいささか修正されたが、国民の不安を払拭するものではない。問題はそのバランスだ。それぞれの家庭や生活で事態はさまざまだ。世代や収入で分ける以外に手だてはないのか。防衛費に至っては国会での議論すらままならない。国民のSOSが聞こえないのなら石破政治などなきに等しい。(K)※敬称略