【天風録・12.01】:うれし涙の花道に
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録・12.01】:うれし涙の花道に
サッカーのボランチというポジションはチームの要である。中盤の後ろ寄りでピンチの芽を摘み攻撃の起点になる。80年以上も前にブラジルで活躍したアルゼンチン生まれの名選手カルロス・ボランチに由来するらしい
▲プレースタイルが「かじ取り」を意味するポルトガル語「ボランチ」と重なり定着した。そのかじ取り役をJ1サンフレッチェ広島で長く担った青山敏弘選手が今季でユニホームを脱ぐ
▲一発で局面を転換し、ゴールを予感させる正確なパスが代名詞。ストライカーの佐藤寿人さんにどやされながら磨いたものである。判断とキックの質への要求は厳しかった。本紙の元担当記者が泣きながら蹴り続けた姿を覚えている
▲涙のパス練習が3度のリーグ制覇とW杯出場を手繰り寄せた。けがなどの試練を乗り越えるたびに一皮も二皮もむけ、声援を力に換える器を備えた。新たな目標をサンフレの監督と明言してくれた。違う立場でかじ取りを担う日を楽しみに待ちたい
▲地元最終戦のきょう引退セレモニーに臨む。チームは優勝争いの真っただ中。サンフレ一筋21年のボランチのラストシーンはやはり、うれし涙がふさわしい。紫の選手たち、頼んだぞ。
元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】 2024年12月01日 07:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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